願いを叶える公爵令嬢 〜婚約破棄された私が隣国で出会ったのは、夢の中の王子様でした〜

鹿倉みこと

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05. 俺はセルヴィオじゃない ※

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「なぜ……」


 セルヴィオは親を見失った幼子のように目を揺らし、掠れた声で呟く。
 彼の様子が気になったけれど、体が熱くて考えがまとまらない。
 せめてもと震える手を精一杯伸ばすと、彼はそっと私の上に覆い被さった。


「フェルマリスの香は、快感を逃しながらひたすら耐えるしかない。あんたは相当な量を嗅いでいるから……悪いが俺で我慢してくれ。純潔は奪わないようにする」
「ん、セル、ヴィオがいい……おねが、い……」
「っ……俺は、セルヴィオじゃない。ノックスと呼べ」
「のっくす……?」
「そうだ」


 セルヴィオの顔をしたノックスという青年は、悲しげに微笑んだあと、私の耳をやわやわと唇で刺激しながら、掠めるように胸の先端を撫でた。


「あっ、ん……ふぅっ、んんっ」
「声を我慢するな。余計につらくなる。この部屋は防音になってるから、いくら声を出しても周りには聞こえない」


 わかったと言いたいけれど、言葉で応える余裕がなく、必死に頷く。
 ノックスは「いい子だ」と囁き、胸の先端をカリカリ引っ掻きながら、私の汗ばむ首筋をぺろりと舐めた。
 途端にお腹のあたりがゾクゾクして、足の間がひくりと疼く。
 
 でも、やわやわした刺激が続くと余計に熱くなるばかりで、少しも楽にならない。
 たまらず声にならない声を上げながら、ノックスのお腹に腰を擦りつけた。


「あっ、んぅ、も、やだぁっ」


 グズグズ泣きながらノックスの首に腕を回すと、彼は熱い息を吐きながら手を下ろしていく。そして下腹部を軽く押すようにして撫で始めた。
 切ない感覚が高まって思わず身じろいだ途端、足の間からごぽりと熱いものが溢れてお尻の方に垂れていく。


「あんっ! やぁ、い、いま……」


 ぬるぬるした感覚に戸惑っていると、ノックスはたたみかけるようにシュミーズの肩紐をずり下げ、ぱくりと胸の先端を咥えた。
 鋭い快感が襲ってきて逃げ出したいのに、胸を差し出すように体が勝手に仰け反ってしまう。


「あっ、あぁぁぁぁっ! やっ、それやぁぁ!」
「逃げんな。イキまくらないと、余計つらくなるぞ」


 ノックスはよくわからないことを言い、胸の先端をしゃぶりながら舌でころころと転がす。
 逃げるように体をよじっても、吸い上げられた胸の先端は固定されたままで、強すぎる刺激を無防備に受け止めるしかなかった。


「あっ、ひぃっ……あっ、あぁっ、ノックスぅ」
「……っは、クソッ……この状況を耐えろってか……」


 ちゅぱっといやらしい音を鳴らして胸を解放したノックスは、ぎゅっと目を瞑って何かを呟く。
 そして頭を軽く振って真剣な顔で私を見つめると、シュミーズの裾をお腹まで捲り上げ、足の間にゆっくり指を添わせた。
 ギリギリそこに留まっていた液体が、ぷちゅりと押し退けられて溢れる。


「……ぐっちゃぐちゃに濡れてる。つらいだろ。めちゃくちゃ熱い」
「んっ、んぅっ、ふ……ぅ、あぁ、あんっ」


 胸の先端に舌を這わせながら、膣口のごく浅い部分に指をつぷつぷ出し入れされ、期待感でお腹が震える。


「あっ、あぁっ、もっと、奥、してぇ」
「ダメだ。ここはこれだけで我慢しとけ。代わりにこっちで気持ちよくしてやるから」
「え……ひっ!? あっ、あぁぁっ、そっ、やぁぁあぁ!」


 出し入れしていた指をそのまま上に滑らせたノックスは、コリコリした肉粒をにゅるりと撫で回した。
 今までとは比べ物にならない快感が、一気に腰を浮き上がらせる。


「あっ、ぁあぁあぁぁ!!」


 腰をガクガク突き上げながら、受け止めきれない快感を逃そうとするけれど、ノックスの指は執拗に敏感な部分を追いかけ回した。


「上手だ。そのまま連続でイッちまえ」
「やっ、やめっ、いま、むりぃっ! あっあっあぁあ!」


 頭が真っ白になるたび、ノックスがあやすように褒めてくれる。気持ちよすぎてつらいのに、ノックスが微笑みかけてくれるのが嬉しくて、弱点を自ら差し出し続けた。


 
 ノックスの指に翻弄され、どのくらいの時間が経ったのだろう。気がつけば、ノックスの膝の上で後ろから胸と陰核を愛撫されて、ビクビク体を震わせていた。
 ノックスはシャツを脱いだらしく、背中に感じる彼の素肌の感触が心地いい。


「はぁっ、はぁっ……んっ……」
「かわいいな。ほら、少しは香の効果も抜けてきたか?」
「やぁ、もっと……」
「わかってる。やめないから心配するな。たくさん気持ちよくしてやる」


 ノックスが耳を甘噛みしながら優しい声で囁く。
 思わず彼の胸にもたれかかるように擦り寄ると、お尻にゴリゴリと硬くて熱いものが触れた。


「あ……のっくす、これ……」
「っ……これは気にしなくていい」
「あなたも、香を、嗅いだの? つらいでしょ、ね、私も……」


 こんなに苦しいのだもの。ノックスだってつらいに決まっている。
 ノックスが私を助けてくれるように、私もノックスを助けたい。その一心で這うようにノックスの膝から降りると、黒いブリーチズに手をかけた。


「お、俺はいい! おい、やめっ――」


 一気にブリーチズを下ろすと、やっと解放されたとでもいうように、ノックスの陰茎がぶるんっと勢いよく飛び出す。それは赤黒く、血管が浮き出ていて、想像より遥かに大きかった。
 驚きつつも、つるりとした部分に手を伸ばす。


「やめろ! あんたは今マトモな状態じゃないんだ。そんなことしたら絶対に後悔する……っ」


 そっと握った先端はとても熱くて、ぬるぬるしていた。
 陰核を撫でられたときの快感を思い出し、とろりと溢れるものを塗りつけるように撫で回す。


「今はダメだ! ほんとに、や、やめろ……!」


 そのままにゅるにゅる撫でていると、先端から突然びゅるりと白い何かが吐き出された。
 手で受け止めきれなかったぶんが頬に飛び、目を見開く。
 そのあまりの熱さと勢いに唖然としていると、ノックスはよくわからない声を上げながら天を仰ぎ、ガクリと項垂れた。


「……クソ、こんな……」
「すごい。熱い……」


 指先にはとろりと白濁した液体がまとわりついている。
 いやらしい匂いにお腹が疼いて思わず舐めると、「これは香が」だとか「本当はこんなに早くない」だとか呟いてたノックスが、もの凄い速さで私の腕を掴んだ。


「お、おま、な、何してるんだ!」
「ん……これ、もっと欲しい」


 疼く下腹部をさすりながらノックスにのしかかり、いまだ硬いままの陰茎に肉粒を擦りつける。
 にゅちにゅちといやらしい音を立てながら腰を振ると、凄まじい快感が体を貫いた。

 体が疼いて、もっと奥まで欲しくて、腰をゆらゆら揺らしながら陰茎の先を追いかける。
 すると慌てたようにノックスが起き上がり、そのままの勢いでベッドに押し倒された。


「ほんとに入ったらどうする。人の気も知らないで……俺がどれだけ我慢してると……」


 ノックスが恨めしそうな声を出す。そして私をくるりとうつ伏せにすると、腰を高く上げさせた。
 力が入らなくて上半身をベッドに沈めたまま、太ももを擦り合わせる。
 ノックスは私の頭にキスをひとつ落としてから、ぬるりと陰茎をぬかるみに挟み込み、撫でるように往復し始めた。


「ふぁ……ん、これ、きもちぃ……」


 背中にノックスの体温を感じながら快楽に身を委ねる。
 しかし次の瞬間、突然乳首を捻り上げるように摘まれ、思わず嬌声を上げながら仰け反った。
 少し痛いぐらいの刺激なのに、それが凄まじい快感を生む。


「あぁぁっ! な、こんな、やぁあっ、あぁ、ん!」
「少し酷くされる方が好きみたいだな。ほら、いくらでもイけっ」

 
 胸を鷲掴みにされながら陰茎の段差に引っ掛けるように敏感な部分を擦られて、いやらしい声が止められない。
 
 苦しいぐらいの快感が押し寄せて必死に許しを請うけれど、ノックスは一向に動きを止めようとはしなかった。
 そして何度も絶頂を繰り返しているうちに、ぬかるみを往復していた陰茎が、粒を押し潰しながら強く細かく擦り立てる動きに変わっていく。


「あっあっ、のっくす、またきちゃう!」
「っく、俺も……エレアノール、今だけは……」
「あぁっ、あぁあぁぁっ!」
「……っエラ……!」


 ぎゅうっと強く抱き締められ、一際強く粒を捏ねられて目の前が真っ白に染まる。同時に太ももからお腹にかけて、どぷどぷと熱い飛沫を感じた。

 深い絶頂が終わると、体の力がくたりと抜ける。
 とてつもない疲労感に、そのまま瞼が下り始めた。


「あ、ん、ノックス……」
「よく頑張ったな。このまま寝てしまえ」
「や、いかないで……」
「大丈夫、目が覚めるまでそばにいる。さあ、目を瞑って。お休み……俺の――」
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