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存命編

ep9 手錠と戦闘

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辺りは静かになっていた


私はナイフが貫いている腹部を抑えながら
目の前にいる金髪の少年の背中を
眺めるように見ていた


「貴様、、我ニ手ガ 不自由ナママ
挑ンデ来ルノカ?」


初めに奴から彼に問いかけた
私はその質問の意味がわからなかった


(手が不自由、、?? )


ここからでは背中しか見えないので
よく事態を読み込めないでいると



ジャララ、、



金属が擦れる音と共に彼は両手を上にあげた
色白な両腕には枷が付いていた


(ど、どういうこと??)


そこには 手錠 がはめられていた
奴の大斧とぶつかり合った時に
金属が衝突するような音が鳴ったのかと納得した


(この人は囚人、、?)


などの疑問も出てきた
イマイチよく状況を把握できないでいると


「そうだなー、、
 確かにこれじゃー不便だ 」


やっと彼が口を開いた
そして 



いきなり奴に向かって走り出した



話し合いに持ち込むのかと思っていたので
私は戸惑っていた
彼と奴の距離がかなり縮まると
奴が片手で大斧を振り上げて


「潰レロ、、」


一言述べた後に走り迫ってくる彼に
大斧を振り下ろした



ドギャアッ!!、、



地面が抉れて嫌な音が走る
その音についつい目を閉じてしまった
でも 彼 が気になり目を開けると



ギュアッッ!!、、



振り下ろしを避けた彼が奴の背後に回り込み
飛び跳ねて半分奴の肩に乗るようにして
手錠に付いている鎖で首を締めていた


「堕ちろっ……!!」



彼はそう叫んで両腕の 交差 させていた
しかしその鎖はあまり丈夫ではなかったらしく



バキンッ!!………
 


鎖が切れてしまった
辺りに鎖の破片が散らばるなかで


「やばっ、、」


彼がそう言って奴の肩から飛び降りて
奴の方に向き直った瞬間


「小賢シイッ!!、、」


奴が叫んで 
彼に向かって大きな拳を突き上げた



ガギガギッ、、!!



奴の拳が彼の手首の手錠に当たる
まるで金属同士が擦れ合うような音が響いた
思わず耳を塞ぎたくなるなか


(彼は ワザと狙っている??、、)


1回目は奴の大斧に手錠をぶつけた
2回目は手錠の鎖で首を絞めた
そして3回目は手錠で反撃を防いだのだ



彼は明らかに戦闘慣れしている様子だった
そう思うしかなかった 



「我ラノ 身体ガ、人間トハ 違ッテ
硬イコトヲ 知ッテイルナ…………」


大斧を構えながら奴はそう言った
その言葉に対して彼は物怖じした様子はなく


「知らねーよ そんなの 
身体が勝手に動いてるんだよ 」


「 我々ノ 身体ハ 人間ニ 殴ラレタ グライデハ 
傷一ツ負ワナイ 」


「へー? なら試してみるかっ!…」


そう言って彼は
今度は先程のように走って奴へとの距離を詰めて
そして真正面から右手で殴りかかった



バキィッ、、!!



完全に予想できたことだが
やはり奴はビクともしないまま立っている


「マジかよ……本当に硬い、、」


分が悪いと見たのか彼は一度退がろうとするが
奴はそのまま距離を詰めて右足を振り上げた



ドガッッ!!………



「がっっはぁっ……!! 」


そして重い蹴りの追撃が入ってしまう
両腕を交差させて防御したものの
彼の身体は後ろに転がって壁に打ち付けた


「ぐあ"っっ……… 」


彼がそう声を上げてグッタリとしてしまった
全身から力が抜けたようだった
奴は間髪入れずに奴が私の方を見てきた 
そして……… 



「続キダ……… 殺シテヤル、、」



そう呟いた
その文字通りな死の宣告に私は硬直した


~ ep9完 ~

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