自衛官?異世界転生して、現代兵器の軍団率いて大国相手に勝利します。

naosi

文字の大きさ
上 下
32 / 52
第3章 不穏な影

第29話 帝国の騎士

しおりを挟む
 カクシを背負って屋敷まで歩いてきた。

「僕をどうするつもりだ?」
「一応捕虜にはなってもらうけど、それ以外は何もするつもりはないよ。」
「僕は何もしゃべらないぞ!」
「構わないよ。別に無理に聞き出そうとは思わない。」

 屋敷に着くと父が門の前で待っていた。それもフル武装で。

「マンシュ!良かった無地だったか。何があった?」

 抱き着かれんばかりの勢いで近づいてきたので、少しビビった。
 背中にいるカクシも少し引いていた。

「帝国のルミノド聖教の精鋭、ヴァルケアと接敵、戦闘しました。」
「あいつらか、懲りもせづにまた、何かしたのか?」
「父さんは何か知ってるんですか?」
「ああ、俺が貴族になった話をしたよな?」
「はい、陛下が暗殺されそうになったのを救ったと。」
「その暗殺者がルミノド聖教の機密部隊、ヴァルケアだったんだ。」

 たびたび、王国内に侵入しては、暗殺や破壊工作、情報収集などを主な任務としているのが、ヴァルケアらしい。
 父も数度、ヴァルケアと戦闘を経験しているらしい。

「そして、背中の奴がヴァルケアの1人か?」
「はい、足を撃って、無力化したところ仲間が口封じに殺そうとしたのを防ぎ捕虜としました。」

 そう言って、背負っていたカクシを下し、肩を貸して支えた。

「あ、あの1つ聞きますが?」
「なんだ?」

 カクシが震えた声で、父に聞いた。

「度重なる暗殺や工作を失敗させてきた、大剣を使う騎士が王国にはいると噂で聞きました。それが貴方ですか?」
「確かに何度か戦ったが、たまたま出くわしただけだぞ?全員弱かったし。」

 カクシはその言葉を聞いて、唖然としていた。
 そして、小声で俺に話しかけてきた。

「ちょ、ちょっと、お兄さんの父親、とんでもない化け物じゃないか⁉ だからお兄さんもあんなに強かったのか⁉」
「確かに父さんが化け物なのは俺も認める。あと俺が強いのは守りだけだ。父さんに攻めるとすぐに負けるから守りながら隙を突いて攻撃する方が勝率が高かったから守りが堅いだけだ。」
(父さんは一体どんな道を歩けば、帝国の情報部隊に出会うんだよ!)
(た、大変だ!怪我が治ったら上手く逃げたそうと思っていたけど、あんな化け物がいたら絶体気付かれる。それに、お兄さんにも絶体バレる!もう逃げる事は捨てて、王国に居よう。)

 俺は呆れていた。そして、カクシは震えていた。父さんは帝国でも有名らしい、悪い意味で。

「それより、マンシュとカクシと言ったか?早く家に入って、シルフィに見てもらえ。」
「分かりました。行くぞカクシ。」

 父さんに言われ、家にカクシに肩を貸しながら入った。
 家に入ると母さんが包帯や薬をリビングの机の上に置いて待っていた。

「マンシュ、あなたまた、面倒事にあったのね。」
「おっしゃる通りです。まさか、帝国軍がいるとは思いもよらなくて。」
「あなた達、親子は厄介事に自ら入っていくスキルでも持っているのかしら?」

 母さんが冗談だぽく言った。

「それよりもこいつの治療を頼むよ。」

 肩を貸していたカクシをソファーに座らせた。

「この傷、マンシュ、あの武器を使ったのね?」
「それを使うしかなかったよ。こいつの斬撃、速さがバカに出来なくて、中々隙が見つからなかったんだ。殺さないように無力化するには、こいつを使うしかなかったんだ。」

