33 / 64
サイキックチルドレン
ショーゴ②
しおりを挟む
「室長、このままでは彼は死んでしまいます」
部下が焦って報告に来た。無理もない。
唯でさえテレパシーは脳への負担が多い能力なのだから。
「ショーゴ君の体力が回復するまで、しばらく実験は中止するしかないだろう。食事が取れる様になるまで、シールド室に寝かせてあげなさい」
◇◇◇
目が覚めた僕は機械だらけの白い部屋から機械がひとつも無い普通のベッドに寝かされていた。
不思議だ。耳に聴こえる音だけではなく頭にも何一つ響いて来ない。
生まれて初めて、こんなに静かな時を知った。
ベッドから起き上がると横のテーブルには美味しそうな料理が湯気をたてている。
スプーンを取り口に運ぶ。しばらくぶりの食事は美味しかったが直ぐに満腹になった。
「あっ、ショーゴ君、目が覚めたんだね。料理はどうだった?」
ここに来てから白い洋服を着た人しか見てなかった僕は歳の近そうなお兄さんを見て警戒を少し解くが。
『あれ? 何も聴こえてこない……』
意識して心を読むけど何一つ声が聴こえないことに少し怖くなって俯く。
「いまの君は休みが必要だって。だから沢山ご飯食べてゆっくりするんだよ」
お兄さんが優しく頭を撫でる。僕は辛い実験から逃れた事にホッとし笑いかける。
この施設に一番長く居ると言った彼は栗色で柔らかそうな髪に薄緑の瞳、手足が長くスラリとした中性的な感じの男の子だった。
「僕はユウリ十一歳だよ。妹はアイリでショーゴより、一つ上だよ。アイリはね、普段は眠ってばかり居るんだよ」
ユウリは世話焼きで、こんな場所にずっと居るのに陽だまりのように明るい人で、実験で傷付いた、僕のココロを解かしてくれる。
部下が焦って報告に来た。無理もない。
唯でさえテレパシーは脳への負担が多い能力なのだから。
「ショーゴ君の体力が回復するまで、しばらく実験は中止するしかないだろう。食事が取れる様になるまで、シールド室に寝かせてあげなさい」
◇◇◇
目が覚めた僕は機械だらけの白い部屋から機械がひとつも無い普通のベッドに寝かされていた。
不思議だ。耳に聴こえる音だけではなく頭にも何一つ響いて来ない。
生まれて初めて、こんなに静かな時を知った。
ベッドから起き上がると横のテーブルには美味しそうな料理が湯気をたてている。
スプーンを取り口に運ぶ。しばらくぶりの食事は美味しかったが直ぐに満腹になった。
「あっ、ショーゴ君、目が覚めたんだね。料理はどうだった?」
ここに来てから白い洋服を着た人しか見てなかった僕は歳の近そうなお兄さんを見て警戒を少し解くが。
『あれ? 何も聴こえてこない……』
意識して心を読むけど何一つ声が聴こえないことに少し怖くなって俯く。
「いまの君は休みが必要だって。だから沢山ご飯食べてゆっくりするんだよ」
お兄さんが優しく頭を撫でる。僕は辛い実験から逃れた事にホッとし笑いかける。
この施設に一番長く居ると言った彼は栗色で柔らかそうな髪に薄緑の瞳、手足が長くスラリとした中性的な感じの男の子だった。
「僕はユウリ十一歳だよ。妹はアイリでショーゴより、一つ上だよ。アイリはね、普段は眠ってばかり居るんだよ」
ユウリは世話焼きで、こんな場所にずっと居るのに陽だまりのように明るい人で、実験で傷付いた、僕のココロを解かしてくれる。
0
お気に入りに追加
13
あなたにおすすめの小説
ペイン・リリーフ
こすもす
BL
事故の影響で記憶障害になってしまった琴(こと)は、内科医の相澤に紹介された、精神科医の篠口(しのぐち)と生活を共にすることになる。
優しく甘やかしてくれる篠口に惹かれていく琴だが、彼とは、記憶を失う前にも会っていたのではないかと疑いを抱く。
記憶が戻らなくても、このまま篠口と一緒にいられたらいいと願う琴だが……。
★7:30と18:30に更新予定です(*´艸`*)
★素敵な表紙は らテて様✧︎*。
☆過去に書いた自作のキャラクターと、苗字や名前が被っていたことに気付きました……全く別の作品ですのでご了承ください!
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
ママと勘違いされて始まった物語
ミヒロ
BL
26歳のサラリーマン、誠。定時の帰宅中、「ママ」と幼い子供にしがみつかれる。
ママ...?と訝しんでいると、父親の陽平が謝罪しながら子供を引き剥がそうとするが、一向に離れず。
いつしかシングルファザーの陽平、息子の理一と過ごす日々。
そうしてわかってきた真実とは...。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
十七歳の心模様
須藤慎弥
BL
好きだからこそ、恋人の邪魔はしたくない…
ほんわか読者モデル×影の薄い平凡くん
柊一とは不釣り合いだと自覚しながらも、
葵は初めての恋に溺れていた。
付き合って一年が経ったある日、柊一が告白されている現場を目撃してしまう。
告白を断られてしまった女の子は泣き崩れ、
その瞬間…葵の胸に卑屈な思いが広がった。
※fujossy様にて行われた「梅雨のBLコンテスト」出品作です。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
あなたの隣で初めての恋を知る
ななもりあや
BL
5歳のときバス事故で両親を失った四季。足に大怪我を負い車椅子での生活を余儀なくされる。しらさぎが丘養護施設で育ち、高校卒業後、施設を出て一人暮らしをはじめる。
その日暮らしの苦しい生活でも決して明るさを失わない四季。
そんなある日、突然の雷雨に身の危険を感じ、雨宿りするためにあるマンションの駐車場に避難する四季。そこで、運命の出会いをすることに。
一回りも年上の彼に一目惚れされ溺愛される四季。
初めての恋に戸惑いつつも四季は、やがて彼を愛するようになる。
表紙絵は絵師のkaworineさんに描いていただきました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる