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復讐編

ep19 怪物と咆哮

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自分はそのままゾンビの群れの方へ
全速力で接近していく

後ろから自分の後を続く楽斗の足音が聞こえる
そして自分に気づいたのか
一番近くに居たゾンビがこちらに向かってきた



「お前らの相手は俺だっ!!……」



そう叫んで
周りのゾンビの注意を引きながら 
自分はゾンビにさらに加速しながら近づいて
全力で木刀で薙ぎ払った
  


ドゴァッ!!……



重い衝撃が伝わりゾンビが数体仰け反る
すぐにまた薙ぎ払おうと木刀を引くと…………


「一匹目っ!!、、」



バシャッッ……!!



後ろから来た楽斗が真剣を振りかぶり
ゾンビの首が飛んだ


「おっしゃ! このまま、、」


流れに乗る楽斗が群れに突っ込もうとする
自分も彼に続いて前進しようとすると



「誠ちゃんっ! 楽斗! 待って!!」

 
美九が叫ぶように言った
視線はゾンビを見据えながら彼女の声を聞く
そうしているのは楽斗も同じようだ



「無闇に暗闇へ突っ込んでいくより
こっちの明るいほうに誘き出そうっ…!
だから、上手く誘導してっ!!」



と提案する
すぐにその声に応えた楽斗が


「 確かに闇雲に戦ってもジリ貧かもな………
誠士郎、少し下がろうぜ………… !!」


と美九の提案に応じながら言う


「ああっ!………… 」


と自分も答え一旦下がる…
すると、、



「ゴァア"ア"ア"ア"ッ…………!!!」



と空から何かの咆哮が聞こえた瞬間
宙に浮く黒い巨大な 何か が
女性の乗っていた大きな木に 突撃 した


ドゴンッ!!!…


打ち上げ花火の様な轟音が辺りに響いた
引きつけているゾンビを切り裂きながら
楽斗も注視しているようだった



バギバギバギバギッッ!!………



何かが突っ込んだ大木が軋みながら折れる
生々しい音が耳を劈く



何か……とんでもない怪物が現れたようだ



突撃した後
その黒い影は空へと上昇していった

木が倒れて 女性 が宙に投げ出される
引きつけていたゾンビ達は
倒れた木の周りに集まり蠢いている……


「何なんだ… 今のは、、?」


辺りを警戒し身構えながら楽斗が呟く
自分も気を引き締めながら


「わからない…
でもとにかくゾンビの注目がそれた今が
チャンスだ! リータ! 頼む……… !」


そう言うと自分はリータと共に駆け出し
楽斗もその後を追ってくる
投げ出された女性との距離が5mを切った瞬間に
上から 威圧的な何か を感じた



「 リータッ…! 楽斗っ…!!
救出は頼んだ…俺はコイツをっっ………!!」



叫ぶように指示を出しながら危機を感じた自分は
左へ思いっきり飛び込んだ

物凄い速度で急降下してきた巨大なものに
右足が掠り脚に鋭い痛みが走る……


(飛び込んでなければ死んでた、、 )


暗くてよく見えないけど…
奴は今確実に着陸してコチラを睨んでいるはず



飛んでいる時の バサッバサッ という
羽ばたいている時に響く音が聞こえないからだ



自分は滑りながら素早く起き上がり 
脚が出血しているのを確認した後に辺りを見回す
しかし暗闇でよく見えない


( さて……どうするか、、)


そう思っているとそれに気づいてくれたのか
遠くから東真がライトで辺りを照らした



「 嘘っ……だろ、、、 」



自分の6mぐらい前に佇んでいる怪物は
蛾の頭部と羽をトカゲの胴体に付けた様な生物…
身体には無数の鱗を有していた

鋭く長いキバ 
とどう考えても大き過ぎる爪が 隆々 としていて

 

体長は4メートル以上あった



おまけに飛行能力まであるようだ
今から自分はコイツとサシで戦うのか………?


~ ep19完 ~

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