 ホルスターのカバメントを触りながら言った。

「弾は取り出してあるわね?」
「戦闘が終わった時にすぐに消毒して取り出したよ。」
「そう、なら傷薬を塗って包帯をして居れば大丈夫ね。」

 母さんがカクシの包帯を外した。やはりまだ、傷が塞がっておらず、包帯に血が滲んでいた。
 血を拭いて、そこにビンの薬を綺麗な布に染み込ませて、傷口を塞いだ。

「ッ!」

 カクシが痛そうな顔をした。
 傷薬が傷口に染みたらしい。

「少し染みるけどすぐに痛みは引くから動かないようにね。少なくとも傷口が完全に塞がるまでは、安静にね。」
「分かったよ。」

 そう言いながら母さんが離れてくいときにカクシが聞こえるか聞こえないか位の小声で言った。エルフである母さんは耳がいいので、聞こえているはずだ。

「さて、マンシュも傷口を見せなさい。」
「やっぱり、気付いていたんだ。」

 カクシとの戦闘時に直接は当たっていないが、サーベルを引く時に何ヵ所かかすっていた傷がある。

「お兄さん、僕の攻撃当たっていたの!?全部交わされるか、防がれていたかと思ってた。」
「全部防げた訳じゃない。腕に何ヵ所か、かすっていたよ。」
「マンシュ、腕を出して、包帯巻くから。」

 母さんに言われ、腕の傷に包帯を巻かれた。
 2人の治療が終わるとリビングの扉が開いた。エルとリルが入って来た。

「マンシュ兄さん、帝国軍と戦闘したってホント!?」
「マンシュ兄様、ケガしてない?大丈夫?」

 俺が帝国軍と戦った事を聞いて心配になって見に来てくれたらしい。そのまま、2人を近くまで呼んで、頭を撫でた。

「心配かけてごめんな、軽く掠ったぐらいだ。問題ないよ。」

 俺がそう言うと2人とも、「ほ、」っと息をはいた。

「それで、そこの人が兄さんを傷けた人?」
「兄様にケガ、させた?」

 2人の気配が変わった。殺気が2人からカクシに向けられた。
 「ヒッ!」2人の殺気を感じ、カクシが肩を震わせた。

「2人とも落ち着け、そいつは今ケガでまともに動けないし、仲間に見捨てられて殺されそうになったのを俺が助けたんだ。」

 そう言うと2人の殺気がなくなり、普段の気配に戻った。

「え、そうなの兄さん。」
「そうだ、2人ともむやみやたらに殺気を振りまくな、せめて、1人だけに向けれるようにしろ。」
「兄様、ごめんなさい。」
「僕もごめんなさい。」

 2人とも納得してくれたようで、俺に謝って来た。

「2人とも謝る相手が違うだろ?」

 顔をカクシの方に向けながら2人に言った。エルとリルもカクシの方を向いた。

「ごめんなさい。マンシュ兄さんを傷つけられて、頭にきて、殺気を飛ばして。」
「私も、ごめんなさい。」

 謝罪されたカクシは、少しビビっていたけどすぐに返事をした。

「いいよ、別に僕も悪かったし、それにしても2人とも何者?その年で、あんな殺気を飛ばすなんて?」

 カクシが疑問に思うのも仕方がないと思う。2人の事をざっと説明した。

「つまり、2人は元帝国の暗殺部隊の所属で、2人をお兄さんが助けて、家族に迎えたと。」
「簡単に言うとそうだ。それよりカクシ、君についても教えてくれるか?」
「まー、別にいいよ、もう帝国には帰れないしね。」
「そうしてくれると助かる。」
「まず、僕の本名は、リーフィル・アイルッシュベル。年は17、生まれは普通の村だけど盗賊に襲われて、1人逃げたところを教会に助けられて、そのまま引き取られて、聖騎士になったんだ。あ、名前は長いからフィルでいいよ。」
「俺も自己紹介をしてなかったな、俺はマンシュ・ナガン。年は18、所属は王国軍特務部隊所属だ。気軽にマンシュと呼んでくれ。それとこっちが母親のシルフィ・ナガン、それとさっきの2人が兄妹のエルフィーン・ナガンとリルフィーン・ナガンだ。」
「こちらこそよろしく、しばらくの間お世話になるよ。帝国について聞きたいなら何でも聞いてね。」

