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prologue:積まれた書籍とタバコケース

街を照らす灯り

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 シドの問いは聞こえているのか、金色の瞳は確かにシドを見ている様に感じる。少女は目だけを動かして、温かな温度を感じる左頬に当てられた大きな手を見る。

「ぬお、知らんおっさんに触られたら嫌だよな。すまん」
「・・・・・・ン」
「え、なんて言ったんだ?」

 慌てて手を引いて、年甲斐も無くあたふたとするシド。少女が何かを呟いたが、聞き取ることが出来なかった。聞き返された言葉に、少女が改めて答えたが、よく耳をすませていてもようやく聞こえるくらいの小さな小さな声だった。

「私は・・・・・・ネオン」

 「不敗の兵器」などと勝手に呼ばれブレイグルとして酷い扱いを受け続け、つい最近までは奴隷として玩具の様に扱われていた。人の命を簡単に消すことができる強大な力を持つ畏怖される存在である、少女の名前はネオン「街を照らす灯り」。その相反するような意味を持つ名前はどこか矛盾を抱えている様にも感じたが、それよりもシドは名前に込められた意味を願い与えたネオンを大切に想う存在が居たことに安堵した。

「ああそうか、ネオンか。ネオン、君は大丈夫かい?」

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