異世界転生したけど、私は静かに過ごしたい

2話 記憶喪失

異世界転生って最近よく見るやつ、、、

え、そんな事ある？

けどそう思えば目の前にいるこの美少年も
周りを囲むこの美しすぎる光景も辻褄が合う、というか合わせるしかないのかもしれない



けど普通は自分の好きな小説の悪役令嬢にでも転生して逆転するような、そんなストーリーじゃないの？

まぁそもそも好きな小説なんて物はない私には何も出来ずに本作通り処刑される事しかできないんだけど、、、
てか私はそもそも悪役令嬢なのか？

けど目の前に居る彼を見る限りそんな嫌われている感じもしないし、そもそも彼は誰なんだ

全く知らない世界に転生させられても、困る
人生をやり直させてくれるのなら、せめて産まれたばかりの赤ん坊なら良かったのに、
やっぱり私の中途半端な善人な行いは中途半端に私を救ってくれたのかもしれない


報われないなぁ



「ねぇ今度はそんな難しい顔してどうしちゃったのさぁ」

そう言い眉をしかめる彼を見てハッとする

難しい事を考えてる場合じゃない
変に話を合わせるより、簡単に記憶が無くなったとでも言えばこの世界の事も教えて貰えるだろうし
何も知らないのであれば、逆に何もしなくても許される、、、

ポジティブに考えればこんなファンタジーの世界なら死ぬ前までの不幸な平凡じゃなくて
幸せな平凡な生活がおくれるんじゃない！？


「ごめんなさい
もしかしたら信じてもらえないかもしれないのだけれど、私記憶喪失になってしまったの、かも」

「何言ってるの？だってさっきまで普通にお話してたじゃん
あ！もしかしてエイミーまで僕のことバカにしてるんでしょ」

「違うの！本当に、私、あなたが誰なのかも、自分が誰なのかさえ分からないの…」

「本当に言ってる？」

「うん」

そりゃあ簡単に信じて貰えるわけないかぁ
彼からしたら会話していた相手が突然記憶喪失だって言い出すんだもん
私でもきっと彼と同じ反応をするだろう
けど、馬鹿な私には他に方法が思い付かないのだから仕方がない


彼の次の言葉を待つしかできない









「......そんなぁ」