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第一章

28 友達

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「呪いは期限付きらしい。
だから時が来れば解けるはずだ」

「え!
そうなの!?
『時が来れば』ってどういう事?
それっていつ?
今すぐに出来ないの?」

「言っただろう?
もう辛くないって。
俺は急がなくていい」

「‥‥もしかして、呪いが解けたら、この森を出て行ってしまうの?」



ステラがそう聞くと、白クマは柔らかく細めていた目を伏せ考える。


(呪いが解けたら、当然そうなる。
邸内にしては広い森だが、呪いが解けた俺が住みつく事は出来ないだろう)



「そうだな。
だから‥‥急がなくていい。
この森には君が居‥ゴホゴホッ、
お、俺はこの森を気に入っているからな!」



そう言って二ッと笑う白クマに、何だかステラには分からない大人な雰囲気を感じて、ステラは急に緊張してしまう。

白クマさんは‥‥



「白クマさんは人間?
それとも人間の言葉を話す白クマ?」

「さぁ?
どっちかな」

「教えてくれないの?」

「呪いが解けた時のお楽しみだな」

「‥‥大丈夫だよ」

「‥‥ん?」

「白クマさんが人間でも白クマでも、私の大切な友達だよ!
特別で大切な一番の友達って事は変わらないからね!」



その想いが大切な宝物だと言う様にはにかみながらもにっこりと笑うステラ。

赤く上気した頬がすごく可愛いと白クマは思う。



「‥‥友達か‥‥」



ポツリと呟く白クマにステラは大きく頷く。



「うん!
一番大切な存在だよ!」

「ディングは」



これまでステラは白クマに色々話している。

当然、ディングが婚約者である事も。



「女の子にとって、友達よりも婚約者の方が大切だろう?」

「? そんな事ないよ!
私は白クマさんが一番
――っていうか、白クマさんだけが大切だよ!」



女の子としてはあり得ない事を言い出すステラに白クマは顔が‥‥いや全身が熱くなるのを感じる。

白銀のモフモフボディがピンク色に染まっているが、ステラは気付かず続ける。



「それに婚約者って言っても、事実上は『お試し期間』で発表もされてないの。
6年後、私が王立高等学校卒業時に公爵夫人として相応しくなっていれば発表するんだって。
だから届は出てて受理されてるんだけど『(仮)』みたいなもんかなぁ‥‥」
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