願いを叶える公爵令嬢 〜婚約破棄された私が隣国で出会ったのは、夢の中の王子様でした〜

鹿倉みこと

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48. ひとつに溶け合えたなら(1) ※

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 祝福の鐘が響き渡り、窓から差し込む光が金色に輝く。
 純白の婚礼衣装に身を包み、ノックスの待つ祭壇へと歩を進めた私は、光を取り込んで煌めくサファイアブルーとルビーレッドを、胸の甘い疼きとともに見つめた。
 時戻りを公にしたことで眼帯をやめたノックスは、その神秘的なオッドアイを幸せそうに細めている。
 
 あれから二年。
 今日、私は『王太子妃エレアノール・イシルディア』として、新たな人生への扉を開いた。



 ◇ ◇ ◇



「んっ……ん……」


 アンナに隅々まで磨かれ、「ご武運を」と送り出されてやってきた夫婦の寝室。そこで私は、焦れた様子のノックスにすぐさま抱き寄せられ、貪るように唇を奪われた。


「ふぁ……のっくす、んぅ……」
「っ……ごめん、ちょっと性急だったな」


 必死にシャツを握り締める私を見て、我に返ったらしいノックスがばつの悪そうな表情を浮かべる。
 こんなに落ち着かない彼の姿を見るのは、初めてかもしれない。

『神降ろしの聖女』と『時戻しの王子』として世界中の注目を集めた私たちは、イシルディアに帰ってからというもの、常に人の視線に晒される生活を余儀なくされた。つまりこの二年間、キスすら許されない清い関係を強いられてきたのだ。
 はしたないかもしれないけれど、彼のぬくもりや唇の柔らかさを知る私にとって、それはとても忍耐を要することだった。
 だから、彼も私と同じように我慢していたのだろうかと思うと、その性急さが愛おしく感じられる。


「私も、もっとしたい……本当は、ずっとノックスに触れたかったの」
「っ、エレアノール……」

 
 ノックスは甘さの滲む声で私の名を呼び、再び深いキスをして、角度を変えながら私の舌を丹念に舐めまわした。激しいわけではないのに、ぬるつく感触がどんどん官能を高めていく。
 やがて最後に『ちゅっ』とかわいらしい音を立てて唇を離したノックスは、私の頭を抱え込むようにしながら小さな声で呟いた。


「……正直、めちゃくちゃ緊張してる」


 ノックスの胸からは、たしかにドッドッドッと忙しなく脈打つ音が聞こえてくる。


「ふふ、本当ね。とても鼓動が早いわ」


 とはいえ、私も緊張している。初めては痛いと聞くし、ちゃんと受け入れられるかもわからないのだから。
 ただ、そんな不安を掻き消してしまうほど、大きな期待感があるのも事実だった。
 抱きしめられるだけでもすごく幸せなのに、もっと深く繋がったら一体どんな心地がするのだろう……


 バラの花びらが撒かれたベッドに横たえられると同時に、濃厚な甘い香りがふわりと立ち上った。
 唇を塞がれるたびに香りが強まり、酩酊したように気分がふわふわしてくる。
 ノックスはキスをしながらシュミーズの紐を解き、瞬く間に私を裸にすると、自身も急くように服を脱ぎ捨てていった。


「……どれだけこのときを待ち侘びたか知れない」
「ノックス、私も……あっ」


 首筋に吸いつかれ、チクリと鋭い痛みが走る。
 彼のものだという印をつけられている……そう思うと、その痛みすら甘美なものに思えた。
 
 ノックスは体の至るところにキスを落とし、時折跡をつけながら舌を這わせていく。
 以前「お仕置きだ」といって触れたときは凄くいじわるだったのに、今は私の反応を見逃すまいとこちらをじっと見つめてとても慎重だ。


「時間をかけて解すから。たくさん気持ちよくなろうな」

 
 ノックスはそう言って表情を緩めると、胸の先端を舐めまわしつつ足の間にそっと触れた。
 以前ノックスに何度も叩きこまれた快感を思い出し、その場所が期待してひくつくのがわかる。


「あ、そこ……んっ」
「エレアノールはここをこすられるのが好きだろう? 一度イッておくといい」


 ノックスは溢れる蜜を指にまとわせ、くちくちと一定のリズムで敏感な粒をこすりたてた。
 最初から容赦なく一番感じる根元の部分を刺激されて、あっという間に昇り詰めていく。


