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七通目:奔走の末路
しおりを挟む人はそれを運命の分かれ道と例えたり、分岐点と呼んだり、時に望み、時に絶望する。
自分の出した答えが他人の命をも左右したとして後悔しない人間などいるだろうか?
そして絶望の中でおとぎ話の様な時空間すら越えてしまう手紙の存在を知ったとして、あなたなら信じることができるだろうか?
彼は時空郵便配達人である私の存在を知る唯一の人間。
テレビドラマで幾度となく見た。
鉄橋やビルの屋上。
虚ろな目をした人が靴を揃えて置いてその上に生涯最後となるであろう手紙を添える。
柵を越えて身震いをして、見下ろす先に自分の人生の終わりを託す。
そんな人を呼び止め、話を聞いてあげて、柵の内側に引き戻す。
そんな人間になりたかった。
「……なのに」
俺はビルの屋上にいた。
スーツ姿、鞄、左手には今ではなかなかお目にかかれない便箋に綴られた手紙。
靴を脱いで柵の側に揃えて置いた。
デジャヴュの様に思えたのはきっと、何回も見たサスペンスドラマとかハートフルな学園モノドラマのシーンと重なったからだろう。
バカらしいと言えばバカらしいんだけども、オレの最後の選択はその紛い物の常識みたいなものに託されたのだった。
「長かった。いや短かったんだろうけど、俺にとっては長かったんだよ……途方もないほどにさ」
揃えた靴の上に便箋を置いた。
何が理由だったかは思い出せない。
ただこの世界の全てに絶望をしても仕事を夢中でしていた時の自分だけは嫌いにはなれなかった。
だからドラマとは違うかも知れないけど、最後の旅路はこの仕事の相棒とも言える鞄を共にすることにしたんだ。
「さぁて、行こうか」
手提げ鞄の持ち手に無理矢理手首を通して、両手を柵にかける。
抱いた気持ちは諦めが96パーセント。
そしてみっともないんだけど、期待が4パーセント。
見下ろした街並みは俺の存在なんておかまいなしに流れている。
今からここから男が飛び降りますよ?
人、一人が命を投げ出すんですよ?
返答はない。
ならばもういいじゃあないか。この手すりから手を離し、40センチほど先に足を伸ばす。
そのままではただ落下して足を折るだけ。
最後に勇気を振り絞るのは、ここから飛び降りることではなくて、必ず死ねるように頭から落下するよう体勢を変えること。
それだけだよ。
それだけで、オレというなんの魅力もない主人公が演じる人生なんて大それた名前の悲劇は幕を閉じるんだ。
「……ははっ。こえぇ」
見下ろしてみるとヘソの下あたりが吸い込まれていくような感覚がした。
それと同時に血の気が引く。身震いもした。
本能が警鐘を鳴らしていると言うのならさいごのさいごくらいそのスイッチはOFFにならないものかなんて考えた。
そしたら何もかもを投げ出して終わりにできるのに。
そしたら最後の我が儘で思い知らせてやることができるのに。
しっかりと手すりを握りながらオレはふと空を見上げた。
ネオンに邪魔をされてもなお、輝いていた星々を見た感想なんて決まってる。
「ちっきしょう。
綺麗だなぁ」
目を瞑った。
頭を本の数秒前の吸い込まれそうになる映像がかけめぐる。
からだ全身が警鐘を鳴らしている。
ゆっくりと。
恐らくは最後になるであろう酸素だとか二酸化炭素だとか、水素もあるのか?窒素もあるのか?そんなものを吸い込んだ。
そして足を支点にするように、オレは頭を傾けていく。
止めることなどできないように勢いをつけて頭を差し出した。
鉄棒の前回りとも、マットの前転とも違う三半規管の反応で少し気持ち悪かった。
たぶんのそれらとの違いは恐怖の有無。それだけだったんだろう。
手すりから手を離す。
さぁ、これで終わりだよ。
終わりだ。
結局さ。
オレは頑張ってもヒーローにはなれなかったし、4%の希望を託したヒーローは現れなかったよ。
せっかくの自分が主人公のドラマの中で何でオレは自ら脇役に甘んじたのだろうか。
まぁ、いまとなっちゃあどうでもいいんだけどね。
って、あと数秒もすればコンクリートに叩きつけられて死ぬってのにこんなに頭回るものなんだな。
冥土の土産話はこれで決まりかな?
