そのまさか

ハートリオ

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8.知識不足は否めない

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「どうぞ、ご自分でよくご覧になって下さい。 私は、奥様ほどお美しい女性を他に見た事はございません!」


「え・・・そりゃ、だって、職場がここで、ほぼずっとここに居るんだから・・」


「いいえ、私、休みの日には“イイ女”探しに街歩きをしたり、お茶会に参加したり、イベントを見学に行ったり、それはそれは沢山の女性をこの目で愛で、
時にはカラダ・・ピ―――ッ・・でございます! ですから・・はっ!」


「・・・あ、そうなのね。 リークは女性が恋愛対象なのね・・・」


「あっ、ご安心下さい! 私、奥様はタイプじゃありませんので! 美人系よりカワイイ系が好きで・・あ、その、恋愛において、です! 人としては、奥様は最高・・・」


「あはは、微妙な気分ね。 あ~~、分かった、あの子ね? よく一緒に行動してる、キャラメル色の髪と瞳の、カワイイ・・」


「ひぃっ、ストッピング!!でお願い致します!」


・・あら、私のオヤジがうつってしまったかしら・・・ 


“奥様の部屋”の大鏡の前で、リークがしきりに私を褒めてくれるのですが・・・
今まで、人に褒められたことなど無いし、何かピンときませんね・・・


「・・あの、ですから、奥様は男からすれば“夢の女”なのです! 絶世の美女である上に、超ナイスバディ! お肌は白くスベスベで・・・そんな女性を妻にしている旦那様は、それは幸せ者のはずなのですよ! 夫婦生活が、ちゃんと円満にいっていれば、です! ですから、夫婦円満になれば良いのですよ! はい!」


「・・・ソレは、」


「はい! です!」


「・・・・・旦那様に、”その気”が無いのよ・・?」


「ふふっ、その気にさせましょう! 色仕掛けです! で、一度奥様を味わってしまえば、旦那様はもう奥様の虜に・・・」


・・・だんだんリークが恐くなってきたわ・・・目つきがヤバいわよ? でも、私の為に一生懸命考えてくれてるのね・・・やっぱりいい子ね・・


「でも私、基本的な性教育すらも全然受けてなくて・・“色仕掛け”って言ったって、何をどうすればいいのかまるで見当もつかないのよ?」

“前世の記憶はどうした?”ってお思いでしょう? ダメなのです・・先ず、ソノコトに関してはぼんやりとした記憶しか無い上に、その記憶も、何もせず、ベッドに転がっていただけ・・・つまり前世の私は・・はぁぁ(溜息)、多分一生を“マグロ”で通した、ある意味、勇者だったのですわ・・。 本当、何においても役立たず前世・・・


「・・! そ、それは私にもわかりませんね・・男に対する色仕掛けなんて、考えた事も無いし・・・男が何を考えてるかとか、一切興味無いし・・・う~~~ん・・」

そうなのですね・・女の子を“イかす”事は自信あるらしいのですが、男性相手は、私と同じ、未経験なわけですのね・・・困りましたわ・・・あら? エプロンのポケットからメモ帳を取り出して・・・


「なぁに? 何か参考になりそうな本でも知ってるの? そこに書いてあるの?」


「いいえ、コレはお茶会などの予定を・・あった、あった! まだ3時前だから、うん、間に合う! 奥様、私、ちょっくら行ってきます!」


「え? どこに?」


「兄上の馬を借りれば・・よっしゃ、あ、お茶会――というか、女子会でございます。馬を飛ばせば30分ほどの男爵家で、女子会がありますので、そこで“色仕掛け”の方法を聞き集めてまいります! ・・・大丈夫、今夜までには、間に合わせて見せます! では!」


スタタタタタッ チャッ、パタン、 タタタタタ・・・


リ、リーク! 何て頼りになるメイドなのっっ!!
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