「あぁっ、ノックス、私……!」
「いいよ、見ててあげるからイッてごらん」


 ノックスの指の動きがわずかに速くなると、いよいよ耐えられなくなって体が勝手に腰を突き上げた。


 「あっ、あっ、あぁぁっ、んぅーーー~ッ……!!」


 仰け反って絶頂している最中に唇を塞がれ、声を出すことで逃がせたはずの快感が体の中に渦巻く。おかげで絶頂がなかなか終わってくれなかった。


「ん、ふぁ……んんっ、ん……はぁ、はっ……」
「上手にイけたな」


 唇をぺろりと舐めながら微笑んだノックスは、休む間もなく私の膝裏に手を掛けてゆっくり脚を持ち上げてくる。
 絶頂したばかりの場所をまじまじと見られる予想外の展開に、顔が一気に熱を帯びた。


「やっ、やだぁっ!」
「君のすべてを見られるのは、俺だけの特権だろう? ……駄目か?」

 
 駄目かと聞きつつも、彼の視線はすでに一点に固定されている。


「絶頂すると、ここってこんな風になるんだな。物欲しそうにひくついて、蜜がどんどん溢れてくる」


 ノックスは感心したように呟くと、私に見せつけるようにしながら絶頂したばかりの敏感な粒に舌を這わせた。


「あぁっ! そんなとこ舐めたら、っいま敏感なの!」


 ぬるぬるの熱いものが敏感な部分を這う感覚は、指とはまったく違う。これは絶対にダメなやつだ。
 けれどノックスは私の反応を見て気をよくしたらしく、嬉しそうに肉粒に吸いついた。

 
「あぁあっ! これ、や、またすぐイッちゃう……!」
「ん、いくらイッても大丈夫だぞ……王太子妃とて初夜の翌々日まではさすがに休みだ」
「やっ、そういう、ことじゃ、あっあっ、もう、ーーーー~~ッ!」


 明日の心配をしているわけじゃない。そう言いたかったけれど、何も言えないまま私はあっけなく絶頂した。


「はぁっ、あ、んぅっ」
「気持ちいいな。ん、このまま解していくから、少しでも痛んだら言ってくれ」


 彼の指が膣口につぷりと入り込む。


「あっ、あっ、そこ……」
「やっとここに触れられる。エレアノールのここも、早く欲しいって言っているみたいだ」
「あんっ、そんな、あぁっ!」


 絶頂直後で大量の蜜をこぼしているせいか、初めて異物を受け入れるというのに私の膣口は彼の指をすんなりと受け入れていく。
 それどころか、待ち望んでいたものを二度と離すまいと吸いついているのが自分でも感じられた。


「すごい熱いし、うねってる。襞が絡みついて、やばいなこれ……」
「ノックス、はっ、ぁ……お腹の中、へんなの。ぞくぞくって……」


 陰核の鋭い快感とは違う。気持ちよさが体の奥底からせり上がってくるような感覚。
 それは今までに経験したことのない類の快楽だった。


「最初はここであまり感じられないものらしいから、こっちと一緒に刺激してやろうな」


 ノックスがお腹側の壁をぐっと押し込むと、おかしくなりそうな快感が体を貫いていく。
 それなのに彼は、ぐちゅぐちゅと指を小刻みに動かしながら陰核にちゅうと吸いついた。


「ああぁっ! 待って、同時はダメぇ!」


 ノックスは膣口に差し込んだ指で、お腹側にある膨らみを押し込むように撫で、ときに最奥まで指を突き入れて子宮を揺さぶり、中では感じられないという前提をもとに、完全なる善意で陰核を舐めまわした。


「ま、まってお願い……これダメなの、やっ、やめ、あぁあぁぁ……ッ!!」


 寒気にも似た、すべてを支配されるような快楽に体が浮き上がり、必死にシーツを握り締める。
 私は結局、心の準備すらできないまま、与えられる深くて重い絶頂をただ受け止めるしかなかった。


「ん、ぎゅうぎゅう締めつけて気持ちよさそうだな。こうやってかき回しながら何度もイッているうちに、中でも段々と感じられるようになるんだそうだ。少し慣れてきたようだから、指も増やしてみようか」
「ち、ちが……やぁぁっ!」


 ノックスはどうやら陰核で絶頂したと思っているらしく、陰核への刺激は掠める程度なのに、中への刺激は全然弱めてくれない。
 指が二本、三本と増やされていくなか、私は嬌声を上げながらひたすら絶頂を繰り返した。
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