Man under the moon

ハートリオ

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42.研究棟にて

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“ フェムト研究センター ”内には、地下通路が張り巡らされていて、叔父とごく一部の者だけが知っているという。 どういうカラクリか分からないが、地上を車で約5分かかった城から病院までも、叔父は1分もかからず移動して来たらしい。


その通路を使って研究棟へ移動する。


「えぇ~~~っ!? 病院からあっという間に・・・こんな便利な通路があったなんて・・・」


カンデラ君が驚きの声を上げる。 ・・カンデラ君はこの通路を知らなかったのか。 ・・では他に誰がこの通路を使っているのだろうか。 いや、使っていのだろうか・・かな?


「もしかして地下通路は研究センター内だけではなく、例えばビット村とも繋がっているのですか?」


そう訊いてみると、叔父が苦虫を噛み潰したような顔をしてフゥと溜息をつき、


「まったく・・・ 愛しの探偵は、どんどん推理を進めてしまう。 ・・あぁそうだ。 彼の為に整備した。 彼はその通路を使って村と研究センターを行き来していたのだ。 時間も大幅に短縮できるし、面倒な入シティ手続きも端折れる。」


「それに記録が残らない。 存在しないはずの人間が、シティが管理するカメラに写っていては変ですからね・・・叔父上、何故ユニの生存記録を消したのです?」


「・・何の事だ? 生存記録を消す? シティが管理するデータを改ざんするなど、出来るはずないだろう? ・・カンデラ君、ユニから何か聞いているか?」


・・やはり叔父ではなかったか・・データの書き換えをする必要が無いなら、叔父がユニを殺したのではない。 カンデラ君に移植されているユニの命星を守ろうとロボット警備員に向かって行った必死さも本物だった。 叔父はユニを殺していない。


では何故ユニは死んだのだ?!


「・・ケルビン様、僕に訊かないで下さい。 ユニさんが僕に話してくれたのは、研究の事だけです。 ・・・僕だって、知らなかったんですから・・・まさか、ユニさんの命星が僕に移植されるなんて・・・」


そう言って俯くカンデラ君。 叔父も俯き、


「・・・全てを知っているのはユニだけだ・・・」 と言う。


「ユニは何故死んだんですか? 誰かに殺されたわけではないでしょうね? 3年前、一体何があったんですか!? ここで、何か事故でもあったんですか!? 何で・・・ハァッ・・ハァッ・・」


苦しい。 頭の中で勝手に進む推理・・違う、そんなはず無い、あってはならない


「・・何でユニの命星が俺の体内に・・ハァッ・・俺に移植されているんだ!?」


「モ、モル・・! 落ち着け、ほら、とにかく座って・・・」


叔父に言われ俺は適当にその辺にある椅子に座る。
ここは・・・こじんまりとした部屋に5組ほどの机と椅子・・何種類かの機器。
何故か懐かしさを感じる・・・


「この部屋は、ユニさんの研究室でした。 ・・今はユニさんの研究を引き継いだ僕が使っています。 ・・・モルさんが今、何気なく選んだ椅子はユニさんのお気に入りでした・・・」


目尻に涙を滲ませたカンデラ君が少し震えながら教えてくれる。 ・・・え!?


「・・ユニの研究室!? どういうことだ? ユニは研究対象だったんじゃないのか? 研究する側だった!? ユニはここで何の研究をして・・・ハッ!・・ユニは・・ユニは命星移植の研究をしていたのか!?」
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