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哀しい鳥は夢を見る
夢⑨
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ゼンの声が聴こえた様な気がして、途切れそうになる意識を呼び戻して目を開けた。
「レイ、 お前はどうしたい?」
そこには刀の刃をマッドサイエンストに押し当て、オレを見つめているゼンがいた。
こんな状況でも優しくオレに話し掛けてくれるゼン。オレは掠れた声で話す。
「ゼン、オレに銃を……。そして、ここから出て行って」
ゼンは黙ってオレの所に来て、銃を握らせてくれた。でも、決して側を離れようとはしない。
「ゼン……」
「レイ、お前一人では無理だ。こんなに衰弱してしまって。それに、もう二度と離れたくない。愛してるんだ。レイが死ぬなら俺も一緒に」
「ゼン、ダメだよ……」
「レイ……ジ……ハ……ワ・タ・サ・ナイ……オレ……ト……」
ルイが、ゼンに向かい腕を振り上げた。ゼンは部屋の隅まで飛ばされる。オレは動かない体を呪いながら、ルイに呼び掛ける。
「ルイ、止めて! オレはここに居る。ルイと一緒に……だから……」
「助けて、体を起こしてくれる?」
そっと体を起こして、ルイはオレを抱き締めて言った。
「レイ……ジ……オレヲコロセ……アイシ……テル……ダカラ……イキテ……」
「嫌だ! オレは……ルイと……」
首を振り泣くことしか出来なかった。
「駄目ですよ。あなた達は私の作品になって貰いますから。特に貴方は。素晴らしい、美しい貴方がどんな風に変わるか……楽しみですね」
それを聞いたルイはオレの手を持ち上げて、引き金に指を掛けた。銃声が鳴り、気の狂った男がゆっくりと倒れて行く。
普通の人間には分からなかっただろう。でも、普段から銃を使っているオレには分かった。
――銃声は、1つじゃない!
急に抱いていたルイの重さが乗しかかり、そのままベッドに倒れ込む。ルイ!!
「ルイ、ルイ、死んじゃ嫌だ! オレを、置いて逝かないで……死なない……で……」
ルイの閉じた瞼から涙がひと滴流れてオレを握っていた手がパタリと下に降りた――
きみを哀しませてごめん……
でも、忘れないで。
きみをこんなにも、愛したおれが
いたってことを……
「レイ、 お前はどうしたい?」
そこには刀の刃をマッドサイエンストに押し当て、オレを見つめているゼンがいた。
こんな状況でも優しくオレに話し掛けてくれるゼン。オレは掠れた声で話す。
「ゼン、オレに銃を……。そして、ここから出て行って」
ゼンは黙ってオレの所に来て、銃を握らせてくれた。でも、決して側を離れようとはしない。
「ゼン……」
「レイ、お前一人では無理だ。こんなに衰弱してしまって。それに、もう二度と離れたくない。愛してるんだ。レイが死ぬなら俺も一緒に」
「ゼン、ダメだよ……」
「レイ……ジ……ハ……ワ・タ・サ・ナイ……オレ……ト……」
ルイが、ゼンに向かい腕を振り上げた。ゼンは部屋の隅まで飛ばされる。オレは動かない体を呪いながら、ルイに呼び掛ける。
「ルイ、止めて! オレはここに居る。ルイと一緒に……だから……」
「助けて、体を起こしてくれる?」
そっと体を起こして、ルイはオレを抱き締めて言った。
「レイ……ジ……オレヲコロセ……アイシ……テル……ダカラ……イキテ……」
「嫌だ! オレは……ルイと……」
首を振り泣くことしか出来なかった。
「駄目ですよ。あなた達は私の作品になって貰いますから。特に貴方は。素晴らしい、美しい貴方がどんな風に変わるか……楽しみですね」
それを聞いたルイはオレの手を持ち上げて、引き金に指を掛けた。銃声が鳴り、気の狂った男がゆっくりと倒れて行く。
普通の人間には分からなかっただろう。でも、普段から銃を使っているオレには分かった。
――銃声は、1つじゃない!
急に抱いていたルイの重さが乗しかかり、そのままベッドに倒れ込む。ルイ!!
「ルイ、ルイ、死んじゃ嫌だ! オレを、置いて逝かないで……死なない……で……」
ルイの閉じた瞼から涙がひと滴流れてオレを握っていた手がパタリと下に降りた――
きみを哀しませてごめん……
でも、忘れないで。
きみをこんなにも、愛したおれが
いたってことを……
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