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第1章 開戦、硫黄島の戦い

第4話 日本神国連合艦隊VSアメリカ海軍第5艦隊

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 日本神国がこの世界にやってきたのは、約一週間前、インドで燃料、弾薬、食料、医療品の確認、船体や兵装整備などを入念に行い、ヨーロッパを目指して出航した。
 艦隊の規模は、戦艦三十隻、空母三十二隻、軽空母三十隻、防空重巡洋艦八隻、重巡洋艦十八隻、軽巡洋艦四十六隻、駆逐艦百六十三隻、揚陸艦三十四隻、水上機母艦八隻、給油艦四十隻、給糧艦三十八隻、工作艦十七隻、特殊大型工作艦十ニ隻、輸送艦ニ百八十隻、タンカー六十隻、給兵艦四十隻、給水艦五十隻、航空機輸送艦四十隻、潜水艦三十二隻、小型駆逐艦六十四隻の史上最大の大艦隊だった。
 実に日本神国の三分の二がヨーロッパに派遣される予定だった。
 陸軍からも五十万の兵士、千両の戦車、火砲数千門が集結した。
 アメリカが神国との対戦で艦隊を失っているため、最強の艦隊を神国は保有していると言える。
 艦隊がモルディブから百海里の地点を夜間航行中、突然計器類が狂いだしレンズや照明が割れるなどの怪現象が起こり始めた。
 その時の様子を雲中将と山口中将が説明してくれた。

「私が飛龍の艦橋で報告書を読んでいると突然時計の針が狂ったように周り出し、計器と照明のガラス割れ出したと思ったら船体が大きく揺れた。艦橋に居たものは、近くの手すりや椅子などに掴まり揺れが収まり、外を見ると夜が明けていました。」
「私が乗艦していた赤城も同様です。私が自室で睡眠をとっていると時計のガラスが割れる音で目を覚ました。ドイツ軍の攻撃かと思い、ベットから出ようとしたその時、地震かと思うような揺れがきたため、ベットの手すりに掴まり揺れが収まるまで待ちました。窓を見ると驚くことに、夜が明けていました。」

 その後艦橋に向かおうと部屋から出ると慌ただしく部下が動いて走り回っていた。艦橋に着くと無線で各艦の損傷や行方不明になった艦がいないかなどを集計していた。
 すると一人の部下が私に気付き敬礼してきた。

「南雲司令官殿⁉気付かず失礼しました。」
「いや、構わん。それより報告を頼む。」
「は!各艦共に損害なしとのこと、振動で倒れて怪我をしたものが数名いるとのことですがいづれも軽傷です。」
「ふむ、ありがとう。」
「南雲司令官!旗艦紀伊より通信、(全艦停止セヨ、各部隊ノ司令官ハ紀伊二集合セヨ)とのことです。」
「了解した。至急向かうとしよう。」

 赤城の内火艇で艦隊中心にある紀伊に向かった。その際回りの各艦からも内火艇が多数向かってくのが見えた。
 紀伊に着くと甲板上に机と椅子が設けられていた。そこには各艦の艦長と各部隊の指揮官がすでに座っていた。
 全員が座るとこの艦隊の司令官、山本長官が参謀と共に艦橋から降りてきた。そのまま席の前に来ると号令がかかり、敬礼をした。

