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第二章
06 始まり
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それからカロンは大忙しで魔玉保管庫と邸内を駆けずり回った。
そして‥‥
「お待たせしました。
厨房魔道具、生活魔道具、ランプ魔道具の魔玉を6年前のものに交換完了です!」
「さすがに、仕事が速いですね!」
「いえ、私は指示しただけで、実際に作業したのは魔玉管理者たちです。
交換作業を見たのですが、ステラ様が充魔された魔玉は赤いので驚きました。
魔玉は魔力が空なら黒
充魔されていれば銀、
ですが保管庫のほとんどが美しい赤で‥‥
そう、ステラ様の髪の色‥‥シグナルレッドに輝いていて‥‥
まるで芸術品の様で見惚れてしまいました」
ちなみに泥を落としたステラの髪は美しいシグナルレッド。
6年間も毎日髪に塗り込まれていた泥は髪をダークグレーに染める染料なのだが。
以前、白クマさんがステラの髪が暗く染まり始めたのを嫌がったので、それ以来、ステラは髪に染料が入らない様に魔法で防いできた。
ステラは白クマさん次第なのだ。
「危険でなければ残して行けるのですが‥‥
仕方ありませんね。
では回収してこの裏門から出て行きますね」
「え、回収って‥‥
ここで、どう‥‥」
戸惑うカロンにフワリと微笑んで、スッと左手を上げるステラ。
と、邸内のいたる所からキラキラとシグナルレッドに輝く光がステラの左手に集まって来る。
キラキラ輝くシグナルレッドの光に包まれるステラ。
その姿はまさに女神!
夢の様な美しさにカロンは言葉も無く見惚れてしまう。
やがて光が治まると、口を開けたまま見惚れていたカロンに挨拶するステラ。
「お世話になりました。
カロン様にはたくさん学び、たくさん助けて頂きました。
ありがとうございました。
またどこかでお会いできると嬉しいです。
奥様やお子様も御一緒に。
それでは‥‥」
そう言って裏門から歩いて出て行くステラにハッと我に返ったカロンが叫ぶ。
「お待ち下さい!
そのまま、何も持たずに出て行かれるのですか!?
せめて金品‥‥装飾品だけでも‥‥」
「何も要りません。
それに、私が持っていた装飾品は子供の頃にディング様に頂いた数点のみ。
子供用ですし、そのまま置いて行きます。
捨てるなり何なり、ディング様が処理されるでしょう」
「‥‥なッ!
ディン‥‥公爵令息はあなたに何も贈り物をしていなかったのですか!?
あぁもう、本当に、別れて正解ですよ、ステラ様!」
「‥くふっ、はい。
贈り物は要りませんが、婚約解消はとても嬉しいです。
それではお元気で」
「あッ、待‥‥」
尚も追いすがろうとするカロンだが、邸の方から騒がしい声が上がり始めているのに気付き、ハァと深く溜息をつくと、邸に足を向ける。
あの馬鹿達――スタード公爵家にどう説明しようか?
気も足も重いカロンである。
そして‥‥
「お待たせしました。
厨房魔道具、生活魔道具、ランプ魔道具の魔玉を6年前のものに交換完了です!」
「さすがに、仕事が速いですね!」
「いえ、私は指示しただけで、実際に作業したのは魔玉管理者たちです。
交換作業を見たのですが、ステラ様が充魔された魔玉は赤いので驚きました。
魔玉は魔力が空なら黒
充魔されていれば銀、
ですが保管庫のほとんどが美しい赤で‥‥
そう、ステラ様の髪の色‥‥シグナルレッドに輝いていて‥‥
まるで芸術品の様で見惚れてしまいました」
ちなみに泥を落としたステラの髪は美しいシグナルレッド。
6年間も毎日髪に塗り込まれていた泥は髪をダークグレーに染める染料なのだが。
以前、白クマさんがステラの髪が暗く染まり始めたのを嫌がったので、それ以来、ステラは髪に染料が入らない様に魔法で防いできた。
ステラは白クマさん次第なのだ。
「危険でなければ残して行けるのですが‥‥
仕方ありませんね。
では回収してこの裏門から出て行きますね」
「え、回収って‥‥
ここで、どう‥‥」
戸惑うカロンにフワリと微笑んで、スッと左手を上げるステラ。
と、邸内のいたる所からキラキラとシグナルレッドに輝く光がステラの左手に集まって来る。
キラキラ輝くシグナルレッドの光に包まれるステラ。
その姿はまさに女神!
夢の様な美しさにカロンは言葉も無く見惚れてしまう。
やがて光が治まると、口を開けたまま見惚れていたカロンに挨拶するステラ。
「お世話になりました。
カロン様にはたくさん学び、たくさん助けて頂きました。
ありがとうございました。
またどこかでお会いできると嬉しいです。
奥様やお子様も御一緒に。
それでは‥‥」
そう言って裏門から歩いて出て行くステラにハッと我に返ったカロンが叫ぶ。
「お待ち下さい!
そのまま、何も持たずに出て行かれるのですか!?
せめて金品‥‥装飾品だけでも‥‥」
「何も要りません。
それに、私が持っていた装飾品は子供の頃にディング様に頂いた数点のみ。
子供用ですし、そのまま置いて行きます。
捨てるなり何なり、ディング様が処理されるでしょう」
「‥‥なッ!
ディン‥‥公爵令息はあなたに何も贈り物をしていなかったのですか!?
あぁもう、本当に、別れて正解ですよ、ステラ様!」
「‥くふっ、はい。
贈り物は要りませんが、婚約解消はとても嬉しいです。
それではお元気で」
「あッ、待‥‥」
尚も追いすがろうとするカロンだが、邸の方から騒がしい声が上がり始めているのに気付き、ハァと深く溜息をつくと、邸に足を向ける。
あの馬鹿達――スタード公爵家にどう説明しようか?
気も足も重いカロンである。
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