話す相手がいるのかもしらねぇけどさ。
「…んじゃ、ダメだぁああっ!」
手すりから離した手首をがしっと捕まれて、身体が斜にかたむき、空中にさらされる状態で停止した。
その衝撃で目を開けてしまったオレの眼前にあったのは、死へと誘う黒い影の様に見えたコンクリートであった。
「くっ・・・うっ・・・」
右手にギリギリと痛みが走る。
そこがオレを支えている支点であり、体重のほとんどと、重力でもって下方に落下しようとする物体を留めるために引っ張る力と、離れないように握りこまれた力が発生しているのだから。
「死んじゃダメだ!こんな終わりかただなんて僕は絶対許さない!!」
オレを支えていたのはオレより10は若いであろう生年だった。
ヒーローなんかいないって。
4%なんて希望は起こり得ないって。
自分の存在なんか不必要なものであるって。
そう思って。
そう見限って投げ出したのになんだよ。
「なんだよ、ちくしょお……」
青年は歯を食い縛りながら必死で自分よりも重たい人間を引き戻そうとしていた。
首をひねると、その青年の腹部にさっきまでオレが握っていた手すりが深く深くめり込んでいるのが分かった。
このままじゃ、せっかく目の前に現れたヒーローまで死んでしまう。
「…くしょう。ちっくしょおおお!」
オレは青年の手を握りしめ思いきり腕を屈折させた。
その分身体は手すりへと近づいていき、空中で上半身を少しでも後ろ向きに変えていく。
最近たるんできた横っ腹が痛ぇけどそんなこと言ってる場合じゃない。
「…っつ。
早く、左手で手すりを」
「うおぉ!」
青年にひっぱられる右手。
残された左手を思いきり手すりへと伸ばす。
「ふっ…ぐぅぅ」
「うおおおおお!」
そして、投げたされた身体はその前傾を引き戻されて、オレの左手は硬質な手すりを掴んだ。
次の瞬間。
「……ありがとうございます」
小さい声が微かに耳元で聞こえて、オレの視界の右端から、黒い何かが落下していった。
「……は?」
右手首がやけにジンジンした。
オレは視界を横切った何かを確認しようと首を右に向けていく。
オレを支えていた青年の姿はそこにない。
屋上には誰もいない。
じゃあ、さっきのヒーローは?
いなかった?幻想?あれらは恐怖から来るオレの妄想でまだ飛び降りてなどいなかった?
「違うよ」まるでそう返答したかのように、遥か下方から何か重たいものが地面に落下し叩きつけられて潰れる音が聞こえた。
「おい、嘘だろ……?」
手すりを持つ手は小刻みに震えていた。
オレはゆっくりとゆっくりと、その不快な音がした場所を探り見つけた。
ビルの屋上から見ても分かる黒い血だまり、身体が力なく横たわっているのが確認できるのに、どうしてだか頭部は確認できない。
つまり、頭部は砕かれその原型を留めていないことがうかがい知れた。
「あっ……あっ、あぁぁぁあっ」
オレは手すりを持ったままで数十センチしかない足場に砕けるように座り込んだ。
「殺した。オレが彼を……」
救急車を。
いや、そんなことしたら殺意はなくてもオレは殺人になるんじゃないのか?
だったら、オレも飛び降りる?
「……無理だ」
あの恐怖をもう一度味わいながら、その果てがあんな無惨な塊になるとわかって飛び込むなんてできるわけがない。
じゃあ、どうしたら良い?
逃走するか?普通の毎日へ。
嫌気がさしていたありきたりな生活へ逆戻り?
じゃあなんのために彼は死ななければならなかったんだ?
