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今魔王どころじゃないんで、それより一体どういうことなんですか!?
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「神様が見当たらない?」
急に「俺に仰々しい異名をつけ、魔王を倒すよう仰せつかった神様にお会いしておきたい」と、勇者様がムチャぶりしてくるものですから。
そんなに北の大陸の言葉がわからないのが嫌だったのでしょうか。これだから完璧主義者はすぐ挫折するから嫌なんですよね。
われわれ一行は途中で捕まえた神の神子に案内してもらい、神子の住まう運命の塔まで戻って参りました。はい、神子には旅の途中でそれなりの報復はさせてもらいましたよ。
神の神子が善良な聖職者に暴力を振るうだなんて良くないことですからね。緊急を要してたとは言え、まずは話し合いで解決すべきでしょう。
ですからこんこんと、過ちを償うよう説き伏せてやりましたよ。じゃないとお前の化粧ぜんぶ剥がしてやるからなと。
効果はてきめん、すっかり押し黙ってしまった神の神子はあの甲高い声でペラペラ喋らなくなりました。おかげで旅も楽になりましたよ。なにせ私も魔導士の女もだいぶ疲れていましたからね。
いえね、神様にお会いできるなんて私としては願ってもないことなんですよ?
教会に務めるものとしてはこれ以上ありがたいこともございませんし?
正直大司祭だって一度しかお見かけしたことがないって言うんですから、もう神に会えるって言うのは相当なステータスな訳ではあるんです。
けども。
なんで北の大陸に渡る前に言ってくれなかったんでしょうかねえ!?
おかげでこんな短期間に、船酔いを二度も経験するとは思っても見ませんでした。ああ、思い出すだけでも吐きそう。
さすがに北の山はトンネルを通って越えられましたが、ならなんで行きもここ通らなかったんだよっていう不満でいっぱいですし、なにより来た道を戻るというのは結構な苦痛です。
あれなんでこいつら戻ってきたのって顔で村人達からは見られますし、魔物ですら嫌そうな顔でこちらを見てくるのです。
これ、神が見当たらないって教会に報告に帰ったら、どういう目で見られるんでしょうかね。
どうしましょう、なんだよもう帰ってきたのかよ、とか思われてたら。
いやいや。そんなことを言っていられない緊急事態なのは確かです。
どこよりも高い運命の塔から、神子を通じてお会いできるという神様。
噂によると時折人間になりすまして、自分の言葉を伝える神子を探しに行くとは聞いています。今神子が神様にお会いできないのは、もしかしてそのせいなのでしょうか。
「あなたの厚化粧に嫌気が差して、新しい神子を探しに行ったんじゃないんですか?」
ですからただ呆然とする神の神子と勇者様に、私はそうお伝えしてあげました。
だって、塔を素手でぶち壊し、動物虐待しながら逃亡を計るような女ですよ?
いくら勇者様が導き通りに進まないからって、ほかに方法もあったでしょうに。
例えば水鏡を通じて勇者とコンタクトをとるとか、夢に出るとか、そういう人智を越えた奇跡の力が。
そう神の神子に言ってやりますと
「あんた女に理想を描きすぎてるタイプでしょ、あーヤダヤダ」
などと負け惜しみを言っていましたが事実は事実です。
いや、もしかしたら神様がいらっしゃらない、だなんてことも嘘かも知れないではありませんか。
そもそも神の神子とは神の代弁者。ただの厚化粧女がおいそれとなれるわけがないのです。それに代弁者たる神の神子は力が与えられるはず。そう教えには書いてありました。
先ほど言いましたような水鏡の術や、先見の術。世界を救う者を正しく導けるよう、神様がお力を分けて下さっているはずですのに。
そのことを神子に聞いてやりますと、そんなことは知らないと、ただ勇者様がどこにいるかだけは逐一神様が教えてくれたのだと言っております。
お話をスムーズに進行するよう、必要なフラグを立てる準備をするよう指示されて、その時だけ塔を出してもらえるのだと。
フラグ?それはなんでしょう?
話を進行する?なにバカなことを言っているのでしょう。導きに従うことが話を進行することになるとでも言うのでしょうか。一体なんの話を?
そんな、まるであらかじめ決められた出来事をなぞらされるかのようなことを。
そこで、最近感じた違和感の数々を思い出しました。
初めて会ったはずなのに知っている神の神子。初めて乗ったはずなのに、以前にも船酔いを女魔導士にからかわれたような気がすること。初めて来た大陸なのに言葉が分かること。
でも、神が見当たらないだなんてこと、今までなかったような気がすること。
これは何を意味しているのでしょう?
神の神子、今のあなたは一体何者なのですか?
いやそれ以上に、神とは一体何者か?
そもそも神子よ、あなたは今、なにに仕えているいうのですか?
そして私もなにに仕えているのでしょうか?
