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帰路*
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次の日は朝は少しゆっくりして、日が大分昇ってからに出発した。
比呂人とグリノルフの背嚢は陰鰐の表皮で一杯になった。入りきれない分はグリノルフの背嚢の上部にくくりつけた。
表皮は恐ろしく硬いが軽く、かさばりはするが特に負担にはならない。
肝は、陰鰐をおびき寄せるのに使った比呂人の下履きを入れていた網に入れ、グリノルフの背嚢にぶら下げてある。移動しがてら干すらしい。
小屋の床は解体して、船と一緒に湿地近くの林に廃棄した。
荷物は増えたが、気分的にはずいぶんと軽くなった。足取りが軽くなった比呂人にグリノルフが釘を刺す。
「安堵するのはいいが、気を抜くなよ」
「わかってるよ」
比呂人は行きに川に落ちてしまったことを思い出す。川に落ちたことは大変だったが、あれでグリノルフとの関係ががらっと変わった。あれがなければ今頃グリノルフとはいったいどういうふうになっていたのだろうか。
道のりは順調に進んで、日暮れ方には適当な野営地を見つけ夕食を取ることができた。
材料は同じ干し魚でも、汁にしてあるだけで大分違う。
食後にグリノルフは、椀に入った液体を比呂人に差し出した。
とろみのある緑色の液体は、嗅いだ覚えのあるにおいがした。
「グリノルフ、これって」
「ヒロトの香りを抑える薬湯だ。ソフィアのところでも飲んだだろう」
「うん」
「この先、獣に襲われないとも限らないからな、香りは抑えておきたい」
「うん」
グリノルフの言いたいことはわかる。危険要因を潰しておきたいのもわかる。
でも、自分のフェロモンが抑えられてしまったらまた元の関係に戻ってしまうのではないだろうか。比呂人は戸惑い、手が止まる。
「ソフィアのところでは飲んでいたようだが、あまり得意ではなかったか」
「いや、そんなことないけど」
「無理にとは言わないが」
「いい、飲むよ」
比呂人はグリノルフから椀を受け取ると一気にあおった。
かすかな苦味とその後の癖のある甘さ、鼻に抜ける独特の香りは決しておいしいとは言えないが、まずくて飲めないというわけでもない。
「香りを抑えるだけではなく滋養もあるからな」
「うん」
火に当たりながらグリノルフが今後の説明をしてくれているのをぼんやりと聞く。行きと同じ旅程でソフィアの邸まで戻るが比呂人が慣れてきたので三、四日短縮できるのではないかというようなことを言っているが、比呂人は上の空だった。
ぼんやりしているうちに体が温まり、眠気が襲ってくる。湿地と違い空気もいいし、火のそばで眠れるのもありがたい。いつの間にかうつらうつらしている比呂人にグリノルフが声をかける。
「ヒロト」
「……うん」
「もう眠ったほうがいい。湿原は空気が悪くてよく眠れなかったのだろう」
「……うん」
「疲れているのなら眠れ」
「……うん。わかってる、けど、なんかちょっともったいないなって、せっかく普通にすごせるのに」
「これからいくらでも時間はある。今日は休め」
「うん」
比呂人がマントにくるまり横になると、グリノルフも比呂人の隣に横になった。
グリノルフは後ろからに比呂人を抱きしめる格好で横たわっている。
「グリノルフ、あの」
「なんだ」
「今夜は、こうやって寝るのか」
「そうだが。嫌か」
「いや、じゃないけど、広くなったしこれじゃ窮屈じゃなかなって」
湿地に行く前は、それぞれ離れて眠っていた。湿地では場所の関係でくっついて眠っていたのだが、もうその必要はないはずだ。
「窮屈ではない。こちらのほうが温かいし、ヒロトはいい香りがする。眠りづらいのならやめるが」
「いや、いいよ、このままで。でも作業しなくていいの、いつも夜してたじゃん」
「もう帰るだけだからな。必要ない」
グリノルフの唇がうなじに押し付けられる。
眠かったはずなのに、心臓の音がうるさくてすっかり目が冴えてしまった。
グリノルフはそれ以上動かず、特に何もするつもりはないらしい。
比呂人は自分の腹の前で重ねられているグリノルフの腕にそっと触れた。
