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第一章
08 魔法契約
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魔法契約‥‥
薄っすら聞いた事はある。
ザックリ言えば、
『魔法契約を破れば、死ぬ』
ってヤツだ。
国家間の取引とかに使われるシャレにならないヤツで、例えいずれは公爵となる自分であっても、一生関わる事は無いだろうと認識していたが‥‥
「お話を伺っておりまして、ディング様とクレア様のご心配事に気付きました。
婚約解消後も私がディング様に近付くのではないかと危惧しておられるのだと。
魔法契約で接近禁止にしてしまえば、私はディング様に物理的に近づけませんから、お二人の心配は無くなるかと思います」
‥‥な!
まさかの、私の危惧と真逆の提案!?
静かに畳み掛ける様に言葉を続けるステラ‥‥
君は一体何を考えているのだ!?
何故私に『婚約解消したくない』と縋らないのだ!?
い、いや、別に縋って欲しいワケじゃない。
だが、何故かどうしても釈然としないのだ。
「それに、私はこちらへ来た6年前に2度ほどしかクレア様にお会いしておりませんし、2度とも一方的に暴力を振るわれた記憶しかありませんが、それでも『毎日虐められた』と感じるほど、私の存在が不快なのだろうとお察しします。
ですからクレア様、クレア様の母君であられるラン様とも‥‥
そう、今後スタード公爵家と関わらない様にスタード公爵家全員との接近禁止魔法契約を結びたいと思います。
いかがでしょうか?」
「いや、何もそこまで‥‥
ステラ、もしかして拗ねているのかい?」
私は思わずステラに優しい声で問いかけてしまうが――
「アラいいじゃない!
そうよ、清々するわ!
それで進めて‥‥ヒッ
す、進めて下さい‥」
クレアが何故か眼鏡の若造文官にビクつきながら私を無視して話を進めてしまう。
「クレア、いい加減にしなさい。
決定権は私に有る。
勝手に話を進めてもらっては困るのだよ?」
「ン、だってぇ‥‥
どうせ私がお願いすれば言う事聞いてくれるじゃなぁい?
だから手間を省いてるだけよぉ‥‥」
語尾イイ!
語尾カワイイ!
上目遣い堪らない!
「陣の上に手を乗せて頂きますので、今ここに居ない方は無理ですが‥‥」
クレアとのイチャイチャタイムが始まりそうだったのに、文官の声に邪魔されてしまった。
「今日は公爵ご夫妻共に御在邸でいらっしゃいます。
お呼びして参ります」
カロンがサッと執務室を出て行く。
‥‥何かが引っ掛かっている。
このまま魔法契約を結んではいけない様な‥‥
‥‥早ッ!
カロン、もう父上と義母を連れて戻って来た!
全く有能な男だ。
カロンのクビの件、クレアが忘れてくれるといいんだが‥‥
「魔法契約か。
リン、お前も容赦の無い男だな。
化物とは言え10年も婚約して来た娘を完膚なきまでに切り捨てるとは。
まぁいい、次期公爵たる者、非情さも必要だ。
私達に異論は無い。
サッサと済ませようか」
いや、私は別にそこまでしたいワケじゃありませんと言いたいのだが。
私の父上‥‥
王兄であるラヤキ・ド・スタード公爵がGOを出してしまえば、魔法契約は粛々と進められるしかないのである。
薄っすら聞いた事はある。
ザックリ言えば、
『魔法契約を破れば、死ぬ』
ってヤツだ。
国家間の取引とかに使われるシャレにならないヤツで、例えいずれは公爵となる自分であっても、一生関わる事は無いだろうと認識していたが‥‥
「お話を伺っておりまして、ディング様とクレア様のご心配事に気付きました。
婚約解消後も私がディング様に近付くのではないかと危惧しておられるのだと。
魔法契約で接近禁止にしてしまえば、私はディング様に物理的に近づけませんから、お二人の心配は無くなるかと思います」
‥‥な!
まさかの、私の危惧と真逆の提案!?
静かに畳み掛ける様に言葉を続けるステラ‥‥
君は一体何を考えているのだ!?
何故私に『婚約解消したくない』と縋らないのだ!?
い、いや、別に縋って欲しいワケじゃない。
だが、何故かどうしても釈然としないのだ。
「それに、私はこちらへ来た6年前に2度ほどしかクレア様にお会いしておりませんし、2度とも一方的に暴力を振るわれた記憶しかありませんが、それでも『毎日虐められた』と感じるほど、私の存在が不快なのだろうとお察しします。
ですからクレア様、クレア様の母君であられるラン様とも‥‥
そう、今後スタード公爵家と関わらない様にスタード公爵家全員との接近禁止魔法契約を結びたいと思います。
いかがでしょうか?」
「いや、何もそこまで‥‥
ステラ、もしかして拗ねているのかい?」
私は思わずステラに優しい声で問いかけてしまうが――
「アラいいじゃない!
そうよ、清々するわ!
それで進めて‥‥ヒッ
す、進めて下さい‥」
クレアが何故か眼鏡の若造文官にビクつきながら私を無視して話を進めてしまう。
「クレア、いい加減にしなさい。
決定権は私に有る。
勝手に話を進めてもらっては困るのだよ?」
「ン、だってぇ‥‥
どうせ私がお願いすれば言う事聞いてくれるじゃなぁい?
だから手間を省いてるだけよぉ‥‥」
語尾イイ!
語尾カワイイ!
上目遣い堪らない!
「陣の上に手を乗せて頂きますので、今ここに居ない方は無理ですが‥‥」
クレアとのイチャイチャタイムが始まりそうだったのに、文官の声に邪魔されてしまった。
「今日は公爵ご夫妻共に御在邸でいらっしゃいます。
お呼びして参ります」
カロンがサッと執務室を出て行く。
‥‥何かが引っ掛かっている。
このまま魔法契約を結んではいけない様な‥‥
‥‥早ッ!
カロン、もう父上と義母を連れて戻って来た!
全く有能な男だ。
カロンのクビの件、クレアが忘れてくれるといいんだが‥‥
「魔法契約か。
リン、お前も容赦の無い男だな。
化物とは言え10年も婚約して来た娘を完膚なきまでに切り捨てるとは。
まぁいい、次期公爵たる者、非情さも必要だ。
私達に異論は無い。
サッサと済ませようか」
いや、私は別にそこまでしたいワケじゃありませんと言いたいのだが。
私の父上‥‥
王兄であるラヤキ・ド・スタード公爵がGOを出してしまえば、魔法契約は粛々と進められるしかないのである。
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