僕が探偵になった訳

水月美都(Mizuki_mitu)

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始の始まり

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「僕が何故探偵という職業を選んだのか。本当に聞きたいの? 変わってるね君。まぁ、秘密にしてる訳じゃないから話そうか? 僕が探偵になった訳を――」

 あれは、高校三年の五月だったと思う。僕の通ってる高校で事件が起きたんだ。
 最初は虐めを苦にした良くある自殺だと思われていた。
 僕とは学年も違うし彼とは面識も無かったから、さして興味も湧かなかったんだよ。
 うん、そう学校の三階から飛び降りたのは男子高校生だったんだ――。


 ◇◇◇


「おーい藤原、大変だー。一年が三年の教室から飛び降りたって!」
 高校生活三年間で無遅刻無欠席を目指していた僕は、目標の妨げになる隣んちで幼なじみの明日香を置いて一人で登校をしていた。

 その日、まだ登校して来ている生徒は疎らで、僕に声を掛けて来たのは三年になってから同じクラスになった柿崎遊カキザキユウという奴だった。
 もともと僕は自分から友達を作りに行くタイプじゃ無いし、父方の祖父がイギリス人で金髪碧眼な見た目を小さい頃から、からかわれて育ったので、なかなか友人と呼べる様な奴は少なかった。
 だから、柿崎が声を掛けた相手が僕ってのが意外で直ぐに返事が出来ずに居たのだった。

「藤原、お前大丈夫か? 随分顔色が悪いけど」
 名前と顔だけしか知らないクラスメイト。幾分コミュ障気味の僕には、大して知らないのに親しげに話し掛けて来る陽キャの柿崎は苦手な部類の人間だった。
 運動部特有のこんがり日焼けした肌に笑うと真っ白な歯が覗く。男らしい体躯に精悍な容姿、有り体に言えばかなりなイケメンと言わざるを得ない。
「いや、大丈夫。それで飛び降りた一年を君は知ってるの?」
 彼は深く頷きサッカー部に所属してる柿崎は部長で、くだんの一年は新入部員なのだと言った。
「そ、それで、もしかして見たのか? 下に落ちた彼を……」
 柿崎は首を横に振り見てはいないと言った。サッカー部の顧問が確認をして救急車の付き添いに一緒に乗って行ったらしい。
 救急車に乗ったという事は落ちた場所が良くて命には別状なかったのだと思った。

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