ぐっとグリノルフの腕に力がこもり、より強く唇が押し当てられる。
でもやはりそれ以上はグリノルフは何もしてこなかった。
比呂人はしばらく考え、意を決してグリノルフの腕の中で体の向きを変え、自分からグリノルフに口付けた。
グリノルフの首に腕を回し、グリノルフの唇を確かめるように何度も何度も口付ける。
グリノルフはしばらく比呂人にされるがままになっていたが、やがて比呂人の腰をつかみぐっと引き寄せた。
グリノルフの隆起した陽物が比呂人の腰に押し当てられる。ぐりぐりと刺激され比呂人の陽物もすぐに痛いほど張り詰める。
グリノルフの唇をなぞっていた比呂人の唇が割られ、舌が絡め取られる。
唇から首、肩、胸、腹と、グリノルフの唇と指が比呂人の様々なところに触れていく。
今まででは熱に浮かされたようなせわしないものだったが、ゆっくりと時間をかけて蕩かせるようなグリノルフの愛撫に比呂人は身を震わせた。
「あ、だめ」陽物に触れられたとき、比呂人は我慢しきれずに精をこぼしてしまった。
グリノルフはびくびくと腕の中で震える比呂人を優しく抱きしめ口付けた。
口付けながら比呂人の後孔に指を這わせ、くるくると円を描くように刺激した。後孔はだんだんと柔らかくほぐれ、やがてグリノルフの指を柔らかく飲み込んだ。
グリノルフの指は内壁もほぐすようにゆっくりと動いていく。うごめいていたグリノルフの指が内壁の硬い場所に触れる。軽く力を入れ撫で擦ると比呂人の体が跳ねる。
グリノルフはパムクの葉を噛み潰すと、比呂人の後孔と自分の陽物に塗り込んだ。後孔に当て、一気に刺し貫く。
「うぅ」比呂人がくぐもった声を漏らす。
グリノルフは内壁を確かめるようにゆっくりと突いた。
「……グリノルフ」震える声で比呂人がグリノルフの名前を呼ぶ。
グリノルフは比呂人の陽物に手を添えると扱きながらさらに深くまで突き上げた。
「いく、いくっ、ああ」ぐっと比呂人の内壁が引き絞られ、陽物からは精が放たれる。
きつく締め付けられグリノルフも比呂人の最奥で果てる。
グリノルフは脈動にあわせてなおも小刻みに腰を押し付けつつ、蕩けた顔をした比呂人に深く口付けた。
比呂人とグリノルフの背嚢は陰鰐の表皮で一杯になった。入りきれない分はグリノルフの背嚢の上部にくくりつけた。
表皮は恐ろしく硬いが軽く、かさばりはするが特に負担にはならない。
肝は、陰鰐をおびき寄せるのに使った比呂人の下履きを入れていた網に入れ、グリノルフの背嚢にぶら下げてある。移動しがてら干すらしい。
小屋の床は解体して、船と一緒に湿地近くの林に廃棄した。
荷物は増えたが、気分的にはずいぶんと軽くなった。足取りが軽くなった比呂人にグリノルフが釘を刺す。
「安堵するのはいいが、気を抜くなよ」
「わかってるよ」
比呂人は行きに川に落ちてしまったことを思い出す。川に落ちたことは大変だったが、あれでグリノルフとの関係ががらっと変わった。あれがなければ今頃グリノルフとはいったいどういうふうになっていたのだろうか。
道のりは順調に進んで、日暮れ方には適当な野営地を見つけ夕食を取ることができた。
材料は同じ干し魚でも、汁にしてあるだけで大分違う。
食後にグリノルフは、椀に入った液体を比呂人に差し出した。
とろみのある緑色の液体は、嗅いだ覚えのあるにおいがした。
「グリノルフ、これって」
「ヒロトの香りを抑える薬湯だ。ソフィアのところでも飲んだだろう」
「うん」
「この先、獣に襲われないとも限らないからな、香りは抑えておきたい」
「うん」
グリノルフの言いたいことはわかる。危険要因を潰しておきたいのもわかる。
でも、自分のフェロモンが抑えられてしまったらまた元の関係に戻ってしまうのではないだろうか。比呂人は戸惑い、手が止まる。
「ソフィアのところでは飲んでいたようだが、あまり得意ではなかったか」
「いや、そんなことないけど」
「無理にとは言わないが」
「いい、飲むよ」
比呂人はグリノルフから椀を受け取ると一気にあおった。
かすかな苦味とその後の癖のある甘さ、鼻に抜ける独特の香りは決しておいしいとは言えないが、まずくて飲めないというわけでもない。
