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4.温室にて。
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ギネオア伯爵邸には大きな温室があり、ここでは冬でも美しい花々が咲き誇っています。 今ここに一人、長身の見眼麗しい男性が佇み、可憐な花を摘んでいます。
艶やかな黒髪に深く黒い瞳の二十代半ばのその男性は、どこか思い悩んでいるような、逆に上の空である様な、何とも読めない表情で、静かに花を摘んでいます。
彼の名はキヤギネ。 ギネオア伯爵の有能で忠実な執事です。
彼がその憂いを含んだ瞳を上げると、温室の入り口に伯爵夫人専属メイドのリークが姿を現します。
キヤギネが待ち構えていたようにリークに訊ねます。
「それで? 奥様のご様子はどうなのだ?」
「・・・・はい、お医者様は何も問題ないだろうと。 奥様自身も、お元気そうで、スープを召し上がった後は、少し休まれると。 ・・・あの、一体、こんな不思議な事があるのでしょうか? 私、奥様は耳が聞こえないか、言葉を理解出来ないか、喉に異常があるかで、口がきけないのだと思い込んでおりました。 それが、突然、当たり前の様に話し出されるなんて、まるで別人のようです! 一体、何が起こっているのでしょうか・・・!?」
「3階から落ちたショックで、何かが変わったのだろう。 だが、良い事だ。 ヤカフ様にとって、な。」
「・・はい、これで、夫婦らしくなれるという事ですね?」
「それは何とも。 だが、いずれにしろ、ハッキリさせる事が出来るだろう。 ここへ来て3年、夫婦らしい事は何一つ無かったのだ。 離縁するにしても、何も聞かぬ、話さぬ状態では話を進められない。 お互いにとって、前へ進むのに必要な事だ。」
「・・! 兄上は、ベナ様を離縁されるべきだとお考えですか!?」
「・・まぁ、そうだな。 3年間、何も無かったものが、話せるようになったからと言って、全てが上手くいくとは思えないからな。 話せるのだって、お前限定かもしれないし、一時的なものでまた話せなくなってしまうかもしれないし・・」
「ベナ様は、命の恩人の旦那様にお会いして、お礼を言いたいと仰ってます!
素晴らしい進歩ではないですか!」
「・・・ほぉ・・。 凄いものだな・・」
「はい! 奥様は変わられたのです!」
「いや、その事ではなく、お前だ。 奥様に一切関心を示さなかったお前が、突然随分と親身になるものだな・・?」
「それは・・そうです。 今までは、動く綺麗なお人形の様でしたけど、実際、話されると、とても人間らしい方なんです。 飾らず、気さくで、あの美しく完璧な容姿からは考えられない性格で・・・きっと、旦那様も惹かれるはずです、断言できます!」
「ふぅん・・そうならいいがな・・・」
「旦那様は今日もお帰りが遅いのですか?」
「ああ・・・しばらくはその予定だな。 とにかく旦那様は時間があれば仕事を入れてしまう・・1ヶ月先まで予定はびっしりで、奥様とゆっくり話される時間は当分作れないだろうな。 奥様が目覚められた事、そろそろ使いの者から聞いているだろうが、早く帰られる事はないだろう。」
いいえ、きっと早く戻られる――そうリークは思います。
男性というのは鈍いもの・・兄上は気付いてないようですが、あれ程女遊びが酷かった旦那様が3年前、ベナ様をお連れになってから急に大人しくなられた――
「・・ベナ様はもう一人の“命の恩人”についても訊ねられましたが・・」
リークがさり気なさを装ってそう切り出すと、キヤギネはふと花を摘む手を止め、リークを見ます。
「(やはり気になりますか・・)ベナ様には他に人はいなかったとお伝えしました。“命の恩人”は旦那様お一人だけだと。 その方が、色々良いかと思いまして。」
実は3年前から派手な女性関係がピタリと止まったのは兄上も同様・・・兄上の恋愛事情に首を突っ込む気は無いけれど、さすがに奥様はいけません。 いえ、兄上はこれまで1度もベナ様と顔を合わせた事すらなかった・・1週間前、お助けした時、初めて奥様を見たのだから、ただの偶然、考え過ぎだとは思うのだけど・・・そんな風に思考が泳ぐ中、ポッカ~~ンと自分を見つめる兄の様子に、急に自分の“考えすぎ”が恥ずかしくなり、リークはクールな表情のまま頬が赤らんでしまいます。
「・・ああ、それでいい。 ・・お前、何か変な心配をしてるか? もしかして“隠れブラコン”だったのか?」
「・・ちっ! 違います!! 私は、全ての危険から奥様をお守りする為に・・」
「・・うわっ・・嘘だろ?」
「はっ!? 何がです!? 私はウソなど・・」
「違う、お前じゃなくて・・見ろ、アレ。 旦那様だ。 ・・・はぁ、分からないものだな・・・飛んで帰って来た・・・」
「うわ、本当!? あぁ、やっぱり! 兄上、鈍い兄上と違って、私は旦那様が早くお帰りだろうと分かっておりましたよ!(ドヤ!) クフン、早速奥様にお知らせせねば・・!」
「・・あぁ、待て、リーク。」
走り出そうとするリークは呼び止められて兄を振り返れば、フワリと目の前に香しい香りを放つ可憐な花束を渡されます。
「“奥様の部屋”にでも・・」
そう言って薄く笑う兄の表情は妹でも全く読めません・・・
でも、恐ろしく魅力的であることは妹にでも分かるのです・・・
艶やかな黒髪に深く黒い瞳の二十代半ばのその男性は、どこか思い悩んでいるような、逆に上の空である様な、何とも読めない表情で、静かに花を摘んでいます。
彼の名はキヤギネ。 ギネオア伯爵の有能で忠実な執事です。
彼がその憂いを含んだ瞳を上げると、温室の入り口に伯爵夫人専属メイドのリークが姿を現します。
キヤギネが待ち構えていたようにリークに訊ねます。
「それで? 奥様のご様子はどうなのだ?」
「・・・・はい、お医者様は何も問題ないだろうと。 奥様自身も、お元気そうで、スープを召し上がった後は、少し休まれると。 ・・・あの、一体、こんな不思議な事があるのでしょうか? 私、奥様は耳が聞こえないか、言葉を理解出来ないか、喉に異常があるかで、口がきけないのだと思い込んでおりました。 それが、突然、当たり前の様に話し出されるなんて、まるで別人のようです! 一体、何が起こっているのでしょうか・・・!?」
「3階から落ちたショックで、何かが変わったのだろう。 だが、良い事だ。 ヤカフ様にとって、な。」
「・・はい、これで、夫婦らしくなれるという事ですね?」
「それは何とも。 だが、いずれにしろ、ハッキリさせる事が出来るだろう。 ここへ来て3年、夫婦らしい事は何一つ無かったのだ。 離縁するにしても、何も聞かぬ、話さぬ状態では話を進められない。 お互いにとって、前へ進むのに必要な事だ。」
「・・! 兄上は、ベナ様を離縁されるべきだとお考えですか!?」
「・・まぁ、そうだな。 3年間、何も無かったものが、話せるようになったからと言って、全てが上手くいくとは思えないからな。 話せるのだって、お前限定かもしれないし、一時的なものでまた話せなくなってしまうかもしれないし・・」
「ベナ様は、命の恩人の旦那様にお会いして、お礼を言いたいと仰ってます!
素晴らしい進歩ではないですか!」
「・・・ほぉ・・。 凄いものだな・・」
「はい! 奥様は変わられたのです!」
「いや、その事ではなく、お前だ。 奥様に一切関心を示さなかったお前が、突然随分と親身になるものだな・・?」
「それは・・そうです。 今までは、動く綺麗なお人形の様でしたけど、実際、話されると、とても人間らしい方なんです。 飾らず、気さくで、あの美しく完璧な容姿からは考えられない性格で・・・きっと、旦那様も惹かれるはずです、断言できます!」
「ふぅん・・そうならいいがな・・・」
「旦那様は今日もお帰りが遅いのですか?」
「ああ・・・しばらくはその予定だな。 とにかく旦那様は時間があれば仕事を入れてしまう・・1ヶ月先まで予定はびっしりで、奥様とゆっくり話される時間は当分作れないだろうな。 奥様が目覚められた事、そろそろ使いの者から聞いているだろうが、早く帰られる事はないだろう。」
いいえ、きっと早く戻られる――そうリークは思います。
男性というのは鈍いもの・・兄上は気付いてないようですが、あれ程女遊びが酷かった旦那様が3年前、ベナ様をお連れになってから急に大人しくなられた――
「・・ベナ様はもう一人の“命の恩人”についても訊ねられましたが・・」
リークがさり気なさを装ってそう切り出すと、キヤギネはふと花を摘む手を止め、リークを見ます。
「(やはり気になりますか・・)ベナ様には他に人はいなかったとお伝えしました。“命の恩人”は旦那様お一人だけだと。 その方が、色々良いかと思いまして。」
実は3年前から派手な女性関係がピタリと止まったのは兄上も同様・・・兄上の恋愛事情に首を突っ込む気は無いけれど、さすがに奥様はいけません。 いえ、兄上はこれまで1度もベナ様と顔を合わせた事すらなかった・・1週間前、お助けした時、初めて奥様を見たのだから、ただの偶然、考え過ぎだとは思うのだけど・・・そんな風に思考が泳ぐ中、ポッカ~~ンと自分を見つめる兄の様子に、急に自分の“考えすぎ”が恥ずかしくなり、リークはクールな表情のまま頬が赤らんでしまいます。
「・・ああ、それでいい。 ・・お前、何か変な心配をしてるか? もしかして“隠れブラコン”だったのか?」
「・・ちっ! 違います!! 私は、全ての危険から奥様をお守りする為に・・」
「・・うわっ・・嘘だろ?」
「はっ!? 何がです!? 私はウソなど・・」
「違う、お前じゃなくて・・見ろ、アレ。 旦那様だ。 ・・・はぁ、分からないものだな・・・飛んで帰って来た・・・」
「うわ、本当!? あぁ、やっぱり! 兄上、鈍い兄上と違って、私は旦那様が早くお帰りだろうと分かっておりましたよ!(ドヤ!) クフン、早速奥様にお知らせせねば・・!」
「・・あぁ、待て、リーク。」
走り出そうとするリークは呼び止められて兄を振り返れば、フワリと目の前に香しい香りを放つ可憐な花束を渡されます。
「“奥様の部屋”にでも・・」
そう言って薄く笑う兄の表情は妹でも全く読めません・・・
でも、恐ろしく魅力的であることは妹にでも分かるのです・・・
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