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第一章

05 クレアの暴走

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責められると思っていた。

メチャメチャに泣かれると思っていた。

死んだりされたら後味が悪くて嫌だなぁと思っていた‥‥


だが、アッサリと!

あまりにアッサリし過ぎていて、何というのか、私的には凄くいいのだが‥‥


バタン!


突然、ノックも無しにドアが開いて、涙目で震えるクレアが現れた!



「クレア!?
どうした!?」

「ステラ、お願いだからゴネないで!
リンの事、自由にしてあげて!
リンの事、諦められないのは分かるけど、あなたは全然、これっぽっちも愛されていないの!」



クレアには、ステラが婚約解消を嫌がるだろうから、その時には証言して欲しいと頼んでいたのだが‥‥

なんと私も驚いた事に、ステラは全然婚約解消を嫌がっていない。

それどころか、サッサと事務手続きに入ろうとしている。

だからクレアの出番は無いはずだし、私は呼んでもいないのに、何故?


先ほど私は『呼ぶまで待っていて』と目で合図を送ったつもりだったのだが、クレアは別の意味で受け取ってしまったのだろうか?

どれだけ熱く体を重ねた仲でも、意思の疎通は難しいものなのだな‥‥



「クレア、ステラは婚約解消に応じてくれるそうだ。
君の証言は要らなくなったから、部屋で待っていてくれ」

「えッ‥‥
えぇッ!?
嫌よ!
凄く楽しみにしてたのに!
リン様、私、証言します!
ステラはずっと毎日、私の事を虐めていたんです!」

「‥‥えッ!?
私がクレア様を虐めた!?
いつ、私が?」

「はッ!?
毎日だって言ってんでしょ!
わ、忘れたとは言わせねーかんなッ!」



!?

クレアが可愛い口から粗暴な言葉を吐くなんて!?

しかも耳が痛くなるほどの大声だ。

まるで声の大きさで相手を委縮させて自分の意見を押し通そうとするかの様だ。

ちなみに『リン』というのは私の愛称なのだが、私をそう呼ぶのは父上や御祖父様、御祖母様だけで、クレアにはまだ愛称呼びを許していないのだが‥‥



「忘れたというより、記憶にありません。
いつの、どのような出来事を虐めだと捉えたのか教えて下さい。
そうでなければ、謝罪する事も出来ません」

「‥‥何よッ!
そん、そんなの一々覚えちゃいないわよッ!」

「一つもですか?」

「えぇ、えぇ、ショック過ぎて、何一つ覚えちゃいないわッ!
って言うか、アンタ、まともに会話も出来ないバカだったんじゃないの!?
言い返してくるなんて思ってなかったから、何にも考えて無かったじゃん!」



‥‥クレア?
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