私は、勇者様にお会いするでの間、なにをしてきたのでしょうか。
急に「俺に仰々しい異名をつけ、魔王を倒すよう仰せつかった神様にお会いしておきたい」と、勇者様がムチャぶりしてくるものですから。
そんなに北の大陸の言葉がわからないのが嫌だったのでしょうか。これだから完璧主義者はすぐ挫折するから嫌なんですよね。
われわれ一行は途中で捕まえた神の神子に案内してもらい、神子の住まう運命の塔まで戻って参りました。はい、神子には旅の途中でそれなりの報復はさせてもらいましたよ。
神の神子が善良な聖職者に暴力を振るうだなんて良くないことですからね。緊急を要してたとは言え、まずは話し合いで解決すべきでしょう。
ですからこんこんと、過ちを償うよう説き伏せてやりましたよ。じゃないとお前の化粧ぜんぶ剥がしてやるからなと。
効果はてきめん、すっかり押し黙ってしまった神の神子はあの甲高い声でペラペラ喋らなくなりました。おかげで旅も楽になりましたよ。なにせ私も魔導士の女もだいぶ疲れていましたからね。
いえね、神様にお会いできるなんて私としては願ってもないことなんですよ?
教会に務めるものとしてはこれ以上ありがたいこともございませんし?
正直大司祭だって一度しかお見かけしたことがないって言うんですから、もう神に会えるって言うのは相当なステータスな訳ではあるんです。
けども。
なんで北の大陸に渡る前に言ってくれなかったんでしょうかねえ!?
おかげでこんな短期間に、船酔いを二度も経験するとは思っても見ませんでした。ああ、思い出すだけでも吐きそう。
さすがに北の山はトンネルを通って越えられましたが、ならなんで行きもここ通らなかったんだよっていう不満でいっぱいですし、なにより来た道を戻るというのは結構な苦痛です。
あれなんでこいつら戻ってきたのって顔で村人達からは見られますし、魔物ですら嫌そうな顔でこちらを見てくるのです。
これ、神が見当たらないって教会に報告に帰ったら、どういう目で見られるんでしょうかね。
どうしましょう、なんだよもう帰ってきたのかよ、とか思われてたら。
いやいや。そんなことを言っていられない緊急事態なのは確かです。
どこよりも高い運命の塔から、神子を通じてお会いできるという神様。
噂によると時折人間になりすまして、自分の言葉を伝える神子を探しに行くとは聞いています。今神子が神様にお会いできないのは、もしかしてそのせいなのでしょうか。
「あなたの厚化粧に嫌気が差して、新しい神子を探しに行ったんじゃないんですか?」
ですからただ呆然とする神の神子と勇者様に、私はそうお伝えしてあげました。
だって、塔を素手でぶち壊し、動物虐待しながら逃亡を計るような女ですよ?
いくら勇者様が導き通りに進まないからって、ほかに方法もあったでしょうに。
例えば水鏡を通じて勇者とコンタクトをとるとか、夢に出るとか、そういう人智を越えた奇跡の力が。
そう神の神子に言ってやりますと
「あんた女に理想を描きすぎてるタイプでしょ、あーヤダヤダ」
などと負け惜しみを言っていましたが事実は事実です。
いや、もしかしたら神様がいらっしゃらない、だなんてことも嘘かも知れないではありませんか。
そもそも神の神子とは神の代弁者。ただの厚化粧女がおいそれとなれるわけがないのです。それに代弁者たる神の神子は力が与えられるはず。そう教えには書いてありました。
先ほど言いましたような水鏡の術や、先見の術。世界を救う者を正しく導けるよう、神様がお力を分けて下さっているはずですのに。
そのことを神子に聞いてやりますと、そんなことは知らないと、ただ勇者様がどこにいるかだけは逐一神様が教えてくれたのだと言っております。
お話をスムーズに進行するよう、必要なフラグを立てる準備をするよう指示されて、その時だけ塔を出してもらえるのだと。
フラグ?それはなんでしょう?
話を進行する?なにバカなことを言っているのでしょう。導きに従うことが話を進行することになるとでも言うのでしょうか。一体なんの話を?
そんな、まるであらかじめ決められた出来事をなぞらされるかのようなことを。
そこで、最近感じた違和感の数々を思い出しました。
初めて会ったはずなのに知っている神の神子。初めて乗ったはずなのに、以前にも船酔いを女魔導士にからかわれたような気がすること。初めて来た大陸なのに言葉が分かること。
でも、神が見当たらないだなんてこと、今までなかったような気がすること。
これは何を意味しているのでしょう?
神の神子、今のあなたは一体何者なのですか?
いやそれ以上に、神とは一体何者か?
そもそも神子よ、あなたは今、なにに仕えているいうのですか?
そして私もなにに仕えているのでしょうか?
私は、勇者様にお会いするでの間、なにをしてきたのでしょうか。
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