「司令長官に敬礼!」

 全員司令長官の方を向き敬礼した。長官も同じように敬礼して返してきた。
 その後、長官が座ると全員座った。

「さて諸君、この現象をどうみるかね。」

 長官が口を開き、そう聞いてきた。
 少しの沈黙の間、一番最初に口を開いたのは参謀だった。

「私からよろしいでしょうか?」
「構わんよ。」
「はい、では私の考えを話したいと思います。」

 彼の考えは、こうだった。
 あの現象は艦隊規模を包み込める程の巨大なワームホールなのではないか、と言うものだった。彼の考えに反対し、

「そんなわけない!」」「ナチスの秘密兵器だ!」

 などと反論する者もいたが状況的に見てもナチスの秘密兵器である可能性は低いだろう。
 冷静に状況を考えているものからは、

「まず、周辺海域を偵察するべきでは、」
「その通りだ。無線を傍受して、我々がどの海域にいるのかを確認するべきだ。」

 様々な会話が飛び交ったが結果から言うと周辺海域に偵察機を飛ばすと言うことに決まった。それと同時に無線傍受も同時に行う方針になった。
 一時間以上の会議が終わり、各指揮官は所属の艦に戻っていた。
 艦隊は移動させず、しばらくはこの海域で停泊する予定でいる。
 数時間後、偵察に出ていた偵察機が戻ってきた。ただの偵察ではなく、島や艦影を見つけたら航空写真を撮ってくるように指令を出して、出撃して貰った。
 出撃した偵察機全十二機の航空写真を現像し、現在艦隊がどの地点にいるのかを調べる。その作業を5日間繰り返していると気になる写真が取れた。
 その中の一つに気になる島が撮影されていた。島の形から考えられるのは、小笠原群島に属する小さな島、硫黄島。
 その島の周りを多数の艦船が写っていた。
 偵察機のパイロットによると島の状態から米海軍と思われる艦隊が砲撃や空襲を繰り返し行っていると思われる。
 その後、紀伊の参謀達と航空戦隊指揮官等で、現像された写真を並べて、詳細な情報を調べていると通信兵が走り込んできた。

「ほ、報告します! 先ほど暗号文を傍受しました。」
「どこの国の通信だ。」
「言葉と文章からこの世界の神国だと思われます。」
「この世界の神国か、暗号の解読を急げ、内容次第では今後の艦隊行動が変わる。」
「了解しました。」

 報告にきた通信兵敬礼して、退出していった。

「黒島参謀、どうされます?」
「山口少将、ここは、この世界の神国を助けて情報を取るのがいいのが1番手っ取り早いと思います。」
「確かに意志疎通が通じる方が話し合いも簡単ですむ。それに防衛を手助けすれば、友好的に対話ができる。」
「宇垣参謀長の言う通りです。攻撃の様子から敵は早ければ、明日には上陸を開始するでしょう。」
「ならば、すぐに攻撃隊を発艦すべきだ。連合艦隊は空母が三十二隻もある。全力で攻撃すれば、アメリカ軍の艦隊など簡単に壊滅できるはずだ。」
「落ち着いて下さい、南雲さん。敵も空母を持っているんですよ。こちらもある一定の被害を覚悟しなければならないですよ。」
「それなら新兵器を使うと言うのはどうだろう?」
「多聞中将!本気で言ってるんですか⁉」
「本気に決まってるだろ。」

 黒島参謀の質問に何を当然の事を言ってる、見たいな顔で、山口中将が答えた。

「しかし、あれの訓練はまだ、数回しかしていません。そんな状態での実践投入なんて無茶です。」
「ぶっつけでも効果はあるだろう?やらないよりましだ。」
「はー、分かりました。その作戦で行きましょう。」

 山口中将の一言で作戦の実行が決まった。
 作戦に参加する空母は、第一航空戦隊旗艦愛鷹、剣、相碁、土佐、第二航空戦隊旗艦飛龍、蒼龍、第五航空戦隊旗艦瑞鶴、翔鶴、大鳳の七隻の正規空母。
 出撃するのは、護衛の烈風二二型が一五〇機、彗星誉一二型と流星改が二〇〇機、天山一三型と流星改が一五〇機、計五〇〇機の大編隊だった。そこに例の秘密兵器を使用する彩雲十機が先行する布陣となった。
 作戦に参加する空母に向けたて通信が入った。
 航空戦隊の指揮官に一任された山口多聞中将が艦内放送を使用して作戦の内容を知らせた。

『航空戦隊の兵士諸君!我々は明日の○八○○、硫黄島にアメリカ軍が上陸を開始すると同時に敵艦隊に攻撃を仕掛ける。偵察機が持ち帰った情報では少なくとも大型空母が六隻に戦艦が八隻はいる。空母も護衛空母も会わせれば二十隻以上だろう。これを壊滅させる。全軍!一撃必殺の覚悟で挑め!なお、今日はコップ一杯の飲酒を許可する。以上だ。』

 放送終了後、航空戦隊所属の乗員たちは、あちらこちらで、叫んでいた。久しぶりの戦闘に加え、航海中は滅多に飲めない酒が飲めるのだから。
 その後艦隊は、アメリカ軍のレーダーに見つからないギリギリまで艦隊を進め、明日に備えて、準備した。


 

 

 
    
    
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