アサシンの夜明け

水月美都(Mizuki_mitu)

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終焉のアンリミテッド

アイリ①

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 とうとうこの日が来てしまった。
 ショーゴが此処に来る日。
 まだ、たった十ヶ月しか経って無いだなんて、今でも信じられない。
 どうか彼が気がつきませんように、わたしの真実を知る事がないように。
 わたしは今日も祈る。
 ――この救いようがない世界で。


 ◇◇◇


 アイリ①
「ユウリ、久しぶり」
 ショーゴが僕の顔を見てホッとした様に笑う。
 初めて来た場所で顔見知りに会うと嬉しいものだ。僕らも一足先に此処に来ていたキールに会った時はショーゴと同じ表情だったに違いない。

「アイリは?」
 首を巡らせ心配そうな顔で聞いて来た。
「アイリは……病状が悪くて面会謝絶なんだ」
「そう、会いたいな……」
 ぽつりと呟いた。僕は何も言えずに、でも自分勝手に傷付いていた。

「この施設を案内するね。僕達能力者はシールドが張って有る八階から十階迄が居住地なんだ。ショーゴは八階の五号室ね。来月にはルイが来るから楽しみだね」
 ショーゴは黙って僕を抱きしめた。何故だろう悲しくも無いのに涙が止まらない。
 この気持ちを閉じ込めなくちゃいけない。僕にとっても彼にとっても。

「やっぱりチョーカー無いと辛い?」
 ショーゴは首を触って頷き「自分以外の人も嫌だと思うから」と言って乾いた笑みを零した。
 ショーゴは変わってしまった様に見える。僕達が居なくなった後に何があったのだろうか。

 広い施設を案内してたら、そろそろお昼に近い。四階の食堂に案内しようとエレベーターで下りてると五階で誰かが乗り込んで来た。

 凄く人目を引く子だった。
 ブラウンの天然なのか緩くウエーブが掛かった肩に付く髪。アーモンドの形の瞳に紅をさした様な唇。性別がパッと見て分からないが、階数ボタンを聞いて答えた声で少年だと分かった。
 彼はレイジで、実戦チームだと言った。

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