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第三章

33 深夜の攻防に6年間勝ち続けた男

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ステラが一度死に、生き返るという大事件が起きて。

生き返ったステラが城へ戻った数時間後。

今夜はもう会いに来ないだろうと思いながらもソワソワしていたキールの耳に


『白クマさん、
白クマさ~~ん?』


ステラの声が響く。

キールはいつもと違い、躊躇する事無くサッと茂みから出て行く。


『居たッ!
白クマさ~~ん!』


キール(白クマ)は自分を見つけて嬉しそうに駆けて来るステラに体が熱くなる。


駆け寄って、
抱き締めて、
キスしたい!


(えッ!?
俺、何考えて…!?)



自分の中で渦巻く想いに困惑し固まったままステラを見れば。

ステラは薄い夜着にガウンを引っかけた、あまりにも無防備な姿で。

月明かりに白く輝く肌に浮き出る繊細で美しい鎖骨。

その下で弾む二つの膨らみ。

プルン、プルン、
プルルン!

そのイタズラな揺れだけをガン見してしまい、頭の中が真っ白状態のキール。

だが、ステラがある距離まで来ると、キールは後退あとずさる。

そうするとステラもハッとしてピタッと立ち止まる。

立ち止まったものの、ソワソワした様子でソロリと足を踏み出すステラ。

ススッと後退るキール。

何気なさを装いながらチョコチョコと少しずつ近付こうとするステラ。

スススと後退るキール。

毎晩、この攻防がしばらく続く。

『むぅぅぅ‥‥』

焦れて、小さな子供がイヤイヤをする様に体を左右に捻るステラ。

プルンッ、プルンッ、
プルルンルンッ!

揺れて弾むステラのバスト。

ノー計算だと分かっている。

分かっていても、
あまりにも、
あざといッ!

細くしなやかな身体に存在感のあるバスト。

ただでさえ悩ましさMAXなのに、夏が近づき夜着は薄くなり、頂きの桃色までもが透けて見え‥見るなーーーッッ!!

距離を保たねば自分がどうなってしまうか分からないキールは、目眩の中、必死に距離を保ち続ける。

『もう‥‥』

眉尻を下げて唇を尖らせて。

『白クマさんのケチ』

少し膨れながらもキラキラと輝く金の瞳は、慈しみの色を湛えたり、縋る様な色を滲ませたり。

白目の際が薄い紅色に染まった様は、絶対に直視してはいけない。

直視してはいけない。
直視してはいけない。

可愛く尖らせた唇はプックリとして赤く艶めいて‥‥



暴力である。


無自覚なまま醸し出される濃密な色気。


それは、暴力と言わねばならないほどの威力を放ち‥‥



キールはそれを何とか無視し続けて来たのだ。

しかも、6年間も!

自分を褒めていいし、
自信を持っていい‥‥


はずだったのに!?
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