異世界転移したらフェロモン系男子でした

七嶋璃

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釣り場へ*

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早朝、グリノルフに起こされて湿原を起つ。起きてすぐに船に乗り川を下る。日の出前で、木々の輪郭が青くにじんでいる。
陰鰐が活動する前の時間帯だが、櫂を持つグリノルフはかなり警戒していて比呂人は話しかけるのもはばかられた。
何事もなく湿地を抜けて、しばらく歩いたところで朝食をとる。グリノルフが生っている果物を取ってきてくれてそれを食べた。新鮮な果物は久しぶりで、甘さが舌に染みる。
朝食後はひたすら歩いて釣り場を目指す。早朝にたったお陰で釣り場には昼過ぎくらいにつくことができた。
そこからはただただ釣りをした。今回は前のように入れ食いとはいかず、夕方まで釣って二日分の食料といったところだった。
釣った魚で久しぶりの温かい夕食を取りながらグリノルフとこのあとの予定について話し合う。
「そこまで魚釣れなかったけどどうするんだ」
「明日の昼までは魚を釣ろう。早めに昼食を食べて湿地へ移動する。湿地へは陰鰐が眠っている夜に入る」
「うん、夜にって大丈夫かな」
「危険がないとは言わないが、陰鰐が一番恐ろしい。陰鰐が眠っている時間に移動するのが一番いい」
「わかったよ。グリノルフがそう言うんだったらそうなんだろ」
最後はあくびを噛み殺しながら比呂人が言った。今朝は早かったし、温かい食事をたらふく食べたせいか眠くてたまらない。
「蜂蜜酒でもと思っていたのだがいらないか」
「あー、うん、今日はいいや」
「今日はもう休め」
「うん」
寝支度をしようと背嚢からマントを取り出す。マントを持って立ち上がり、ふと昨晩のことが思い出される。
そのときからずっと体の奥底で熾火のようなものがくすぶっている。どうしてもグリノルフとの夜を期待してしまう。
今晩、グリノルフとしないにしても、大分溜まっているので自分で処理しなければいけないだろう。この状況でどうやって処理するのかはわからないが。
昨日は陰鰐がいるという場所が悪かっただけで、今日も自分から誘ってもいいものだろうか。いろいろ考えていると立ったままの比呂人をいぶかってグリノルフが声をかける。
「どうかしたか、ヒロト」
「ん、あ、いや、やっぱりまだ寝るのはもったいないかなって」
比呂人は振り返りグリノルフのほうを見た。グリノルフと比呂人の目が合う。
「そうだな」
グリノルフは立ち上がると比呂人のそばへ寄った。
「まだ眠ってしまうには惜しい」
グリノルフは大きな手で比呂人の頬をゆっくりと撫でた。
比呂人は頬に添えられたグリノルフの手に、自分の手を重ねるとためらいながら言った。
「俺、グリノルフとしたい」
いろいろと考えていたはずなのに、直截な言葉しか見つからなかった。
グリノルフは溢れるように笑い、比呂人を抱き寄せた。
「俺もだ」
ねっとりと絡みつくように口付けは、湿地ではなかった激しいものだった。口付けだけで力が抜けそうになる比呂人をグリノルフは手近な木に押し付けた。
グリノルフの性急な手が比呂人の服の上から陽物を擦り上げる。いくらもしないうちに比呂人がグリノルフを押し戻し切なげな声で言う。
「だめ、久しぶりだからすぐ出る」
グリノルフは比呂人に後ろを向かせ両手を木に付かせると、銀のローブをまくり上げズボンを足元まで引き下ろした。パムクの香りがしてぬるりと後孔あなに塗りつけられる。そのままグリノルフの指が内壁をかき回し、コリコリとした部分を押し上げるように刺激する。
「だめ、も、いく」
比呂人が切なげな声を出すと、グリノルフは比呂人の腰を両手で抱え込み、尻に怒張しきった陽物を押し当てた。
ゆるゆると腰を進めてこれ以上進めないところまで来ると小刻みに最奥を突き上げる。突き上げられるたび、比呂人は甘い声を漏らした。
「ずっとこうしたかった」
グリノルフの絞り出すような声に応えるように、比呂人の内壁なかがきゅうきゅうと締め付ける。
「も、立ってられない」快楽に足を震わせながら比呂人が言う。
グリノルフは比呂人を抱えたまま、地面へと腰を下ろした。その拍子にグリノルフの陽物がさらに深いところまで届き、びくりと比呂人の身体が跳ねる。
グリノルフは比呂人の顔だけを後ろに向かせ舌を絡めとる。グリノルフは比呂人の舌を強く吸いながらさらに深いところを抉った。
比呂人の身体が一際大きく震え、塞がれた口から快楽のうめき声が漏れる。と同時に比呂人の鈴口から精液がとろりと零れ落ちた。
強く締め上げる内壁に抗うように、グリノルフは更に突き上げる。グリノルフが突くたびに比呂人の身体が震え、鈴口からは精液が次々と溢れた。
「出すぞ」
グリノルフは短く言い、ぐっと腰を押し付けると最奥で精を放った。すべて絞りつくすように比呂人の内壁がさらに収縮する。
グリノルフは比呂人の目尻にたまった涙を唇で掬い上げ、脈動が収まるまで優しく口付けた。
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