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16◇警戒してみませんかぁ?◇
しおりを挟む今回も偶には冒険者らしく敵キャラとアイリを戦わせてみよかと・・・
敵キャラ?
戦ってる?というツッコミは受け付けません。
最初に謝っておきます、私は鼻歌へたです。ほとんどの人が当てられません。曲は各自で脳内変換してください。音痴でリズム感無しの私には無理だった、スイマセンorz
~◇~◇~◇~◇~◇~◇~◇~◇~◇~◇~◇
「ふっふっふっふ~ふふふ♪ふっふっふっふ~ふふふっ♪」
お昼ご飯のあと、薬草摘みはすぐに終わって、幼児2人が走り回って遊ぶだけ遊んでマナが目をこすり出したころ池をお暇した。
今日収穫した薬草は天使の涙という見た目はスノードロップのような小さな白い花の付いた植物と、神の怒りというとげとげしい葉っぱの2種類。
葉っぱは柊のように見えるが柊よりも柔らかい葉で色も緑ではなくオレンジ色をしている。低い木でその幹も棘があるが柊のように小さな花が葉に隠れるように咲く。その花を取ろうとすると必ず葉か幹の棘が刺さることから神の怒りと言われている。花にも薬草効果があるらしいが今は時期ではなく咲いていない。
また咲く時期に誰も行けないようなら、依頼を受けることになるのかな?
池の畔でエタと走り回って疲れてしまったマナは背中でスヤスヤ寝息を立ててお昼寝中。
懸念していた池には入ることもなかったからよかった。
「アイリ、このまままっすぐ街道に出ずに森の外から町の入り口に行ったほうがいいゾ」
いつもは池の畔で別れるエタが今回は、一緒についてきた。
妖精は往々にして気まぐれで理由はあってないようなものだという。
たまにこうしてついてくることがある。
エタが籠をもってくれて反対の手は私とつないでいる。私もその反対の片手でマナを支えている。
手をつなぐのが楽しいのか、エタが前に私がマナに歌っていた青狸似の自称猫型ロボットのテーマ曲を率先して口ずさむ。エタの前では1度しか口にしていないのにもう歌えるなんて流石!えらい妖精です。
エタは私がちょっと変わった魂の持ち主なのも知っている。えらい妖精さんにはいろいろわかるらしい。流石です。
なんでも私がそのまま口にしている歌詞は、異国の言葉に聞こえるらしい。
因みに文字も私は読めるのだけど、私が書くとそれは日本語になっている。
だって私の目にはすべて日本語にしか見えないんだもん。
この国の言葉は、いや違う、この世界の言語はすべて日本語に変換されて私の目に映り出される。
そのせいで私は文字を書くことができないのだ。
今のところそれに困ったことはないけど、これから独り立ちしたときに色々問題が起きそうで心配になる。マナにどうやって文字を教えるか、それが目下最大の課題です。
主にマナに対してだけど・・・そろそろ本気で対策を考えないといけないようだ。
「・・・ボクはここまでしか行けないゾ。
アイリきをつけていくんだゾ。今日は嫌な・・・危険な予感がするゾ」
気が付くと木々も隙間から町の家々の屋根が見えてきた。もうすぐ森から出るところまで来てから足を止めてエタがそう切り出した。
いつものかわいらしい顔を厳しいものにして。
妖精の予感
そんなものを教えてくれるのは珍しい。
妖精の気まぐれといえばそうだけど、高位妖精のエタは色々知ることのできる力があるらしいけど教えてくれることはない。
この池に来るのは7回目だけど予言めいたことは、ついて早々昼には雨が降るから早く帰るようにしたほうがいいと言われたくらい。
今回の様に危険予知を教えてくれることはない。
「・・・危険ですか?それは町の中にあるものですか?それとも外ですか?」
「外だゾ
町にはいれば安全だゾ。いつも一緒いいるもの達はもう町にいるから入ってしまえば大丈夫だゾ」
いつも一緒ってよく知ってるなぁ。
エタはアシュトンさんたちに会ったことはなんだけど、やっぱりえらい妖精さんであればいろいろわかるんだなぁ。
しかも、町に帰ってるって、見なくてもわかってるみたいだし・・・
木々の合間から町の方を見る。
此処から直線距離で10分くらいかな?
