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第三章

25 ステラ、ピンチ!

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「そなたの魔力の核を我が魔力で満たす!
そうすればそなたの赤い魔力は我が魔力の色に染まる!
分かるか?
魔力はそなた自身だ。
そなたの体内を満たしている。
つまり、体の内側からそなたを奪うという事だ!
体で体を奪うよりも深く完全にそなたは我のものとなるのだ!」

「なッ!?
き、気持ち悪い事を!
オ‥‥オェ」



あまりのおぞましさに青褪めるステラ。

魅惑のフェイスには蠱惑的な眼差しといたずらなリップ、悩殺ボディを持ちながら内面は『ザ・初心』と言っていい程ソッチに疎いお子様ステラなのに。

国王という名のスケベオヤジに剥き出しの異常な欲望を向けられ、もう限界。


(‥‥ッ!?
な‥‥何!?
この光景!?)


限界ステラをさらに揺らすおぞましい光景が突如頭に飛び込んで来る。



――天井から吊るされた全裸の美女が男に甚振られている。

身を捩り泣き叫ぶ美女を甚振りながら目を爛々とさせて口角を上げる男。

その男は――ウィーツ

今、目の前でステラに同じ目を向けている、ティスリー王国最高権力者。



フッと映像が変わる。

ベッドに仰向けで寝かされている美女。

いや、多分、美女。

一糸まとわぬ体は血だらけで、その顔も体も元の姿を留めていないのだろう。

『一思いに殺して』と懇願する女体の上を上下にスライドしながら尚も損壊し続ける男は――醜悪な悦びに顔を歪ませている男は――やはり王ウィーツ。



そんなおぞましい場面が次から次へと頭に飛び込んで来て、ステラの体は氷の様に冷たくなって行く。



(これは王の妄想!?
いいえ、記憶‥‥
過去に、女性達を苦しめた記憶なのね!?
何という非道な事を!
‥‥はッ、いけない、
不味いッ‥‥)


チリチリ、パチパチ、

ステラの内で何かが爆ぜる感覚がある。


(苦‥‥しい‥‥
どう、しよう‥‥)



ステラは頭の中がクラリと回転してよろめいてしまう。


『今だ!』とばかりに、王から立ち昇る青黒い龍は禍々しい煙を放つと、大きく口を開け、ステラ目掛けて突進する!

王は恍惚の表情のまま掠れた声で叫ぶ!



「さぁ、そなたの全てを我で満たせ!
我が傀儡となれ!
存分に可愛がってくれようぞ!」



青黒い龍が大きく開けた口でステラを飲み込もうとした瞬間―――





<<<<――させない>>>>





強い強い思念が轟く。
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