68 / 120
第二章
35 遠い目
しおりを挟む
執務に関して、カロンは何と言っていたっけ‥‥?
確か‥‥
――最終的に公爵令息が受け取る書類は事務員の作った書類をステラ様が仕上げたものです。
具体的に言うと、
まず、事務員それぞれから上がって来た書類を優先順位をつけて仕分けします。
次に、書類の不備――というより、最終的に公爵令息が判断しやすいように資料を整え、新たに調査が必要なら的確な指示で調査を命じ、資料、調査結果、過去や外国の例なども参考に分析、考察しまとめ上げたものを公爵令息に提出しておられました。
公爵令息は明確に正解の分かる形で渡された書類に、優しく親切に示唆された通りの答えや指示、サインをするだけでしたから、『公爵令息の執務』は大層楽だった事でしょう。
以上のステラ様が担って来た仕事は、本来、公爵令息の仕事ですので、今後は公爵令息がなさって下さい。
事務員の仕事ではありませんので丸投げしない様に――
しない様に――
様に――
――
遠い目でカロンの言葉を思い出したディングは立ったまま気絶し、そのまま3日間寝込んだ後は死に物狂いでスタード公爵家を立て直す為に必死に仕事に励み出したという。
だが、カロンから事情を聞いたディングの隠し恋人がディングの隠し子を連れてスタード公爵邸を訪ねて来て、丁度様々な罪で騎士達に連行されようとする半狂乱のクレアと鉢合わせて大喧嘩をしたり、領地から代表が訪ねて来て『自分達の主はステラ様だ!』と主張したり、問題は山積みで。
それでもディングは潰れずに頑張り続ける。
そのしぶとさはさすがに王家の血を引く者である。
最近、ディングは仕事の合間にふと遠い目をする様になった。
遠い目の、視線の先にはステラがいる。
そのステラは―――
確か‥‥
――最終的に公爵令息が受け取る書類は事務員の作った書類をステラ様が仕上げたものです。
具体的に言うと、
まず、事務員それぞれから上がって来た書類を優先順位をつけて仕分けします。
次に、書類の不備――というより、最終的に公爵令息が判断しやすいように資料を整え、新たに調査が必要なら的確な指示で調査を命じ、資料、調査結果、過去や外国の例なども参考に分析、考察しまとめ上げたものを公爵令息に提出しておられました。
公爵令息は明確に正解の分かる形で渡された書類に、優しく親切に示唆された通りの答えや指示、サインをするだけでしたから、『公爵令息の執務』は大層楽だった事でしょう。
以上のステラ様が担って来た仕事は、本来、公爵令息の仕事ですので、今後は公爵令息がなさって下さい。
事務員の仕事ではありませんので丸投げしない様に――
しない様に――
様に――
――
遠い目でカロンの言葉を思い出したディングは立ったまま気絶し、そのまま3日間寝込んだ後は死に物狂いでスタード公爵家を立て直す為に必死に仕事に励み出したという。
だが、カロンから事情を聞いたディングの隠し恋人がディングの隠し子を連れてスタード公爵邸を訪ねて来て、丁度様々な罪で騎士達に連行されようとする半狂乱のクレアと鉢合わせて大喧嘩をしたり、領地から代表が訪ねて来て『自分達の主はステラ様だ!』と主張したり、問題は山積みで。
それでもディングは潰れずに頑張り続ける。
そのしぶとさはさすがに王家の血を引く者である。
最近、ディングは仕事の合間にふと遠い目をする様になった。
遠い目の、視線の先にはステラがいる。
そのステラは―――
4
お気に入りに追加
1,048
あなたにおすすめの小説
踏み台令嬢はへこたれない
三屋城衣智子
恋愛
「婚約破棄してくれ!」
公爵令嬢のメルティアーラは婚約者からの何度目かの申し出を受けていたーー。
春、学院に入学しいつしかついたあだ名は踏み台令嬢。……幸せを運んでいますのに、その名付けはあんまりでは……。
そう思いつつも学院生活を満喫していたら、噂を聞きつけた第三王子がチラチラこっちを見ている。しかもうっかり婚約者になってしまったわ……?!?
これは無自覚に他人の踏み台になって引っ張り上げる主人公が、たまにしょげては踏ん張りながらやっぱり周りを幸せにしたりやっと自分も幸せになったりするかもしれない物語。
「わたくし、甘い砂を吐くのには慣れておりますの」
ーー踏み台令嬢は今日も誰かを幸せにする。
なろうでも投稿しています。
【コミカライズ決定】地味令嬢は冤罪で処刑されて逆行転生したので、華麗な悪女を目指します!~目隠れ美形の天才王子に溺愛されまして~
胡蝶乃夢
恋愛
婚約者である王太子の望む通り『理想の淑女』として尽くしてきたにも関わらず、婚約破棄された挙句に冤罪で処刑されてしまった公爵令嬢ガーネット。
時間が遡り目覚めたガーネットは、二度と自分を犠牲にして尽くしたりしないと怒り、今度は自分勝手に生きる『華麗な悪女』になると決意する。
王太子の弟であるルベリウス王子にガーネットは留学をやめて傍にいて欲しいと願う。
処刑された時、留学中でいなかった彼がガーネットの傍にいることで運命は大きく変わっていく。
これは、不憫な地味令嬢が華麗な悪女へと変貌して周囲を魅了し、幼馴染の天才王子にも溺愛され、ざまぁして幸せになる物語です。
つかぬことをお伺いいたしますが、私はお飾りの妻ですよね?
