マジックアイテム「すま~ほ」異世界だって稼ぎます!

八木小町

文字の大きさ
上 下
8 / 32
第一章 異世界で生き抜くチュートリアル

7

しおりを挟む
 目が覚めて「すま~ほ」を確認すると朝の7:00だった

「目覚ましかけてもいないのに、こんな時間に起きるとか今までだったらありえないな」

 今まではギリギリまで寝ていたくて、起きてこない私を毎日のようにママが起こしに来てくれていたけど、今は自分で起きて全て準備する。

世話をしてくれる人がいない事が寂しかった…。



「はぁ~、起きよ!」

 寝袋を簡単に丸めて、テントの外に出ようとしたら、出られない…!!?入口のチャックが開かない!

「ええっ!不良品!?」

 そんなバカな、昨日開けたばかりの新品なのにーやっぱり試作品だから壊れやすいのかな…チャックの根元をよく見て慎重に下ろしてみる事にした。

 動いた!!

「なんだ、引っかかっていただけか~」

 ジー…。チャックをゆっくり下ろし始めると、急にテントが揺れだした!

「えっええ!な、なに!?」

 急な揺れに驚いていると、下ろしていたチャックのすき間から、外が見えて

ものすごい嵐だった!

「まじでー!!?」

 ジ!急いでチャックを閉めると、テントの揺れが収まった、あれか完全防御空間!この性能がなかったら今頃ずぶ濡れ?いや遭難!?

 テスターになってテントを選んで本当に良かった!ヌルゾン本当にありがとう!

 それにしても、昨日全部テントの中にしまっておいてよかったー!焚き火しなかったから道具開封してないままだったし。


 この様子だと、今日は外に出られないかな~食料も水も少なくなってきているけど…仕方ない。まずは昨日の予定どおり(T)…タイム イズ GO。を使えるようにナンシーと相談してみよう。

(T)ポチっ

『いらっしゃいませ!タイム イズ GO。をご利用頂きありがとうございます!』

「おはよう、ナンシー」

『アイリ様~!良かったですわ~。もしかしたらもう、お会いできないかもしれないと思っておりました。先日は大変失礼致しました。わたくし、お得に利用していただきたい!その一心で、アイリ様の意思をないがしろにしてしまっていたと後から反省いたしました。本当に申し訳ありませんでした。』

 今日もゆさゆさ、フルフルともふもふボディが揺れている。ナンシーそんな風に思ってくれてたんだ…胸が暖かい気持ちになった。

「いいの!気にしないで。ちょっとびっくりしちゃっただけだから、それとゴロミとGO機関 を決めたよ!これで、タイGO。始められるよね。」

『ありがとうございますアイリ様!モチロンですタイムGOGOをお使い頂けないのは残念ですが、あくまでもサービスのいっかんですので、選ばれるのはアイリ様の自由です』

 ナンシー!やっぱり可愛いいー。あのメガネキラリン腹黒ナンシーは、たまたまだったんだよね。

『それでは、早速アプリ内にて連結させて頂こうと思います。コチラで進めてしまってよろしいですか?』

「はい。進めてしまってください。あ…手数料とかかかりますか?」

『まさか~、こんな事では手数料なんて頂きませんわ~』メガネをひづめでカチャカチャしている。

「良かった。ではよろしくお願いします」

 画面の中のナンシーの横に大きめな砂時計が現れた。砂時計が落ちるのを2人で見ながら待つ。


長い・・・・・
・・・・・・・・・
・・・・・沈黙が辛くなってきた。


『そういえば、アイリ様はオーソドックスなGO機関を選ばれましたね、勝手ながらもっと新しい所を用意されていらっしゃるかと、思っていました。』

「新しい所?」

 新しい所ってなんだろ?GOBank 以外なんかあるのかな。

『先日のお話の中で、手数料など気にされるようでしたので、GO機関の中にはそういったものがない所もごさいましょ』


なんだって…

一一一一一一一


メガネがキラッと光った。

『あら?どうされました?10年ほど前に出来ましたゴロミとGOBankですが、ゴロミはそれに変わる代用品はございませんが、GOBankに代わる機関はこの10年で発展しまして、GOBank以外にもいくつか機関が増えているではありませんか』

「そ、そうだっけ?」

『GOBankはもっともベーシックなGO機関でして、ゴロミからの入金には手数料がかかりませんが、GOBankからゴロミへの振込は手数料で毎回100GO、その都度かかります。そしていくら入金をして貯めても利子がついたりすることはありません』

「利子!?」

『はい、預けたらやはり少しは利子がついた方がいいと思いませんか?GO機関によっては月々利子がもらえたり、年間での利子だったり、振込手数料が無料だったり色々なサービスがごさいます。』

 ナビ助、そんな事言ってなかったじゃん!!ナンシーから聞くのは知らない情報ばかりだった。

『あらあら、もしかして、やっぱり?ご存じない?なんて嫌ですわ~そんな事ありませんわよね。おほほほ、アイリ様に限ってそんな世間知らずだなんて~無知は損するばかりですもの~、おほほほ』

 口に蹄をあてて、高笑いしている…メガネがずれ落ちそうだ。ナンシー…悔しい!

