万年ネタ切れ作家、勇利愛華の邪推録

さいだー

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中年男性と女子生徒の怪しい関係4

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 どうやら最初から里奈と汐音はカフェで待ち合わせをしていたようだった。

 それまでの時間つぶしで里奈は月イチで会う約束になっている、『実』の父親とカフェで会っていたらしい。

 顛末を聞いてしまえば、パパ活だなんだと騒いでいた事がとても恥ずかしく思えた。むしろ申し訳ない。穴があったら入りたいし、証拠が残らないように、私が入ったその後で、その穴をキレイさっぱり埋め立ててもらいたい気分だ。


 里奈と汐音が待ち合わせをしていたのは、仕事の打ち合わせ。
 仕事の打合わせとは言ったけれど、それは汐音の方の事情で、里奈の方からしてみれば、可愛い後輩のお願いと言った感じだった。

 汐音は江ノ島で何でも屋をしている『すぎうら』と言うお店で働いていて、里奈からのお願いを格安で受けた形らしかった。


『すぎうら』の店主である杉浦翔すぎうらかけるが同席をしていなかったのは、他にも立て込んだ案件があったからのようで、私としては彼と顔を合わせなくて済んだのは不幸中の幸いだった。

 私は彼の事が苦手で、あまり得意ではないのだ。
 親友の彼氏とはいえ━━━━━━いや、親友の彼氏だからこそ上手く接する事が出来ない。


 今回の件を端的に説明すると、差し迫った文化祭『腰高祭こしこうさい』で使うセットの設営を手伝ってほしい。
 と言う話だった。

 汐音や杉浦君が腰越高校の卒業生とは言え、現在は部外者である私達は、そう入り浸る事は出来ない。

 だから、どんな物が必要で、ある程度の寸法などを聞いて『すぎうら』で制作をして、腰高祭までに納品する手はずになっているらしい。


 私としては、全く関係のない話なのだけれど、何故か手伝わさせられる事になってしまった。

 これが話の流れってやつ、後ろめたさ、罪悪感のせいでもあるのだけれど、断ることはできなかったら。

 新作の準備で私もそれどころではなかったのに。

 まあ、普段やらないことをやって、ふと良いアイデアが浮かんでくる事もあるかもしれないし。

 そう自分に言い聞かせて、私は首を縦に振ったのだ。

 日常風景になりつつあるけれど、おしゃれなカフェの日の当たらない席で、連日人の話を盗み聞き……いや、ふと耳に入ってきてしまうだけなのだけれど、それよりはよっぽど健全だろう。


 ある程度の打ち合わせを済ませ、里奈にサイン入りの本をあげる事を固く約束をして、三者三様に帰路についた。

 明日『すぎうら』に来るように汐音に促されたけれど、明日は大学に行かなければならないから、『すぎうら』で杉浦君と顔を合わせるのは夕方以降になるだろう。

 少し憂鬱ではあったけど、まだ先の事だ。そう言い聞かせて、胸を張って、帰り道を歩いた。

 その途中で新作のプロットを上げるよう担当編集に催促をされて、背中が丸まってしまったのは、ここだけの話としておこう。
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