蓮
恋愛
少しネガティブな天然鈍感辺境伯令嬢と目つきが悪く恋愛に関してはポンコツコミュ障公爵令息のコミュニケーションエラー必至の爆笑(?)すれ違いラブコメ!
ランツベルク辺境伯令嬢ローザリンデは優秀な兄弟姉妹に囲まれて少し自信を持てずにいた。そんなローザリンデを夜会でエスコートしたいと申し出たのはオルデンブルク公爵令息ルートヴィヒ。そして複数回のエスコートを経て、ルートヴィヒとの結婚が決まるローザリンデ。しかし、ルートヴィヒには身分違いだが恋仲の女性がいる噂をローザリンデは知っていた。
エーベルシュタイン女男爵であるハイデマリー。彼女こそ、ルートヴィヒの恋人である。しかし上級貴族と下級貴族の結婚は許されていない上、ハイデマリーは既婚者である。
ローザリンデは自分がお飾りの妻だと理解した。その上でルートヴィヒとの結婚を受け入れる。ランツベルク家としても、筆頭公爵家であるオルデンブルク家と繋がりを持てることは有益なのだ。
しかし結婚後、ルートヴィヒの様子が明らかにおかしい。ローザリンデはルートヴィヒからお菓子、花、アクセサリー、更にはドレスまでことあるごとにプレゼントされる。プレゼントの量はどんどん増える。流石にこれはおかしいと思ったローザリンデはある日の夜会で聞いてみる。
「つかぬことをお伺いいたしますが、私はお飾りの妻ですよね?」
するとルートヴィヒからは予想外の返事があった。
小説家になろう、カクヨムにも投稿しています。
【完】ええ!?わたし当て馬じゃ無いんですか!?
112
恋愛
ショーデ侯爵家の令嬢ルイーズは、王太子殿下の婚約者候補として、王宮に上がった。
目的は王太子の婚約者となること──でなく、父からの命で、リンドゲール侯爵家のシャルロット嬢を婚約者となるように手助けする。
助けが功を奏してか、最終候補にシャルロットが選ばれるが、特に何もしていないルイーズも何故か選ばれる。
酒の席での戯言ですのよ。
ぽんぽこ狸
恋愛
成人前の令嬢であるリディアは、婚約者であるオーウェンの部屋から聞こえてくる自分の悪口にただ耳を澄ませていた。
何度もやめてほしいと言っていて、両親にも訴えているのに彼らは総じて酒の席での戯言だから流せばいいと口にする。
そんな彼らに、リディアは成人を迎えた日の晩餐会で、仕返しをするのだった。
【完結】婚約者が好きなのです
maruko
恋愛
リリーベルの婚約者は誰にでも優しいオーラン・ドートル侯爵令息様。
でもそんな優しい婚約者がたった一人に対してだけ何故か冷たい。
冷たくされてるのはアリー・メーキリー侯爵令嬢。
彼の幼馴染だ。
そんなある日。偶然アリー様がこらえきれない涙を流すのを見てしまった。見つめる先には婚約者の姿。
私はどうすればいいのだろうか。
全34話(番外編含む)
※他サイトにも投稿しております
※1話〜4話までは文字数多めです
注)感想欄は全話読んでから閲覧ください(汗)
私の頑張りは、とんだ無駄骨だったようです
風見ゆうみ
恋愛
私、リディア・トゥーラル男爵令嬢にはジッシー・アンダーソンという婚約者がいた。ある日、学園の中庭で彼が女子生徒に告白され、その生徒と抱き合っているシーンを大勢の生徒と一緒に見てしまった上に、その場で婚約破棄を要求されてしまう。
婚約破棄を要求されてすぐに、ミラン・ミーグス公爵令息から求婚され、ひそかに彼に思いを寄せていた私は、彼の申し出を受けるか迷ったけれど、彼の両親から身を引く様にお願いされ、ミランを諦める事に決める。
そんな私は、学園を辞めて遠くの街に引っ越し、平民として新しい生活を始めてみたんだけど、ん? 誰かからストーカーされてる? それだけじゃなく、ミランが私を見つけ出してしまい…!?
え、これじゃあ、私、何のために引っ越したの!?
※恋愛メインで書くつもりですが、ざまぁ必要のご意見があれば、微々たるものになりますが、ざまぁを入れるつもりです。
※ざまぁ希望をいただきましたので、タグを「ざまぁ」に変更いたしました。
※史実とは関係ない異世界の世界観であり、設定も緩くご都合主義です。魔法も存在します。作者の都合の良い世界観や設定であるとご了承いただいた上でお読み下さいませ。
愛など初めからありませんが。
ましろ
恋愛
お金で売られるように嫁がされた。
お相手はバツイチ子持ちの伯爵32歳。
「君は子供の面倒だけ見てくれればいい」
「要するに貴方様は幸せ家族の演技をしろと仰るのですよね?ですが、子供達にその様な演技力はありますでしょうか?」
「……何を言っている?」
仕事一筋の鈍感不器用夫に嫁いだミッシェルの未来はいかに?
✻基本ゆるふわ設定。箸休め程度に楽しんでいただけると幸いです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる