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モヤモヤ

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「バタン」

「ハア、はあ、ハア…」

部屋に来ると、さっきまでの胸の痛みが静まってきた。
「一体、なんだったんだ?」
俺はドアにもたれかかり、崩れ落ちた。
俺はアイツが嫌いで、ウザくて憎たらしくて、それから……あれ?なんでこんなに俺、アイツのこと嫌いなんだろ?ていうかいつから❔

その日の夕食の時間、俺と亜紀兎は、一言も話さなかった。まあ、いつものことだけど。
代わりに母親が、俺たちに話しかけかける。

「アキとキリ、今日ケンカしたんだって?アキが落ち込んでたわよ?」

「別に喧嘩じゃねーよ。ただ俺がムカついただけ。」

「あんたねえ、いい加減アキいじめるのやめなさい?」

「兄さんは悪くないよ、母さん。兄さん急に体調悪くしちゃったから。……あ!じゃなくて、えっと、紀利兎…が。」

あ、そうか。俺コイツに、兄さん呼ばわりするなって言ったんだった。かと言って名前呼びしろなんて言ってないけど。ていうか、また鼓動が速くなってる気がする。心臓の鳴りすぎで耳が痛い。

「ごちそうさま!」
「ちょっと紀利兎!まだ牛乳残ってるわよ‼︎」
「コイツがいると食欲無くなる‼︎」

居ても立っても居られなくなり、立ち上がって部屋に戻るため階段を駆け上がる。

「また酷いこと言って‼︎それだから背が伸びないのよ~⁉︎」

「バタン」

「はあ、ハア…なんでだこれ。っ、アイツに名前呼ばれると…なんかっ、くる…しい。」



「~って事があったんだ。」

朝登校して一番に、クラスの友達である大田に相談した。彼とは小学生からの付き合いで、家にも遊びに来た事がある仲だ。友達の少ない俺には、大田以外に相談できる相手がいなかった。
それに物知りな大田のことだから、何かいいアドバイスをくれるに違いない。
しかし彼から発された言葉は、予想外のものだった。

「虹間、それって…。いいか?怒らずに聞くんだぞ❔」
「なんだ⁉︎もしかしてやっぱり病気とかか!!!?」
「お、落ち着け落ち着け、ここじゃなんだから後ろで話そう。」

大田は俺の手を引っ張って、教室の後ろに連れてった。

「お前さ、もしかして…」
「ゴクッ」
「亜紀兎に…恋…してるのかもな。」






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