アサシンの夜明け

水月美都(Mizuki_mitu)

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回り出す運命の輪

堕天使たちの宴②

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「あのな、アンタが何を考えて何をしようがオレは、もうどうでも良い。だけど、これからオレとオレの周りの奴らをどうこうする気なら、本気で殺しに行くから。それだけは忘れんなよ」
 レイジの瞳がスッと狭められ、並の人間だったら寒気がする程の殺気が込められる。
 キールは先程までの怒りを引っ込め馬鹿にした様に鼻で嘲笑った。
「何で今更お前なんかと殺り合わなけりゃならない? 今じゃ幹部でお前の上司である僕が」

 はぁ、やれやれ相棒になった途端にこれか。放って置けば何時までも揉めてそうだ。
 おれも暇じゃないから仲裁をすることにした。
「いつまで小競り合いを続けるつもりだ? キール、君が上司なのは結構だが、指令を聞いた上、更におれ達を拘束する権限は無いよな。レイジも身内同士で殺し合ってどうするんだよ。いい加減、頭働かせてくれないと困るんだけど」
 二人共おれの剣幕にびっくりした顔で黙り込んだが、先に年長であるキールが謝って来て、渋々レイジも怒りを引っ込めた。

「悪かったよショーゴ。そんなに怒ることないだろ」
 良くも悪くもレイジは裏表が無い。素直な分、仕事はやりやすい。
 会議室から出てお互いのエリアに別れる時にレイジが謝って来た。
「一緒に組んだ事、がっかりさせないで欲しいね。おれは歴代の相棒みたいには死ぬ気はないから」

 レイジと別れた後、サイキックルームに久しぶりに足を伸ばした。
 ケイトとは初めて一緒に仕事をする。彼女は子供の頃から知っているが、久しぶりみたケイトは美しさに磨きがかかっていた。
 傍には取り巻きが数人付いていて話し掛けるきっかけを探していると、こっちを見て笑いかけて来た。
「ショーゴ、初めて組むのかな、よろしくね」
 にっこり微笑むと取り巻き連中が頬を染めて俯いた。
「クレアは?」
 親友のクレアの事を聞くとケイトは顔を輝かせて話してくる。
「クレアはアオイと一緒にミッションに出掛けたよ。大好きな二人が一緒に組んでくれて嬉しい」
 アオイは実戦チームのNo.3で飛び道具専門の使い手だ。例えば弓やボウガンなど、本来なら能力チームはサポート役が殆どなのだが、クレアのサイコキネシスは強力な力の為、アオイが補助的な役割でサポートしてる。
 因みにアオイは十七歳の男でケイトの恋人だ。
 
「ショーゴごめん。ちょっと話せるかな?」
 最近顔を見てなかったユウリが声を掛けて来た。少し痩せたみたいだ。
 アイリを思い出して心配で胸が苦しくなる。
 アイリ……もうずっと会っていない。
 元気でやっているだろうか?

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感想 2

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みんなの感想(2件)

黄永るり
2022.11.30 黄永るり

とても読みやすくて、情景もイメージしやすかったです😃

水月美都(Mizuki_mitu)
2022.11.30 水月美都(Mizuki_mitu)

黄永さま、感想有難うございます。
とても嬉しいです。
また楽しんで貰える様に書きますので、よろしくお願いします。

解除
綾野ひな
2022.04.30 綾野ひな

情景が浮かぶ表現の仕方が好きです!お気に入りにさせていただきました!

水月美都(Mizuki_mitu)
2022.04.30 水月美都(Mizuki_mitu)

綾野さま、感想お気に入り、ありがとうございます。
情景が浮かぶだなんて、嬉しいです。

解除

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