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存命編
ep16 書斎と十字架
しおりを挟む(……本当に、、あった、、!! )
俺は驚きを隠せずにいた
感動で涙さえも出そうなくらいだった
飛び込んだ先は 広場 みたいな所で
床 壁 天井 全て白だった…
さらに周りを見ると
この部屋は各々に壁の中央に黒いドアがある
つまり4つの扉があることになる
「こ、ここがアリシアの家?…」
俺は後ろへ振り返って
階段から降りてきたアリシアに訊くと
「ええ 本当に白いでしょ? 」
少し笑いながら返してきた
しかし俺は薄々と得体のしれない恐怖を感じた
(アリシアの外見はどう見たって外国人
しかし日本語を流暢に話している…
どう見たってコレが家なのは普通じゃない…… )
そう思った俺は……
「アリシアは…
学校 に通ってた時期はあったの? 」
そう切り出した
今の日本には中学校までは
必ず学校に行かなければならない制度がある
いわゆる 義務教育 だ
(アリシア 君はなんて答える?… )
そう思っていると彼女は少しも動揺せずに
「聞いたことはあるわ 」
と何も隠さずに答えた
その答えを聞いた瞬間に俺は思った
(あの手帳に書かれてたことは本当だった……
コイツは少なくとも人間じゃない
手帳の持ち主の 実験物 だ、、!! )
「がぁ"あ"あ"あ"あ"っ"………!! 」
気づけば俺は必死に叫んで
目の前のドアに向かって走り出していた
(逃げないと… 逃げて………
藤村 や 岩見 に伝えないと…!! )
この世界には………
人間でもゾンビでもない第三者が居ることを
「なにっ……? どうしたの、、? 」
背後から彼女の動揺した声と足音が聞こえる
こちらを追ってきているようだ
(出来れば階段を登ってすぐに外へ
行きたかったけど…)
アリシアが出口を塞ぐように立って居た
だからまずは………
(アリシアを振り切ってやるっ!! )
俺は目の前のドアまで走り
素早く開けて室内へと飛び込んだ
飛び込んだ先は 図書室 だった
(ここならさっきの広場よりは
視線が通らなくなるから逃げやすい )
俺は急いでドアを閉めて中を駆け回った
ガチャ……
誰かがドアを開けた音が響く
いや…それが彼女なのは明確だった
「カミヤさんっ……? 」
そしてアリシアの声も聞こえた
静かに室内の沢山の本棚を利用しながら移動し
次のドアを探していた…
(アリシアは今俺を探しているから
バレないように次の部屋へ行きたい……
そして出口を見張られる前に脱出する! )
そんなことを考えていると
一つだけ明らかに小さな本棚があった
「これは…もしかして、、? 」
そう思い俺は本棚に両手をかける
迷ってる暇なんてないことは十分承知だった
思いっきり本棚を手前に引く
ギギギギギギィ、、!!
この本棚は予測通り隠し扉だったのだ
開かれた先へと足を踏み出した
(コレで…アリシアにも見つからないっ…! )
そうして俺は中へ素早く入りしゃがみこんだ
かなり走ったせいか息が上がっている
後ろで隠し扉が閉まる音を聞くと共に
俺は崩れ落ちるように倒れ込んだ
しばらく目をつぶったまま休み
呼吸が落ち着いたあと立ち上がり前を向くと…
「なんだ…これ、、 」
なぜ今まで気づかなかったのだろう…
俺の目の前には 大きなガラス があって
その向こうには
十字架に括りつけられた 人 がいた
まるで動物が展示されているようだった
「 やはり……ここは狂ってる、、 」
あの日が来なければ耳にさえ入らなかっただろう
世界の 裏 が少しずつ姿を現していく……
以前の常識が覆されていくのを感じ取っていた
~ ep16完 ~
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