そんなに遠くない。多分ここが一番近いけど。
せっかく教えてくれた警告だ。
いつでも対応できるようにしよう。
「『シールド』」
手を胸の前で組んで小さくつぶやく。
見た目には変わりがないが私の周り、両手を広げてそれよりも少し大きいくらいに見えない壁を魔法で作る。
それに少しおまじない程度のお願いをしておく。
さらに肩から下げていたカバンからいくつかに魔石を取り出す。
これは火属性の魔石。それとこの試作品も一緒に・・・
火属性の魔石は実質の攻撃力は弱いけど大きな音と煙幕を出す。
町にみんながいて私の帰りを待ってくれているなら外の様子を気にしてくれていると思う。
それに一縷の望みをかけて、頼りないけどこの方法で乗り切ろう!
「・・・アイリそれは防御魔法か?それに付け加えたの・・・ボクでも・・・ゾ」
エタが何か言ってますがボソボソ言ってよく聞こえません。
まあいいや。
それよりもここから見る限りいつもと変わりのない景色。
町はいくつかの門があって塀で囲まれている。
これは魔獣や魔物除けの魔術が施されている。
この国、近隣の国もほとんどされているらしい。
何しろいくら魔王は封印されたと言ってもまだ魔物も魔獣もうじゃうじゃいる。
これというのも、不定期に突如現れるダンジョンが原因らしい。
閑話
ダンジョンというとそこはゲームとかと同じく、地下や地上に伸びる段階を追って敵のレベルが上がっていく魔物の巣窟なんだけど。
普通、ゲームや物語ではそのダンジョンからほぼ出ることはないはずの魔物がここ最近では流出しているらしい。それは昔から多少はあったけど、稀なケースのはずがここ最近3年ほど前から徐々に増えていったらしい。
もともと魔王がいたころの名残で、町や村など強度は違えど塀があったのでそれらに魔術を施して魔よけを増す処置をしたという。
日中の今は出入口は開いたままになっている。
マナを背負ったままダッシュっていうのはかなりきつい、きついけど頑張らなくっちゃ。
できるだけ早く足を進めるように頑張るしかない。
よし!
「ありがとうございます、エタ。」
「うん、気をつけて行くんだゾ」
表情は硬く心配そうではあるけどこのままここにいるわけにはいかないから。
エタを安心させるように笑みを作る。
こんなことは初めてだけど、私にはマナがいるんだから守らないと!
そしてマナは幅広の紐をおんぶ紐代わりに使って背負いなおしてしっかり固定した。
「ん~っ、まま?」
「マナ起きたの?今からちょっと走るけどしっかりつかまってね。何があってもママから離れないでね」
背負いなおしてことでマナが目を覚ました。
ムニャムニャとして、まだ完全に覚醒していない。
本当はそんな半覚醒の時に話しかけることをしないほうがいいのだけど聞いていても聞いていないにしても言っておきたかったから・・・
返事なのかどうなのかわからないけど、う~んっと声を上げたっきりこてんと背中に再び凭れかかったようだから眠ったのかな?
「マナは、大丈夫そうだナ」
マナの様子を見ていたエタからそう言われて思わず笑みが浮かぶ。
魔物討伐の時にはマナは良く寝ている。
結界と周囲から隠す目くらましをする魔石を縫い込んだケープをいつも被せているんだけど、大概マナは寝ている。いつも不思議に思っているけど特別このケープに睡眠魔法をかけているわけでもなんだけどなぁ。
いつものケープは宿の部屋に置いてきたから今はない。
こんなことなら持ってくればよかったなぁ。
無いものは仕方がないのでこの状態で頑張るしかない。
「じゃあ、今度こそ」
「うん」
エタから籠を受け取り、手に持ったいくつかの魔石をもう一度確認して前を向く。
手をひらひら振りあって森を出る。
怖くないと言えばウソだけど、マナを守っていかなくっちゃ!
独り立ちへのプレ一歩目だ!!!
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