上 下
33 / 89
復讐編

ep32 大炎と虚ろ

しおりを挟む


左腕の骨をバキバキに折られた河島は
弱りながらも


「なんでそんな事を聞くんだ?… 」


と喘ぐように聞いてきた
既に限界を超えているようでいい気味だった


「ライターを貸して欲しいからだよ」


そう自分は答えながら
奴の動き一つ一つを注視していた

奴は顔面の次は
身体中を引っ掻き始めて
部屋中に 奴の体液 が飛び散っている


「アノ時ッ、、 アノ時ニッ…!! 」


奴がそう叫んでいるなか
河島がポケットからライターを取り出し渡す


(やるしかないか、、)


受け取った自分は刀を 逆手 で持って走りだし
奴の右足の指元ら辺を狙って
思いっきり突き刺した



グジャッ…!!



足に刺さった刀はクギのような役目を担い
右足を床から離せないようだ 


( よしっ… このままっ…! )


そのまま自分は半歩さがり
ガソリンの入ったポリタンクの蓋を開けて
勢いよくかけた後に

殺虫剤を拾い
ライターを奴の方に向けて着火した

そしてそのライターの火に向かって
殺虫剤のレバーを引くと、、



ボアアアアアッ……!!



火炎放射器のようになった
ライターの火が奴の身体を蝕んだ


「ガガガガッ、、、」


奴は燃えながらそう叫んで
刀が刺さっていて固定されている脚を
無理やり動かそうとしている



ズシャッ…!!




固定されていた右足が千切れ自由になった奴は
減速してはいるが自分に接近してくる


( なっ… コイツ、、!?!? )


自身の足首を犠牲にしてまで前進され
予想外な状況に固まってしまった自分は



ゴガッ…!



奴に首を掴まれて
締められながら上に持ち上げられた


「がっ… ぐあっ…… 」


首を絞められて
どんどん苦しくなっていく…………

大型ナイフに手を回そうとしても
首を掴まれる際に
落としたらしく手に取ることはできなかった


「コレデ、、終ワリダッ…!! 」


奴が自分の身体を投げようと
体制を整えた その時…………………



「終わらせねーよ、、」



意識が遠のくなかで
そう微かに河島の声が聞こえた


( 河島……? お前死ぬ寸前じゃ……… )


そして気がつけば
自分の首を締めていた奴の腕の物凄い圧迫感が消える



自分を掴んでいた 奴の左手首 が
河島の上段で切断され地面を転がっていたのである



~ ep32完 ~

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

そんなに妹が好きなら死んであげます。

克全
恋愛
「アルファポリス」「カクヨム」「小説家になろう」に同時投稿しています。 『思い詰めて毒を飲んだら周りが動き出しました』 フィアル公爵家の長女オードリーは、父や母、弟や妹に苛め抜かれていた。 それどころか婚約者であるはずのジェイムズ第一王子や国王王妃にも邪魔者扱いにされていた。 そもそもオードリーはフィアル公爵家の娘ではない。 イルフランド王国を救った大恩人、大賢者ルーパスの娘だ。 異世界に逃げた大魔王を追って勇者と共にこの世界を去った大賢者ルーパス。 何の音沙汰もない勇者達が死んだと思った王達は……

【完結】捨てられ正妃は思い出す。

なか
恋愛
「お前に食指が動くことはない、後はしみったれた余生でも過ごしてくれ」    そんな言葉を最後に婚約者のランドルフ・ファルムンド王子はデイジー・ルドウィンを捨ててしまう。  人生の全てをかけて愛してくれていた彼女をあっさりと。  正妃教育のため幼き頃より人生を捧げて生きていた彼女に味方はおらず、学園ではいじめられ、再び愛した男性にも「遊びだった」と同じように捨てられてしまう。  人生に楽しみも、生きる気力も失った彼女は自分の意志で…自死を選んだ。  再び意識を取り戻すと見知った光景と聞き覚えのある言葉の数々。  デイジーは確信をした、これは二度目の人生なのだと。  確信したと同時に再びあの酷い日々を過ごす事になる事に絶望した、そんなデイジーを変えたのは他でもなく、前世での彼女自身の願いであった。 ––次の人生は後悔もない、幸福な日々を––  他でもない、自分自身の願いを叶えるために彼女は二度目の人生を立ち上がる。  前のような弱気な生き方を捨てて、怒りに滾って奮い立つ彼女はこのくそったれな人生を生きていく事を決めた。  彼女に起きた心境の変化、それによって起こる小さな波紋はやがて波となり…この王国でさえ変える大きな波となる。  

【完】あの、……どなたでしょうか?

桐生桜月姫
恋愛
「キャサリン・ルーラー  爵位を傘に取る卑しい女め、今この時を以て貴様との婚約を破棄する。」 見た目だけは、麗しの王太子殿下から出た言葉に、婚約破棄を突きつけられた美しい女性は……… 「あの、……どなたのことでしょうか?」 まさかの意味不明発言!! 今ここに幕開ける、波瀾万丈の間違い婚約破棄ラブコメ!! 結末やいかに!! ******************* 執筆終了済みです。

《勘違い》で婚約破棄された令嬢は失意のうちに自殺しました。

友坂 悠
ファンタジー
「婚約を考え直そう」 貴族院の卒業パーティーの会場で、婚約者フリードよりそう告げられたエルザ。 「それは、婚約を破棄されるとそういうことなのでしょうか?」 耳を疑いそう聞き返すも、 「君も、その方が良いのだろう?」 苦虫を噛み潰すように、そう吐き出すフリードに。 全てに絶望し、失意のうちに自死を選ぶエルザ。 絶景と評判の観光地でありながら、自殺の名所としても知られる断崖絶壁から飛び降りた彼女。 だったのですが。

夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました

氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。 ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。 小説家になろう様にも掲載中です

御機嫌ようそしてさようなら  ~王太子妃の選んだ最悪の結末

Hinaki
恋愛
令嬢の名はエリザベス。 生まれた瞬間より両親達が創る公爵邸と言う名の箱庭の中で生きていた。 全てがその箱庭の中でなされ、そして彼女は箱庭より外へは出される事はなかった。 ただ一つ月に一度彼女を訪ねる5歳年上の少年を除いては……。 時は流れエリザベスが15歳の乙女へと成長し未来の王太子妃として半年後の結婚を控えたある日に彼女を包み込んでいた世界は崩壊していく。 ゆるふわ設定の短編です。 完結済みなので予約投稿しています。

愚かな父にサヨナラと《完結》

アーエル
ファンタジー
「フラン。お前の方が年上なのだから、妹のために我慢しなさい」 父の言葉は最後の一線を越えてしまった。 その言葉が、続く悲劇を招く結果となったけど・・・ 悲劇の本当の始まりはもっと昔から。 言えることはただひとつ 私の幸せに貴方はいりません ✈他社にも同時公開

侯爵夫人は子育て要員でした。

シンさん
ファンタジー
継母にいじめられる伯爵令嬢ルーナは、初恋のトーマ・ラッセンにプロポーズされて結婚した。 楽しい暮らしがまっていると思ったのに、結婚した理由は愛人の妊娠と出産を私でごまかすため。 初恋も一瞬でさめたわ。 まぁ、伯爵邸にいるよりましだし、そのうち離縁すればすむ事だからいいけどね。 離縁するために子育てを頑張る夫人と、その夫との恋愛ストーリー。

処理中です...