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第二章

21 おもてなし部長、ステラを語る

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私、公爵令息ディングがうっかり『いつもはどうしてる?』と聞いたら、ステラがいつもどうしているかを話し出すおもてなし部長。

いや、ステラじゃなくて、おもてなし部はいつもどうしているのか訊いているのだと言ったら、


ですから!
ステラ様が!
全てなのですッ!


と、額に青筋を立てて目を剥くおもてなし部長。

身長190センチの私は高身長だが、おもてなし部長は230センチとバカでかい。

私から見ても大男で全体的にガッシリ系四角形ボディのスキンヘッドの強面が青筋を立てて目を剥く姿は、意識のある者なら全員気絶するぐらいの迫力であった為、私の意識も軽く遠のいてしまい、おもてなし部長は私が清聴する姿勢を見せたと勘違いし、ステラの話を続けてしまう。

―――ったく、今は愚鈍な女の話をしている場合ではないというのに!



ハァ、ハァ、こほん、
改めまして――


ステラ様はいつも物陰からそっと、

スタード公爵邸に到着されたお客様を観察されます。


目を合わせる事が出来ないご自分の状況を残念に思われるお客様もいらっしゃるだろうとお気を遣われて、ご自分のお姿をお見せしない様配慮されていました。


‥‥ステラ様のあの、

首を‥‥頭を上げる事が出来ないほど重い泥固めヘアはディング様のご命令だそうですね‥‥‥‥


ヒョォォォッ



何故か室内に謎冷風が‥‥



フゥーーッ、こほん、
続けます――


スタード公爵邸には今日の様に突然いらっしゃるお客様も多いですし、事前にお約束されたお客様に対してもステラ様は嗜好に関する下調べはされません。


――個人の好みに関する情報は不正確な事が多く、信用できない事が多い。

その上、ヘタな先入観はお客様のご希望を見極める目を曇らせる。

それに‥‥

旅とは非日常を楽しむもの。

お好みに添ったものよりも、ティスリー王国、スタード公爵邸ならではのおもてなしを経験して頂きたい――


からだと仰っていました。



‥‥いやいや、ふふっ


そのお言葉を、約6年前、まだ10才のステラ様から聞いた時は『何と凄い10才なのだ』と腰が抜けそうになりました‥‥



その後長々とおもてなし部長が話した内容を要約すると――


ステラは物陰から客を見た瞬間に『どの客室に通すか』『食事はどうするか』など、おもてなし内容を決める。

その決定はいつも大変な驚きとともに喜ばれ、感謝感激される。


――というもので。



ウゥゥ~ッソだろ!?


何か話しかけても直ぐに答えを返せない様な愚鈍なステラが!?

だが、おもてなし部長に嘘をつく理由など無いし‥‥


あぁ、一体、何がッッ

ドウナッテルンダ!?
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