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第三章

20 王家の男達

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「私は優秀にしてモテ男のティスリー王国第一王子ガー・ヌ・ティスリーだ。
ステラ嬢なのだな?
会えて嬉しいぞ。
愚かな従兄ディングに傷つけられたお前の身も心もこの私が慰めてやろう。
さぁ、遠慮せず私の手を取るがいい」

「は?」



目の前の尊大な男は第一王子‥‥

何でこんなに上からなんだ‥‥

あぁ、王子だからか‥‥

バカじゃないの‥‥


などとステラが思っていると、いつの間にか第一王子の横に並び立つ男――

特別席の第一王子の隣に座っていたから王子かな?な男が第一王子と同じ様にステラに向かって手を差し出して――



「いや、俺の手を取るといい。
俺は第二王子のリットル・ブ・ティスリーだ。
ステラ嬢、噂と違って美しいお前は俺の手を取る資格がある!
兄上は真面目そうに見えてムッツリだ。
すぐに体の関係を迫られるぞ。
淑女なら俺を選べ!」

「まぁ‥‥」



何と言うか‥‥

体の大きな幼児かしら?

バカ‥‥なのね‥‥

ルア殿下は年下だけどちゃんとしているのに‥‥


などと思いながら長身の兄二人に押し戻される形で兄二人の後ろに隠れてしまっているルアに同情心が湧くステラ。

兄が二人ともバカってお辛いでしょうね‥‥

すると、並んだ兄二人の間を押しのけステラの真正面に出るルア。

ガッシリと筋肉を纏った、体だけは大人の男二人を押しのけられるなんて、意外な力強さにステラは驚く。

身長は兄二人に並ぶもののまだ線が細い少年だし、何より、控えめな性格なのに?

ルアは更に力強く叫んでステラを驚かす。



「兄上達!
何バカな事を言ってるんですか!?
ステラ先輩と結婚するのは僕です!
先日の会議で決定済みですからね!」

「えぇッ!?
け、結婚!?
ルア殿下、
何を仰って‥‥」

「突然すみません、
これは王命で‥‥
いえ、王命でなくとも僕は先輩と結婚したい!
どうか僕の手を取って下さい!
必ず先輩を幸せにすると誓います!」



そう言ってルアもステラに向かって手を差し出す。


(‥‥真面目で責任感が強いルア殿下が真剣な表情で‥‥
卒業パーティーの余興というワケでは無さそうね)


突然差し出されたティスリー王国の三人の王子の手。

王子達は『ステラ嬢が美女と分かった以上、私が娶る』『いいや、俺がもらう』『僕のものです!』とかゴチャゴチャ言い合っている。

と言うかさっきルア殿下は王命と言った?

ちょっと何言ってるか分からない‥‥

キッッッパリ断ろうと顔を上げたステラの目は、獲物を見る様なギラついた目とかち合い、そのおぞましさにたじろぎ、揺れる。

3人の王子の後方からゆっくりと近付いて来る、3人の王子とは比べ物にならない程の魔力の持ち主。

ティスリー王国一の魔力を誇る男が低い声で穏やかに話し掛けてくる。



「王子達よ、
いい加減にせよ。
ステラ嬢が困っているではないか。
ふ~~む‥‥ふふ‥‥
なるほど、美しい!
未熟な王子達には勿体ない美女よ。
よかろう、我が側妃として迎えよう」

「‥‥ッ!?」



どうやらステラはティスリー王国一面倒臭いスケベに目を付けられてしまった様で‥‥
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