 カクシ、あらためフィルは、俺たちと打ち解け、帝国について色々話してくれた。
 その光景を見ているといきなり視界が暗転して、意識がなくなった。
 驚いたリルやエルが駆け寄ってくる。徹夜したうえに帝国軍との戦闘で、自分でも分からないほど消耗していたらしい。




    
しおりを挟む
感想 17

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス

R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。 そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。 最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。 そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。 ※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※

Sランク昇進を記念して追放された俺は、追放サイドの令嬢を助けたことがきっかけで、彼女が押しかけ女房のようになって困る!

仁徳
ファンタジー
シロウ・オルダーは、Sランク昇進をきっかけに赤いバラという冒険者チームから『スキル非所持の無能』とを侮蔑され、パーティーから追放される。 しかし彼は、異世界の知識を利用して新な魔法を生み出すスキル【魔学者】を使用できるが、彼はそのスキルを隠し、無能を演じていただけだった。 そうとは知らずに、彼を追放した赤いバラは、今までシロウのサポートのお陰で強くなっていたことを知らずに、ダンジョンに挑む。だが、初めての敗北を経験したり、その後借金を背負ったり地位と名声を失っていく。 一方自由になったシロウは、新な町での冒険者活動で活躍し、一目置かれる存在となりながら、追放したマリーを助けたことで惚れられてしまう。手料理を振る舞ったり、背中を流したり、それはまるで押しかけ女房だった! これは、チート能力を手に入れてしまったことで、無能を演じたシロウがパーティーを追放され、その後ソロとして活躍して無双すると、他のパーティーから追放されたエルフや魔族といった様々な追放少女が集まり、いつの間にかハーレムパーティーを結成している物語!

あなたがそう望んだから

まる
ファンタジー
「ちょっとアンタ!アンタよ!!アデライス・オールテア!」 思わず不快さに顔が歪みそうになり、慌てて扇で顔を隠す。 確か彼女は…最近編入してきたという男爵家の庶子の娘だったかしら。 喚き散らす娘が望んだのでその通りにしてあげましたわ。 ○○○○○○○○○○ 誤字脱字ご容赦下さい。もし電波な転生者に貴族の令嬢が絡まれたら。攻略対象と思われてる男性もガッチリ貴族思考だったらと考えて書いてみました。ゆっくりペースになりそうですがよろしければ是非。 閲覧、しおり、お気に入りの登録ありがとうございました(*´ω`*) 何となくねっとりじわじわな感じになっていたらいいのにと思ったのですがどうなんでしょうね?

少し冷めた村人少年の冒険記

mizuno sei
ファンタジー
 辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。  トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。  優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

転生幼女のチートな悠々自適生活〜伝統魔法を使い続けていたら気づけば賢者になっていた〜

犬社護
ファンタジー
ユミル(4歳)は気がついたら、崖下にある森の中にいた。 馬車が崖下に落下した影響で、前世の記憶を思い出す。周囲には散乱した荷物だけでなく、さっきまで会話していた家族が横たわっており、自分だけ助かっていることにショックを受ける。 大雨の中を泣き叫んでいる時、1体の小さな精霊カーバンクルが現れる。前世もふもふ好きだったユミルは、もふもふ精霊と会話することで悲しみも和らぎ、互いに打ち解けることに成功する。 精霊カーバンクルと仲良くなったことで、彼女は日本古来の伝統に関わる魔法を習得するのだが、チート魔法のせいで色々やらかしていく。まわりの精霊や街に住む平民や貴族達もそれに振り回されるものの、愛くるしく天真爛漫な彼女を見ることで、皆がほっこり心を癒されていく。 人々や精霊に愛されていくユミルは、伝統魔法で仲間たちと悠々自適な生活を目指します。

処理中です...