43 / 64
終焉のアンリミテッド
アイリ③
しおりを挟む
今日は訓練の休みの日でアースを出て街を歩く。暖かい日で、いつもの街も穏やかに見える。
空調が効いて清潔な建物から、喧騒と雑多な匂いのする此処へ来るのは何時ものルーティンだ。
目的の場所に着き両開きの扉を開けると、皆一斉に此方を見る。
シスターはわたしの姿を認めると頷き、奥の懺悔室へと行くように言った。
「こんにちは神父さん。今日もお願いします」
「こんにちはアイリ。いつもありがとう」
この教会に祈りに来る様になってから、わたしは寄付をしている。
訓練生でも仕事の報酬は少しはある。本当は欲しく無いけれど、お金はどんな形で手に入ったとしても、お金で有る事に変わりないと割り切った。
この教会の神父はまだ若い男の人で、二歳ぐらいの男の子を引き取って育てている。
「あいりー」
ショーゴの様な黒髪の、まだ舌足らずな話し方でわたしの姿を認めると走って来て飛び付いた。
「マコ、今日も元気だね」
目線を合わせて頭を撫でるとマコはニコニコしてわたしをぎゅっと抱き締める。
クリクリの瞳で可愛い子だ。こんなに小さいのに両親とも亡くすなんて。
「アイリ、懺悔室においで」
呼ばれて中に入ると、わたしは罪を懺悔する。
そして懺悔室を出ると神に祈る。わたしと兄の秘密が明らかにならぬように。
◇◇◇
アースに戻ると真っ先に兄の元に向かう。
「お兄ちゃん、教会に行って来たよ。マコ元気だったよ」
兄は何も言わず、ただ癒してくれる。わたしはどうしたら良いのか分からず途方に暮れていた。
ショーゴ、あなたにだけは知られたくない。これが悪夢なら良かったのに。毎日、目が覚める度に思う。
空調が効いて清潔な建物から、喧騒と雑多な匂いのする此処へ来るのは何時ものルーティンだ。
目的の場所に着き両開きの扉を開けると、皆一斉に此方を見る。
シスターはわたしの姿を認めると頷き、奥の懺悔室へと行くように言った。
「こんにちは神父さん。今日もお願いします」
「こんにちはアイリ。いつもありがとう」
この教会に祈りに来る様になってから、わたしは寄付をしている。
訓練生でも仕事の報酬は少しはある。本当は欲しく無いけれど、お金はどんな形で手に入ったとしても、お金で有る事に変わりないと割り切った。
この教会の神父はまだ若い男の人で、二歳ぐらいの男の子を引き取って育てている。
「あいりー」
ショーゴの様な黒髪の、まだ舌足らずな話し方でわたしの姿を認めると走って来て飛び付いた。
「マコ、今日も元気だね」
目線を合わせて頭を撫でるとマコはニコニコしてわたしをぎゅっと抱き締める。
クリクリの瞳で可愛い子だ。こんなに小さいのに両親とも亡くすなんて。
「アイリ、懺悔室においで」
呼ばれて中に入ると、わたしは罪を懺悔する。
そして懺悔室を出ると神に祈る。わたしと兄の秘密が明らかにならぬように。
◇◇◇
アースに戻ると真っ先に兄の元に向かう。
「お兄ちゃん、教会に行って来たよ。マコ元気だったよ」
兄は何も言わず、ただ癒してくれる。わたしはどうしたら良いのか分からず途方に暮れていた。
ショーゴ、あなたにだけは知られたくない。これが悪夢なら良かったのに。毎日、目が覚める度に思う。
0
お気に入りに追加
13
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
はじまりの朝
さくら乃
BL
子どもの頃は仲が良かった幼なじみ。
ある出来事をきっかけに離れてしまう。
中学は別の学校へ、そして、高校で再会するが、あの頃の彼とはいろいろ違いすぎて……。
これから始まる恋物語の、それは、“はじまりの朝”。
✳『番外編〜はじまりの裏側で』
『はじまりの朝』はナナ目線。しかし、その裏側では他キャラもいろいろ思っているはず。そんな彼ら目線のエピソード。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
美しき父親の誘惑に、今宵も息子は抗えない
すいかちゃん
BL
大学生の数馬には、人には言えない秘密があった。それは、実の父親から身体の関係を強いられている事だ。次第に心まで父親に取り込まれそうになった数馬は、彼女を作り父親との関係にピリオドを打とうとする。だが、父の誘惑は止まる事はなかった。
実の親子による禁断の関係です。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
春風の香
梅川 ノン
BL
名門西園寺家の庶子として生まれた蒼は、病弱なオメガ。
母を早くに亡くし、父に顧みられない蒼は孤独だった。
そんな蒼に手を差し伸べたのが、北畠総合病院の医師北畠雪哉だった。
雪哉もオメガであり自力で医師になり、今は院長子息の夫になっていた。
自身の昔の姿を重ねて蒼を可愛がる雪哉は、自宅にも蒼を誘う。
雪哉の息子彰久は、蒼に一心に懐いた。蒼もそんな彰久を心から可愛がった。
3歳と15歳で出会う、受が12歳年上の歳の差オメガバースです。
オメガバースですが、独自の設定があります。ご了承ください。
番外編は二人の結婚直後と、4年後の甘い生活の二話です。それぞれ短いお話ですがお楽しみいただけると嬉しいです!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる