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キラーチルドレン
籠の中の哀しい鳥②
しおりを挟む「なあ、とうちゃん……」
男の子は父親に話し掛けた。
船が無事に帰港した事を、村中でお祝いしてる席に父親と男の子も来ていた。
男の子はあの、綺麗な子供を探していたが、村中の人が集まっていると云うのに、あの子だけが居ない。
「ん? 何だ、坊主。眠くなったか?」
お祝いの席で何時もより、上機嫌の父親が聞いてきた。
「ううん、ちがうんだ。あのね、昼間の、あの子はドコにいるの?」
男の子がそう言った途端、父親の顔が険しくなり、もう家に帰れと言われた。
「なんでだよ、とうちゃん。おいら、あの子にあいたいんだよ」
何だか、悲しくなった男の子は父親に食い下がる。
男の子が、父親に逆らったのは初めてで、父親も無下には出来ないと思ったのか、話してくれた。
「坊主、あの子はな大切な預かり者だから、滅多に近寄っちゃならないんだ。分かったか?」
いくら、とうちゃんのたのみでも、きけないよ。だって……
男の子は一目だけでも、あの綺麗な子供に会いたいのを我慢などしたく無かったから。
その時、向かいの席で呑んで居た村長が、父親に言った。
「まあ、ゼフト。一度ぐらいは、会わせても良いじゃないか」
後で知った事だけど、あの綺麗な子供は、ずっと何も食べずにいて、餓死寸前だったらしい。
でも、その時の男の子は、あの子に会えると聞いて嬉しい気持ちでいっぱいだった。
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