「ありがとうございます」
あれは何に対してだったのだろう?
オレが生きようとしたこと?
自分が人の命を救うという大偉業を成し遂げることができたこと?
いや、そもそも彼はなんでこんな場所にいたんだ?
「この時間にこんな場所に来る理由……
そんなの」
1つしかないじゃねぇか。
オレと同じ理由。
「おえ。はぁ、はぁ」
オレは震える手足でゆっくりと、立ち上がり、その手すりを越えた。
辺りを見渡すがあるのは脱ぎ捨てたオレの靴と、最期に残すはずだった手紙だけ。
彼のものはない。
「もし、遺書があるのなら彼は持ったまま?」
オレはすぐに非常階段を降りていく?
もし、彼も自らの命を投げ出したくてここへやってきたというのなら彼の死を完遂させなければならないと思った。
非常階段を降りた先は、死体がある場所の東側、この壁沿いに歩き左を向いたらそこには彼が。
彼の亡骸が転がっている。
角まで差し掛かって無意識に足が止まった。
いや、地面に強力な接着剤か何かが塗布されていて、靴が足が離れない感覚に近い。
「こえぇよ」
この角を曲がったら死体が転がっている。
本来だったら自分がそうなっている姿がそこにあるんだ。
ただの転落死した人間の亡骸じゃない。
それは、数刻前までの自分のなれの果ての姿。その写しが転がっているのだ。
オレは激しくなる動悸を抑えるように胸に手をあてながら、角を曲がった。
無意識にそこに焦点が合わないようにぼんやりと眺めているのが分かった。
それでも確かに地面には何かがいる。いや、何かがある。
オレは意を決してそちらへと視線を下げていく。
「それじゃあ、手紙は受けとりましたぁ」
目を離した訳じゃない。
瞬きだってしていなかっただろう。
濃い緑色の制服に、鞄をぶら下げた男が軽薄そうにそう言って消えた。
「なんだったんだ今の?」
いつの間にか現れて、脱帽しながら死体に頭を下げて、瞬く間に消えた。
だが今はそれどころじゃあない。
「うっぷ。おぇぇええつ」
直視した死体は頭部の損壊が激しくて、オレは胃の中から込み上げるものを全て地面に吐き出した。
身体中がガタガタと震えて、情けないことに涙も鼻水もボタボタとこぼれ落ちていく。
ゆっくりと四つ這いになりながら近づいていき、うつ伏せに果てた死体の尻ポケットを探るが何もない。
ゆっくりと慎重にオレは彼の亡骸を仰向けにする。
泳いだ視点が見たくもない彼の頭部を写したときにまたオレは胃から透明な液体を吐き出した。
ズボンの両ポケットにもない。
残るは真っ赤に染めあげられてしまった胸ポケットくらいだろうか。
まだ乾いていない血がぬるっと滑った。
オレは意を決して彼の胸ポケットを探る。
そこからは八折りにされ小さくなった紙が出てきた。
ひらいてみるとA4紙を半分に裁断したものくらいの小さな小さな手記だった。
『この手紙を発見された方へ
私はこの最後の手紙で何かを伝えたい人というのが見つかりませんでした。
両親は亡くなり、最愛の弟も先立ち家庭もなく、仕事場は義務を果たす場でしかなく、居場所はありませんでした。
後悔があるとすれば何か1つでも誰かの為にしたことで胸を張りたかったなぁ。ということでしょうか。
結局は命を投げ出したところで死後の処理など他人に迷惑をかけるだけで終わってしまった。すみません。
すみません。すみません。すみません。すみません』
ようやく分かった。彼がオレに言った「ありがとうございます」の意味が。
そして同時に沸き上がる感情?
