異世界転移したらフェロモン系男子でした

七嶋璃

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それから*

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ソフィアの邸に滞在して二日、比呂人はすっかり怠惰な生活に慣れてしまった。
広い邸を探索したり、気まぐれにヨンナの植物採集を手伝ったりしたが、基本的に食べて寝てその辺をぶらぶらしていた。
グリノルフはその間も、陰鰐の商談をしたり、次の狩りの依頼相手を探したりしているようだった。
比呂人はグリノルフを無口で無愛想だと思っているのだが、交渉事のようなこともできるのだと意外だった。
夕食を腹いっぱい食べ、広い風呂を堪能して部屋に戻ろうとすると、見計らったようにグリノルフが部屋から出てきた。
「あとで俺の部屋に来れないか」
「別にいいけど、今後の話とか?」
「それもあるが……随分と髪が伸びたな。市場に床屋があるから切ってもらうか」
グリノルフが比呂人の湿った黒髪をなでる。
「……っ」
久しぶりに触れられて体がびくりと反応する。
「ヒロト」
毛先に触れていたグリノルフの指が比呂人のうなじへとすべり、比呂人をその胸へと抱き込んだ。
「お前を抱きたい」
「……」
言葉にならない声が漏れ、頭に血が上っていくのが自分でもよくわかった。グリノルフの直截な言葉に体が熱くなる。
しかし比呂人にはグリノルフに聞いておきたいことがあった。表情を固くした比呂人にグリノルフが聞く。
「嫌だったか」
「そうじゃないけど、もう俺の香りは抑えられているんだろ」
「そうだが」
「じゃあ、なんで俺を抱くのかなって。だってその必要はなんだろ」
グリノルフは笑みをもらした。くつくつと声を殺して笑っている。
最近よく笑顔を見せてくれるようになったが、こんなに笑っているのは初めて見た。
「確かに必要はない。俺が抱きたいから抱いている」
「な、んだよそれ」
「なんだ、と言われても俺はヒロトと交わりたい。それだけだ」
「俺は……」
本当は自分が欲しくてたまらないのに、グリノルフが必要だからという名目で誤魔化していたものが、すべてはぎとられてしまった。
グリノルフに真っ直ぐに求められて、自分の欲を認めざるをえなくなった比呂人にグリノルフは重ねて聞く。
「ヒロトは俺が必要としていたから抱かれたのか。本当は望んではいなかったのか」
「違っ」慌てて否定する。
「俺も、グリノルフが欲しい。いいよ、抱けよ、今すぐ」口をついて出た言葉は比呂人の本音だった。
グリノルフは比呂人を自室に引き入れると深く口付けた。そのまま寝台に押し倒し、自分の服を脱ぐと比呂人の服も手早く脱がせていく。
「確かに獣を引き寄せる香りは抑えられているが、それでもヒロトはいい香りがする」
グリノルフは比呂人の髪に顔を埋め、ちゅ、と口付けた。
触れられたところが熱を持ったように熱い。旅中と違い、グリノルフのおろしている長い髪が比呂人の胸をくすぐる。
グリノルフはくすぐったくて身を捩る比呂人を掴まえ、口付ける。口付けたまま、すでに先走りでぬるついている比呂人の陽物をいらう。
グリノルフは先走りで滑った指を比呂人の後孔あなに差し入れる。ざらりとした部分を引っ掻くように触ると、比呂人が震えながらグリノルフにしがみついてきた。
「いいから、早く、欲しい」比呂人がグリノルフの耳元でささやく。吐息が熱い。
「いや、しかし」
「いいから」
グリノルフはその言葉を無視して比呂人から離れると、近くの机に置いてある背嚢を探った。
比呂人は起き上がると、無防備に背を向けているグリノルフに近づいた。
比呂人は目の前にあるグリノルフの彫り上げたような背中に口付けながら、はち切れんばかりになっている陽物に手を這わせる。
「ヒロト……」
「俺だってグリノルフに触りたい」
きつく擦り上げると、グリノルフの陽物は比呂人の手の中で震えた。もっと、と思ったときには振り向いたグリノルフ抱え上げられていた。再び寝台に戻される。
「お前は本当に」
グリノルフは最後まで言わずにパムクの葉を噛み砕き、比呂人の後孔に塗りつけた。パムクを塗りつけた指はそのまま比呂人の後孔に飲み込まれた。グリノルフが比呂人の口を吸うと応えるように内壁なかが指を締め付ける。
「俺が持ちそうにないな」
グリノルフはそう言うと比呂人の足を抱えて、奥まで刺し貫いた。びくりと比呂人の体が跳ねる。
グリノルフが動いくたびに、比呂人はいいところをぐりぐりと擦られ足が震える。
自分からも触りたいと思ったものの、快楽に翻弄されて比呂人はただ喘ぐことしかできなかった。
せめて、とグリノルフの首に腕を回し口付ける。比呂人は夢中でただグリノルフを求めた。
グリノルフはさらに深く腰を沈める。
「あ、ああ」
比呂人は陽物の先端を握りこむように刺激されて、暴発するように精を迸らせた。
ぶるぶると身を震わせて、連動するように内壁もグリノルフを締め付ける。
「俺も出すぞ」
グリノルフが大きく身震いして、比呂人から陽物を引き抜く。
比呂人の精が散った腹に、グリノルフの精が重なる。だらりと脱力している比呂人は熱い、と思った。
グリノルフは比呂人に覆いかぶさり、涙を舐め取り口付けた。グリノルフは比呂人の唇を舌でなぞり、比呂人の口内に舌を差し入れた。
比呂人の耳には荒い息遣いと、唇が触れ合う音だけが聞こえる。
しばらくそうしていたが、やがてグリノルフが体を離し比呂人の隣に横になった。比呂人を抱き寄せ、もう一度口付けた。
比呂人はグリノルフの目を見てしっかりと言った。
「俺、しばらくグリノルフと旅をしようと思うんだけどいいかな」
「もちろんだ。歓迎する」
「ちゃんといろいろできるようになって、グリノルフの助けになりたいんだ」
グリノルフはただ笑って比呂人の髪をなでた。
比呂人はグリノルフの肩に手を回すと強く抱きしめた。
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