「香りを抑えるだけではなく滋養もあるからな」
「うん」
火に当たりながらグリノルフが今後の説明をしてくれているのをぼんやりと聞く。行きと同じ旅程でソフィアの邸まで戻るが比呂人が慣れてきたので三、四日短縮できるのではないかというようなことを言っているが、比呂人は上の空だった。
ぼんやりしているうちに体が温まり、眠気が襲ってくる。湿地と違い空気もいいし、火のそばで眠れるのもありがたい。いつの間にかうつらうつらしている比呂人にグリノルフが声をかける。
「ヒロト」
「……うん」
「もう眠ったほうがいい。湿原は空気が悪くてよく眠れなかったのだろう」
「……うん」
「疲れているのなら眠れ」
「……うん。わかってる、けど、なんかちょっともったいないなって、せっかく普通にすごせるのに」
「これからいくらでも時間はある。今日は休め」
「うん」
比呂人がマントにくるまり横になると、グリノルフも比呂人の隣に横になった。
グリノルフは後ろからに比呂人を抱きしめる格好で横たわっている。
「グリノルフ、あの」
「なんだ」
「今夜は、こうやって寝るのか」
「そうだが。嫌か」
「いや、じゃないけど、広くなったしこれじゃ窮屈じゃなかなって」
湿地に行く前は、それぞれ離れて眠っていた。湿地では場所の関係でくっついて眠っていたのだが、もうその必要はないはずだ。
「窮屈ではない。こちらのほうが温かいし、ヒロトはいい香りがする。眠りづらいのならやめるが」
「いや、いいよ、このままで。でも作業しなくていいの、いつも夜してたじゃん」
「もう帰るだけだからな。必要ない」
グリノルフの唇がうなじに押し付けられる。
眠かったはずなのに、心臓の音がうるさくてすっかり目が冴えてしまった。
グリノルフはそれ以上動かず、特に何もするつもりはないらしい。
比呂人は自分の腹の前で重ねられているグリノルフの腕にそっと触れた。
ぐっとグリノルフの腕に力がこもり、より強く唇が押し当てられる。
でもやはりそれ以上はグリノルフは何もしてこなかった。
比呂人はしばらく考え、意を決してグリノルフの腕の中で体の向きを変え、自分からグリノルフに口付けた。
グリノルフの首に腕を回し、グリノルフの唇を確かめるように何度も何度も口付ける。
グリノルフはしばらく比呂人にされるがままになっていたが、やがて比呂人の腰をつかみぐっと引き寄せた。
グリノルフの隆起した陽物が比呂人の腰に押し当てられる。ぐりぐりと刺激され比呂人の陽物もすぐに痛いほど張り詰める。
グリノルフの唇をなぞっていた比呂人の唇が割られ、舌が絡め取られる。
唇から首、肩、胸、腹と、グリノルフの唇と指が比呂人の様々なところに触れていく。
今まででは熱に浮かされたようなせわしないものだったが、ゆっくりと時間をかけて蕩かせるようなグリノルフの愛撫に比呂人は身を震わせた。
「あ、だめ」陽物に触れられたとき、比呂人は我慢しきれずに精をこぼしてしまった。
グリノルフはびくびくと腕の中で震える比呂人を優しく抱きしめ口付けた。
口付けながら比呂人の後孔に指を這わせ、くるくると円を描くように刺激した。後孔はだんだんと柔らかくほぐれ、やがてグリノルフの指を柔らかく飲み込んだ。
グリノルフの指は内壁もほぐすようにゆっくりと動いていく。うごめいていたグリノルフの指が内壁の硬い場所に触れる。軽く力を入れ撫で擦ると比呂人の体が跳ねる。
グリノルフはパムクの葉を噛み潰すと、比呂人の後孔と自分の陽物に塗り込んだ。後孔に当て、一気に刺し貫く。
「うぅ」比呂人がくぐもった声を漏らす。
グリノルフは内壁を確かめるようにゆっくりと突いた。
「……グリノルフ」震える声で比呂人がグリノルフの名前を呼ぶ。
グリノルフは比呂人の陽物に手を添えると扱きながらさらに深くまで突き上げた。
「いく、いくっ、ああ」ぐっと比呂人の内壁が引き絞られ、陽物からは精が放たれる。
きつく締め付けられグリノルフも比呂人の最奥で果てる。
グリノルフは脈動にあわせてなおも小刻みに腰を押し付けつつ、蕩けた顔をした比呂人に深く口付けた。
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