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終焉のアンリミテッド
アイリ⑤
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明らかに歳上に見えるミキの方が、レイジの言動に動揺している様に見える。
冷たくされて泣いている彼に手を伸ばし、頬を撫でて耳元で何かを囁くと彼らは何処かに行ってしまった。
「ゴメンね、ヤツら煩くて。また会えるかな」
「うん、今日はこれから皆の所へ行くから、またね」
レイジは手を伸ばしキールと僕に握手をして、ルイには頭を撫でて「またね」と言い背中を向けて歩いて行った。
「ゆ、ユウリ……。あの人はだれ?」
ルイは赤面しながらも真剣な顔で聞いてきた。
「ショーゴが来た時に会った実戦チームのレイジだよ。歳はルイと同じだと言っていた。此処には長く居るみたい」
「レイジ……」
キールはつぶやき、ルイは黙り込んでしまった。
「そろそろ行こうか? みんな待ってるよ」
明るく声を掛けサイキックルームのある十一階へ行くためにエレベーターに乗る。
「あのねユウリ? 僕ね、知っているんだ。アイリとユウリが研究所を出てからショーゴの様子が変になった理由と君とアイリの秘密を」
ルイは真っ直ぐ僕を見つめている。僕はどう返事をしたら良いか考えあぐねていた。
ただひとつ言えることは、僕の願いは永遠に叶わない。そして、残念なことに終焉が近付いているという事だ。
「ルイ……。ショーゴには僕から言いたいのだけど。でも、今すぐに話す事は出来ないんだ。だから……」
「ユウリ、分かってるよ。僕からはなにも言わないから。安心して?」
キールは怪訝な顔をしてはいるが、何も聞いては来なかった。
沈黙がエレベーター内に落ちる。十一階に着くと、どちらからともなくホッと溜息をつきサイキックルームの自動ドアを開けた。
「みんな~久しぶり! 元気だった?」
ルイは何事も無かったように、いつもの天真爛漫さで皆と挨拶を交わす。僕は、それがとても有り難く救われた様な気持ちになったのだ。
◇◇◇
キール①
――二ヶ月後――
ルイは恋をしている。
最初に此処に来た時に予感めいたものを感じていたが、どうやら本格的な病に移行したらしい。
僕もレイジと出逢った時は綺麗な子だと思ったけど、病までには至らなかったみたいだ。
ただ、僕の好きになった人は彼を大切にしてるみたいで、それがとても悲しい。
ああ、どうか彼の十分の一でも良いから僕を見て欲しい。そしたら、この辛い日々も乗り越えていけるのに。
冷たくされて泣いている彼に手を伸ばし、頬を撫でて耳元で何かを囁くと彼らは何処かに行ってしまった。
「ゴメンね、ヤツら煩くて。また会えるかな」
「うん、今日はこれから皆の所へ行くから、またね」
レイジは手を伸ばしキールと僕に握手をして、ルイには頭を撫でて「またね」と言い背中を向けて歩いて行った。
「ゆ、ユウリ……。あの人はだれ?」
ルイは赤面しながらも真剣な顔で聞いてきた。
「ショーゴが来た時に会った実戦チームのレイジだよ。歳はルイと同じだと言っていた。此処には長く居るみたい」
「レイジ……」
キールはつぶやき、ルイは黙り込んでしまった。
「そろそろ行こうか? みんな待ってるよ」
明るく声を掛けサイキックルームのある十一階へ行くためにエレベーターに乗る。
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ルイは真っ直ぐ僕を見つめている。僕はどう返事をしたら良いか考えあぐねていた。
ただひとつ言えることは、僕の願いは永遠に叶わない。そして、残念なことに終焉が近付いているという事だ。
「ルイ……。ショーゴには僕から言いたいのだけど。でも、今すぐに話す事は出来ないんだ。だから……」
「ユウリ、分かってるよ。僕からはなにも言わないから。安心して?」
キールは怪訝な顔をしてはいるが、何も聞いては来なかった。
沈黙がエレベーター内に落ちる。十一階に着くと、どちらからともなくホッと溜息をつきサイキックルームの自動ドアを開けた。
「みんな~久しぶり! 元気だった?」
ルイは何事も無かったように、いつもの天真爛漫さで皆と挨拶を交わす。僕は、それがとても有り難く救われた様な気持ちになったのだ。
◇◇◇
キール①
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ルイは恋をしている。
最初に此処に来た時に予感めいたものを感じていたが、どうやら本格的な病に移行したらしい。
僕もレイジと出逢った時は綺麗な子だと思ったけど、病までには至らなかったみたいだ。
ただ、僕の好きになった人は彼を大切にしてるみたいで、それがとても悲しい。
ああ、どうか彼の十分の一でも良いから僕を見て欲しい。そしたら、この辛い日々も乗り越えていけるのに。
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