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哀しい鳥は夢を見る
夢 最終話
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段々冷たくなって逝くルイに口付けて、最後の気力をふり絞り、銃をこめかみに当て引き金を引いた。
「レイ、気が付いたか?」
ゼンが優しく頭を撫でてくれる。でも、今のオレはゼンの事が許せない。
「ワザと……たん……でしょ?」
「レイ……」
「ワザと銃に一発だけしか……。ゼン、憎いよ。今は、アンタの顔を見たくない……!」
ゼンは悲しげにオレの顔を見て、一通の手紙を差し出した。
「部屋に置いてあった。ルイからだと思う」
震える指先で手紙を受け取ると、ゼンは静かに部屋を出て行った。
レイジへ
この手紙を読んでるって事は、おれはもう、この世には居ないね。
自分でも、馬鹿な事をしたと思う。手術を受けるなんてさ。
だけど、一度でも良い。レイジを、愛したかった。
小さな子供としてじゃなく、男として。
レイジを抱きたいと思った。
何時も愛してると言っていたけど、おれは本気だったんだよ。
レイジ、愛してる。
愛してる。愛してる。愛してる。
だから、手術を受けるよ。
レイジをこの手に抱くために。
そしたら、死んでも良いんだ。
だから、おれが死んでも、
悲しまなくて良いんだよ。
レイジを抱けて幸せなんだから。
もう、手術を受けに行く時間だ。
最後のおれの願いを聞いて?
レイジ、生きてね。
おれが死んでも、後を追っちゃダメだよ。
おれの分まで生きてね。
それが、おれの願いだよ。
ルイより。
愛しいレイジへ。
涙が……止まらない。ルイ、オレの……
何時の間にか、ゼンが側にいて抱きしめてくれた。
天国のルイへ。
お前がいないと淋しいよ。
何時も一緒だったから。
ルイ、お前は知らなかったかも知れないけど。
お前がいてくれて、どれだけ安らかな気持ちになったか。
辛い事ばかりだった生活の中で、お前が、一点の光だった事。
分かっていたのかな?
でもルイが死ぬなと言ったから。
もう少し頑張ってみるよ。
もし、それでも、
死んでしまったら。
天国で迎えてくれるかな?
ねぇ? ルイ。
オレも愛してるよ。
愛しいルイへ レイジより。
哀しい鳥は夢を見る 2006・4・30
「レイ、気が付いたか?」
ゼンが優しく頭を撫でてくれる。でも、今のオレはゼンの事が許せない。
「ワザと……たん……でしょ?」
「レイ……」
「ワザと銃に一発だけしか……。ゼン、憎いよ。今は、アンタの顔を見たくない……!」
ゼンは悲しげにオレの顔を見て、一通の手紙を差し出した。
「部屋に置いてあった。ルイからだと思う」
震える指先で手紙を受け取ると、ゼンは静かに部屋を出て行った。
レイジへ
この手紙を読んでるって事は、おれはもう、この世には居ないね。
自分でも、馬鹿な事をしたと思う。手術を受けるなんてさ。
だけど、一度でも良い。レイジを、愛したかった。
小さな子供としてじゃなく、男として。
レイジを抱きたいと思った。
何時も愛してると言っていたけど、おれは本気だったんだよ。
レイジ、愛してる。
愛してる。愛してる。愛してる。
だから、手術を受けるよ。
レイジをこの手に抱くために。
そしたら、死んでも良いんだ。
だから、おれが死んでも、
悲しまなくて良いんだよ。
レイジを抱けて幸せなんだから。
もう、手術を受けに行く時間だ。
最後のおれの願いを聞いて?
レイジ、生きてね。
おれが死んでも、後を追っちゃダメだよ。
おれの分まで生きてね。
それが、おれの願いだよ。
ルイより。
愛しいレイジへ。
涙が……止まらない。ルイ、オレの……
何時の間にか、ゼンが側にいて抱きしめてくれた。
天国のルイへ。
お前がいないと淋しいよ。
何時も一緒だったから。
ルイ、お前は知らなかったかも知れないけど。
お前がいてくれて、どれだけ安らかな気持ちになったか。
辛い事ばかりだった生活の中で、お前が、一点の光だった事。
分かっていたのかな?
でもルイが死ぬなと言ったから。
もう少し頑張ってみるよ。
もし、それでも、
死んでしまったら。
天国で迎えてくれるかな?
ねぇ? ルイ。
オレも愛してるよ。
愛しいルイへ レイジより。
哀しい鳥は夢を見る 2006・4・30
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