「あ、あったりまえじゃない!私はそんな利子とか関係なくGOBankが良かったんだから!」

 そんな強がりを言うのが精一杯だった。まだ砂時計は半分残っている。

「ナンシー、時間もう少しかかりそうだしまた後で、きてもいい?」

『はい、大丈夫です。後程のご利用お待ちしています』

ナンシーと別れをつげ、(代神)を呼び出す。ポチっ


「ナビ助ー!!」

『はーい』

「ちょっとナビ助!GO機関って、GOBankだけじゃないんじゃん!なんでちゃんと教えてくれなかったの!?」

勢いのまま、ナビ助に文句を投げつける。

『・・・・キミあの時、ボクがまだ話そうとしているのに、途中でアプリ切ったよね。』

・・・・・ 

 そういえば…あの時、ナビ助はまだ何か話したそうにしていた気がする。

ナビ助の雰囲気がいつもと違う…

『ボクは、ちゃんと教えようとしていたよ。キミが聞かなかっただけで…それで文句言ってくるとかどうなのかな?』

う…言い返せない。

「それは…私が悪いかも、ごめんナビ助」

『悪いかも、じゃなくて悪いよ。だいたい人の話を最後まで聞くのと、契約書は最後までしっかり読むのが基本でしょ、自分が悪いのに人のせいにしないでよね』

ナビ助が怒っている…。

確かに私がいけなかった、あの時はスタートアップセットで頭がいっぱいになっていてナビ助をないがしろにしたんだ。どこかでアプリだし雑に扱っても別に平気って思っていたんだと思う。

 でも、ナビ助はただのアプリじゃなくて意思を持って私に答えてくれている。だいたい普通のアプリなら寝たりもしないし…この異世界で私を一番最初に助けてくれたのに、応えてくれるのは当たり前って思っていた。


「ナビ助、本当にごめん。ナビ助はちゃんと私の疑問に答えをくれていたのに、応えてくれるのが当たり前だって思っていて自分の聞きたい所だけしか聞いていなかった。これからは、ちゃんととナビ助の話を聞く、向き合う!だから許してください。」

 テントの中で、地面に頭がつきそうなくらい頭を下げた。

・・・・・・・


『もー。別にそこまで怒ってないよ、ちゃんと聞いてねってだけだよ、大げさだな~』

 許してくれたみたい…口調がいつものものに直っている。安心したら涙がでてきた。

「え~ん、ごめんねーナビ助~、これからもよろしくー!!」

『えっ、キミ泣いてるの!?ちょっとやめてよ』

「だって~ナビ助に嫌われたら私、この世界に友達いなくなる~」

『友達!?キミボクの事友達だって思っていたの?』

 言葉にならず、ウンウン。と首を上下に振り肯定する。

『ふ~ん…友達かぁ・・・・代理とはいえ神様にたいしてキミって、大胆だね~。まぁ、悪くないけど…ボクもちょっと言い過ぎちゃった、ごめんね。これからもよろしくね。』

 ケンカして今までよりも、ちょっと仲良くなれたような気がした。

「うん、よろしく」


『ところで、話しはGO機関の事でよかったの?他の種類も説明する?』

「ううん、もういい、GOBankあるから大丈夫。それで、タイGO。に登録してくれるようナンシーに頼んだ」


『ふーん。・・・・担当者に丸投げしてきたの?変な連結されてないか、後でちゃんと確認しなよね、手数料高いプレミア会員とかさ』

少し考えたのか、間を開けて言ってきたナビ助の話しに驚愕した…ぷ、プレミア会員!?ナンシー!?



「あーーー!!ごめん、ナビ助また後でー!!」

『ちょ!』またもや、ナビ助の話をさえぎってアプリを切った。


「ナンシー!!ちょっとまってー!!」


その後ギリギリセーフでプレミア会員登録を回避した!


『チッ』

ナンシーのメガネをカチャッと直した。



本日の教訓

人の話しは最後まで聞く。契約は人任せにせず最後までキチンと自分で確認する。


ナンシー…本当に油断ならない。







しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

修復スキルで無限魔法!?

lion
ファンタジー
死んで転生、よくある話。でももらったスキルがいまいち微妙……。それなら工夫してなんとかするしかないじゃない!

異世界転生ファミリー

くろねこ教授
ファンタジー
辺境のとある家族。その一家には秘密があった?! 辺境の村に住む何の変哲もないマーティン一家。 アリス・マーティンは美人で料理が旨い主婦。 アーサーは元腕利きの冒険者、村の自警団のリーダー格で頼れる男。 長男のナイトはクールで賢い美少年。 ソフィアは産まれて一年の赤ん坊。 何の不思議もない家族と思われたが…… 彼等には実は他人に知られる訳にはいかない秘密があったのだ。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する

高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。 手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

処理中です...