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新米吸血鬼はキョドりと共に新世界へと歩き出す。
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「はい、immortal東京支部です。何かお困り事ですか?」
キドのおっさんに連れて来られた此処は丸の内のオフィス街。
四十七階建の二十四階にある、ぱっと見た限り普通のオフィスというか、銀行や役場の様な感じだ。
受付を済ませソファに座って辺りを見渡す。
電話で応対してる職員を見てると、ここが吸血鬼の為の自治会の施設には到底見えない。
「和希さん、どうかされましたか?」
また情緒不安定かと心配そうに覗き込むキドに何でも無いと返事をする。
此処に来るのに電車で来たが、乗客は俺達が吸血鬼だとは気が付かず心配は杞憂に終わった。
鏡に映らないので、それさえ気を付ければ問題は無さそうだ。
「街田和希さん、お待たせしました」
名前を呼ばれ案内された個室に入ると椅子に座って待つように指示された。
程なくドアを開けて入って来たのは、俺と同年代ぐらいの女の子だった。
目鼻立ちがハッキリしたアニメのコスプレの様な衣装を着て髪はツインテールの左右二色に染め分けている。スカートなんか屈むとパ○ツが見えそうなぐらい短い。嫌いじゃ無いが、今まで縁がなかったタイプの女の子だ。
「えーと、街田和希さん? あ、木戸次長。どうしたんですか?」
「更紗ちゃん、今日わたしは付き添いで此処に来たんだよ。気にしないで続けて」
どうやらキドのおっさんは、この施設の次長らしい。人……じゃ無いが見掛けによらないとは、良く言ったものだ。
実際、ここに来てからのキドはキョドって無いし、落ち着いたおっさんにしか見えない。
「街田和希さん。えーと、新しく登録しに来たと。書類拝見します」
パラパラと書類を捲る音だけが聴こえ、沈黙に耐え切れなくなった頃。やっと読み終えたのか書類をトントンして、ふうと息を吐いた。
「確認して受理しました。お疲れさまです」
無事に登録が終わりホッとして帰ろうと部屋を出たところで入口付近で騒がしい声が聴こえた。
「だぁ~かぁ~らぁ、オレは知らないって言ってるの。濡れ衣着せちゃって良いのかな~責任問題になるよ加護野くん」
黒縁眼鏡が良く似合う知的な印象の三十代ぐらいの男の人の軽い話し方に面食らっていると、加護野くんと呼ばれたショートカットの可愛い子が眼と鼻の頭を真っ赤にして今にも泣き出しそうに見える。
可愛い子が泣かされているのを平気で見ていれるほど俺は腐っちゃいない。
一言何か言ってやろうと身構えた所を木戸のおっさんに止められた。
「花味月翔夜君。加護野君が何かしたのか?」
花味月と呼ばれた黒縁眼鏡は木戸の顔を見ると急に叱られた子供の様にしおらしくなった。
キドのおっさんに連れて来られた此処は丸の内のオフィス街。
四十七階建の二十四階にある、ぱっと見た限り普通のオフィスというか、銀行や役場の様な感じだ。
受付を済ませソファに座って辺りを見渡す。
電話で応対してる職員を見てると、ここが吸血鬼の為の自治会の施設には到底見えない。
「和希さん、どうかされましたか?」
また情緒不安定かと心配そうに覗き込むキドに何でも無いと返事をする。
此処に来るのに電車で来たが、乗客は俺達が吸血鬼だとは気が付かず心配は杞憂に終わった。
鏡に映らないので、それさえ気を付ければ問題は無さそうだ。
「街田和希さん、お待たせしました」
名前を呼ばれ案内された個室に入ると椅子に座って待つように指示された。
程なくドアを開けて入って来たのは、俺と同年代ぐらいの女の子だった。
目鼻立ちがハッキリしたアニメのコスプレの様な衣装を着て髪はツインテールの左右二色に染め分けている。スカートなんか屈むとパ○ツが見えそうなぐらい短い。嫌いじゃ無いが、今まで縁がなかったタイプの女の子だ。
「えーと、街田和希さん? あ、木戸次長。どうしたんですか?」
「更紗ちゃん、今日わたしは付き添いで此処に来たんだよ。気にしないで続けて」
どうやらキドのおっさんは、この施設の次長らしい。人……じゃ無いが見掛けによらないとは、良く言ったものだ。
実際、ここに来てからのキドはキョドって無いし、落ち着いたおっさんにしか見えない。
「街田和希さん。えーと、新しく登録しに来たと。書類拝見します」
パラパラと書類を捲る音だけが聴こえ、沈黙に耐え切れなくなった頃。やっと読み終えたのか書類をトントンして、ふうと息を吐いた。
「確認して受理しました。お疲れさまです」
無事に登録が終わりホッとして帰ろうと部屋を出たところで入口付近で騒がしい声が聴こえた。
「だぁ~かぁ~らぁ、オレは知らないって言ってるの。濡れ衣着せちゃって良いのかな~責任問題になるよ加護野くん」
黒縁眼鏡が良く似合う知的な印象の三十代ぐらいの男の人の軽い話し方に面食らっていると、加護野くんと呼ばれたショートカットの可愛い子が眼と鼻の頭を真っ赤にして今にも泣き出しそうに見える。
可愛い子が泣かされているのを平気で見ていれるほど俺は腐っちゃいない。
一言何か言ってやろうと身構えた所を木戸のおっさんに止められた。
「花味月翔夜君。加護野君が何かしたのか?」
花味月と呼ばれた黒縁眼鏡は木戸の顔を見ると急に叱られた子供の様にしおらしくなった。
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