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思い出のラムネ

昔の出来事

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(やばい、なんかドキドキしてきた…。)

意識してしまったせいで、昨日のように胸がドキドキと鳴る。
でも不思議と、昨日のような痛みはなかった。
それはきっと、亜紀兎と両思いになれたからだろう。
そっと亜紀兎の寝顔を覗く。

「//////かわいい……」
思わず呟いてしまって、後から口をおさえる。
亜紀兎のぷっくりとした頬の寝顔からは、可愛さと懐かしさが滲み出ていた。
まるで小さな子供のように、無垢で愛らしい姿に、俺は見惚れる。
そして、ある出来事を思い出す。
それは遠い昔の、まだ俺たちが小学校に入る前の頃。

俺たちの通っていた幼稚園は、昼寝の時間があって、よく二人で布団に潜り込んでこっそりあっていた。
あの頃は、俺たちそんなに身長離れてなくって、「きーくん」「あき」って呼び合ってたっけな…。

確かあの日も……



「きーくん!」
「何だ あき?」

園庭で遊んでいると、亜紀兎が走って近寄ってきて、話しかけてきた。

「あのね、今日のお昼寝の時間ね、いっしょに寝よう!」

「先生が、一緒のお布団で寝るのはダメだって」

「…!ええ!?そんなあ、僕きーくんと一緒がいい!……うわああん…!」

「大丈夫だよあき!にいちゃんに考えがある、耳貸して」

「うん…」

(お隣にお布団を並べて、先生たちにバレないように、おれがあきの布団に行くから、それまで待ってて!)

(…!!!いいの⁉︎ありがとう(^○^))

(任せとけって!)


大半の園児が眠りについて、先生達も気が緩んでいる時をうかがって、俺はこっそり隣の亜紀兎の布団に潜り込んだ。


「あき~、入るぞ?」

もぞもぞ…

「ぐすん…っ……ぐすん…」

入るとすぐに、亜紀兎の泣き声が聞こえてきた。

「あき?どうしたんだ?どっか痛いのか?」

「……!きーくん!」

「あき…どうし…!」

その瞬間、俺の体に、冷たいものが触れて、はっとした。

「あき、もしかして…」

「きーくんどうしよう、ぼく、おねしょしちゃった……」

「泣くな あき、にいちゃんがなんとかしてやる!」

そう自信満々に言ったものの、俺は内心焦っていた。

(どうしようどうしよう…!あきは泣いてるし、布団はもう隠しようがないくらいに濡れてしまっている!俺がなんとかしないと!先生にいうか?でも言ったら勝手に潜り込んだことが怒られるかもしれない!……一体どうしたら…⁉︎)

幼い俺には、震えている亜紀兎の手を握ってやることしか出来なかった。

結局、起きる時間になり、先生に布団をめくられて、二人で寝ていたことも、おねしょも全部バレたけど、先生が怒ることはなかった。逆に、はやく言わなかったことを注意された。




(そんなこともあったっけなあ…)

懐かしさにひたっていると、ふいに隣から声が聞こえてきた。

「うううん…」

見ると亜紀兎が、顔をしかめてうなっている。

「きーくん…」

昔の夢をみているのか、久しぶりに「きーくん」と呼ばれて、なんだかむず痒い気持ちになった。
亜紀兎の薄紅色のプルプルとした唇が、ムニャムニャと動く。
あまりにそれが可愛かったので、ふとこんなことを思ってしまう。

(キスしてみてもいいかな…)

っていやいやいや!流石にそれはダメだろ!寝ている間になんて!

(でも付き合ってるんだし…)

な、何考えてんだ俺は⁉︎

頭の中で葛藤する。
頭の中の天使と悪魔が、欲求と理性を天秤にかけるけれど、結局欲求が勝ってしまって…。

(じゃあこうしよう。触るだけ、触るだけだぞ!それなら問題ないよな…?)

気づいた時には人差し指を立てていた。







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