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第一章
23 魔力暴走
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キュオォォ‥‥ォォ‥
ォォ‥‥オォォォ‥‥
《空を見て!
あの赤い龍が私の魔力なの!》
ステラの幽体が空を指す。
白クマは日が暮れかかりオレンジ色に染まり始めている空を見上げ‥‥
ダークレッドの巨大な龍が狂った様に飛び回るのを見て戦慄する。
その恐ろしい姿は魔力の強い者にしか見えないだろう。
つまり殆どの人には赤い煙や靄の様にしか見えないだろうから、夕暮れ空の一部と捉えられパニックにはならないだろうが‥‥
「‥‥とてつもない魔力だ‥‥」
《今は解き放たれたばかりで上空を飛び回っているけど‥‥
次には地上へ下りて来て暴れるッ‥‥
魔力暴走よ!
あぁ、7才の時もこれが起こって美しい森を荒れ地に変えてしまった!
でも一番狙われるのは、他でもない、私自身なの!
だからお願い、私から離れて!
少しでも私から遠くへ逃げて!
大切な友達を巻き添えにしたくないの!》
ふいに、上空を飛び回っていたダークレッドの龍が動きを止め、地上に倒れるステラを凝視する。
キュオォォォッ!
ステラ目掛けて飛んで来るダークレッドの龍!
《あぁ、来る!
白クマさん、逃げて!
早く‥‥えッ!?》
白クマの体からロイヤルパープルの光が立ち上っていく。
その美しい瞳と同じ色の美しい光は金のオーラを纏いながら龍の形になる。
美しく、尊い紫龍‥‥
だが、大きさはダークレッドの龍より遥かに小さい。
「俺は呪いを掛けられていて、本来の力を出せない‥‥」
《‥‥で、でも、
赤い龍が紫龍に気付いて気にしてる!
紫龍が赤い龍に攻撃されない様に気を付けて逃げれば――
白クマさんがここから離れる時間は稼げる!
白クマさん、今のうちに出来るだけ遠くへ‥‥》
「違う!」
《‥‥えッ?》
空高く昇った紫龍は逃げるどころか迷うことなく赤い龍に向けて泳ぎ出す。
ダークレッドの龍も輝くオーラを纏った紫龍に突進して来る!
あぁ、激突するッ!
そう思った瞬間、
《‥‥ッッ!?》
紫龍は大きく羽を広げた!
紫龍には、普通の龍とは違う、大きな、鳥の翼の様な美しい羽があり、それを大きく広げたのだ。
まるで、人が大きく両手を広げる様に。
優しく『おいで』と言っている様に。
紫龍が翼を広げたのと同時に、白クマは横たわるステラの体に覆いかぶさる。
赤龍が紫龍を突破して来た時に、赤龍からステラを守る為に。
その両方を交互に目にするステラの幽体は。
とめども無く銀色の美しい涙が溢れ続ける。
金色の瞳が涙でさらにキラキラと輝く。
紫龍の大きな翼――
攻撃ではなく、
防御でもなく、
無条件の受け入れ
ずっと、
ずっとずっとずっと
ずっとず~~~っと、
欲しかったもの‥‥!
ステラの幽体は、自分の流した銀色の涙にとけるかの様に消えて――
ォォ‥‥オォォォ‥‥
《空を見て!
あの赤い龍が私の魔力なの!》
ステラの幽体が空を指す。
白クマは日が暮れかかりオレンジ色に染まり始めている空を見上げ‥‥
ダークレッドの巨大な龍が狂った様に飛び回るのを見て戦慄する。
その恐ろしい姿は魔力の強い者にしか見えないだろう。
つまり殆どの人には赤い煙や靄の様にしか見えないだろうから、夕暮れ空の一部と捉えられパニックにはならないだろうが‥‥
「‥‥とてつもない魔力だ‥‥」
《今は解き放たれたばかりで上空を飛び回っているけど‥‥
次には地上へ下りて来て暴れるッ‥‥
魔力暴走よ!
あぁ、7才の時もこれが起こって美しい森を荒れ地に変えてしまった!
でも一番狙われるのは、他でもない、私自身なの!
だからお願い、私から離れて!
少しでも私から遠くへ逃げて!
大切な友達を巻き添えにしたくないの!》
ふいに、上空を飛び回っていたダークレッドの龍が動きを止め、地上に倒れるステラを凝視する。
キュオォォォッ!
ステラ目掛けて飛んで来るダークレッドの龍!
《あぁ、来る!
白クマさん、逃げて!
早く‥‥えッ!?》
白クマの体からロイヤルパープルの光が立ち上っていく。
その美しい瞳と同じ色の美しい光は金のオーラを纏いながら龍の形になる。
美しく、尊い紫龍‥‥
だが、大きさはダークレッドの龍より遥かに小さい。
「俺は呪いを掛けられていて、本来の力を出せない‥‥」
《‥‥で、でも、
赤い龍が紫龍に気付いて気にしてる!
紫龍が赤い龍に攻撃されない様に気を付けて逃げれば――
白クマさんがここから離れる時間は稼げる!
白クマさん、今のうちに出来るだけ遠くへ‥‥》
「違う!」
《‥‥えッ?》
空高く昇った紫龍は逃げるどころか迷うことなく赤い龍に向けて泳ぎ出す。
ダークレッドの龍も輝くオーラを纏った紫龍に突進して来る!
あぁ、激突するッ!
そう思った瞬間、
《‥‥ッッ!?》
紫龍は大きく羽を広げた!
紫龍には、普通の龍とは違う、大きな、鳥の翼の様な美しい羽があり、それを大きく広げたのだ。
まるで、人が大きく両手を広げる様に。
優しく『おいで』と言っている様に。
紫龍が翼を広げたのと同時に、白クマは横たわるステラの体に覆いかぶさる。
赤龍が紫龍を突破して来た時に、赤龍からステラを守る為に。
その両方を交互に目にするステラの幽体は。
とめども無く銀色の美しい涙が溢れ続ける。
金色の瞳が涙でさらにキラキラと輝く。
紫龍の大きな翼――
攻撃ではなく、
防御でもなく、
無条件の受け入れ
ずっと、
ずっとずっとずっと
ずっとず~~~っと、
欲しかったもの‥‥!
ステラの幽体は、自分の流した銀色の涙にとけるかの様に消えて――
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