彼は死ぬ間際、たまたま自殺しようとしたいたオレを見つけて、救出した。
他人様の命を救うことで、胸を張れる自分を見つけることができた。
だからその言葉をオレに吐いて、満足そうに命を投げ出したのだ。
「なんだよそれ……」
沸き上がった感情は、感謝とは正反対の憤り。
「てめぇは結局オレと同じじゃねぇか!しかも、恐怖を乗り越えて投げ出したオレを、勝手に救った気になって自分は満足しながら死ぬだと?」
オレはその手記を握りつぶした。
「ふざけんな。てめぇの都合押し付けて勝手に死んで、救ってやったと思ってるオレには死ねねぇトラウマ植え付けやがって。
認めねぇ。認めねぇよ!」
ヒーローはいない。
結局命を投げ出してまで掛けたものは96%の大失敗だったってわけだ。
「こんなやつのせいでオレの人生が勝手に続いていくなんて認められるわけがねぇだろうがよ!!!」
空に向かって吠えた。
むせかえる血の匂い。
再三の嘔吐と垂れ流した涙や鼻水で頭がくわんくわんと唸っている。
「おやおや、随分と荒れていますねぇ」
後ろから人の声がして我にかえる。
しかし、妙だ。
死体を目の前にして落ち着きすぎている。
死体を目の前に叫ぶ男を見てもその声に不安も焦りも何もかもを感じない。
オレはゆっくりとその声の方へと振り返った。
「どーも初めまして。毎度お騒がせ、安心便利をモットーに過去も未来もヨヨイのヨイ。時空郵便のものでーす」
深緑色の制服、唾の黒い帽子。
その影で目が見えないが口元はいやらしく笑っている。
ぶらさがったバッグ。
「初めまして……だと?」
オレはこいつをどこかで見ているはずだ。
思い出せ。
いつ?どこで?どんな状況で?
こんな怪しいやつの記憶がそうそう薄れるとは限らない。
なにかもっと大きな衝撃でもない限りなくなるはずがない。
「……あんたさっき、この男の前で何かを言ってなかったか?」
オレの言葉に男の口の端がピクッと動いた。
「いやだなぁ。あたしは今ここに着いたばかりですよ。まぁ、そんなことは置いておいて、時空を越えて過去や未来のアナタに届けることができる手紙には興味ありませんか?」
男の口元がよく漫画やアニメの悪者が見せる邪悪な笑みのようにぐいっとつり上がった。
「過去や未来のオレに宛てた手紙だと?」
「はい。人生でたった一度だけ出すことのできる手紙です。内容はよーく考えて書いてくださいね。
この手紙は必ず過去か未来のアナタへと届きますが、アナタの過去や未来が必ずしもより良いものへと変わるという保証はできませんので」
確かに。
もし天文学的な確率でもって、この話が真実であったとして。
だからといって過去か未来のオレがそれを信用して行動を変える保証なんてものはないだろう。
ならば書く文章にはそれなりに、他人(こいつと出会った事実を認識していない自分は他人と同等であると判断したもの)を操作できる内容にしなければならないということ。
「しかし、落ち着いてますねぇ」
男の言葉は最もだが。
落ち着いている理由は自分の中では明確だった。
オレはオレを利用して自分だけは満足しながら死んでいったこの男に心底ムカついていた。
この気持ちを、激情を、憤りを怨みをはらすためならば如何なる手段をも使いたい。それが今のこの状況でのオレの行動原理だった。
「分かった。じゃあ2時間前のオレに手紙を出したい」
「宛先は"2時間前の過去のアナタ"ですね?承りました。
では、この時空手紙にお書きください。書き終わったら封筒を閉じることで宛先のアナタへと送られます」
オレは男から便箋と封筒を受け取り、そこに手紙をしたためた。
そして、封をする。
「確かに承りました」
封筒と筆記用具の一切は一瞬にして消え、男は脱帽しながら頭を下げると音もなく消えていったのだった。
時空郵便は今日も誰かの元へ。
したためるものはアナタ自身への救難か、疑問か、激励なのか。
それとも誰かへと向けられた感情なのか、どれを選ぶのかはアナタ次第。
この手紙によって迎える末路はまた後ほど……
「どーもー。毎度お騒がせ、安心便利をモットーに過去も未来もヨヨイのヨイ。時空郵便のものでーす」
「奔走の末路」......fine?
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