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第三章

21 王命

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「「「父上!?」」」



3王子が剣呑な声を上げる。

さらに剣のある声でステラが答える。



「お断りいたします」



こんな日にこんな所でそんな事を言い出すのは想像を絶するバカだから、遠回しな言い方をしてもただの時間の無駄。

そう考えて、敢えて忖度しない物言いをしたステラだが。



自分が求めれば女は喜んで従うと信じている王ウィーツはしばしポカンとする。

その後腹の中で怒り狂う。

王ウィーツは自分に自信がある。

国王という身分など無くても、自分に誘われて断る女などいるはず無いと。

見目麗しく、堂々とした姿は女の心を打つはずだ。

まだ腹も出ていない。

3王子も美しいが、男としての魅力は自分の方がずっと上。

それなのに、一体どう間違ったら『断る』という選択をするのか!?

だが、そんな怒りを遥かに凌駕する欲望が王を支配していく。

無表情を保ってはいるものの、その目は獲物を見つけた獣の様にステラを舐めまわす様に見つめる。


(美しい‥‥何てイイ体をしているんだ‥‥肌の露出の少ないドレスを今すぐ切り裂いてその体を全て露わにして堪能したい‥‥ダメだ、これ以上我慢出来ない)



「ステラ・カ・リアン!
今を持ってそなたを我が側妃とする。
これは王命である!」

「お断りいたします」

「‥‥ッ!
‥‥ハハハ、王命だ!
断ることは許さぬッ」



一国の王ともあろう者が、声が上ずってしまっている。

王は3王子――息子達を跳ね飛ばして割り込み、ステラに手を差し出す。



「父上ッ!?」
「話が違います!」
「先輩は僕が‥‥」

「黙れッ!
我に逆らうならば、王子といえど許しはせぬ!
下がれ!
さぁ、ステラ嬢、わが手を‥‥
なッ、お前達!?」



3王子達は父王に跳ね飛ばされて一度は下ろした手を同時にステラに向けて差し出して――



「私の手を取れ! ステラ嬢!
父上から守ってやる!」
「俺の手を!
俺の母は隣国の王女。
共に隣国へ逃げよう!」
「先輩、僕を選んで!
この命に代えてでもあなたを守ると誓います!」



3人同時に叫ぶので。


(いや、本当に何言ってるか分からない‥‥)


3王子が父王に逆らってまで見せた ”男気 ”は、ステラにまるっきり届かないのであった。
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