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23.公園にて
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ユニに会いてえ、ユニが居ねえと寂しい、早くユニを捜し出してくれ・・・
グダグダ言い出した村人達を振り切って、エーカーさんの荷馬車に乗り込み、公園を目指す。 ・・・公園? こんな自然いっぱいの場所に公園・・・
なるほど、公園というより花園・・・かなり広い花だけのスペースが広がっており、その先は柔らかな芝生のなだらかな丘になっていて、遊具や噴水やベンチは無いが、みな芝生の上に敷物を敷いて、思い思いに好きな場所で弁当を食べたり、ボール遊びに興じたりして楽しんでいる。
広大な人工の自然の中に遊具コーナー、動物ふれあいコーナー、散歩コースには随所にカフェが配され、美術館やコンサート・ホールが点在するシティの公園とは随分と趣が違うが、のんびりしていていい感じである。
ペットの犬や馬達もリードを外され自由に遊んでいるので、俺も犬のハーネスを外してやるが、駆け出していく事も無くピッタリ寄り添ったまま大人しくしている。
フットさんも安心したのか随分慣れたようで、楽しそうに犬の世話をしてくれる。
「おぉ、美味いか? へへ、よしよし、よく食ってくれるな、この犬。 あ、大丈夫だよ、犬に悪い食材は使ってねえから。 俺、昔ホテルの調理場で働いてた時叩き込まれたから、よく知ってるからな。 ホテルの客は犬連れが多いからよ。」
俺達も丘の上の大木の下にフットさんが用意してくれた敷物を広げ、フットさんやピコさんが作ってくれた弁当を楽しんでいる。
「美味しいですよ、フットさんもピコさんも料理が上手ですね。 俺は自分で作った事が無いので、すごいと思います。」 と言うと、
「「 えぇっ!? 料理をした事が無い!? 」」
と、またも息ピッタリに声を揃えて驚かれてしまった。
え・・・珍しいのかな・・いや、ユニだって・・・
「ユニも料理しないでしょう? 俺が覚えてるユニは、食事に無頓着で、何か気になっている事があると平気で丸一日何も食べなかったり、でしたけど。」と言うと、
「え!? いいえ! お父さんはいつもすごくご飯にこだわってました! 私、料理もお父さんに教わったんです! バランス良くするコツとか、薄味でも美味しく作るコツとか、とにかくヘルシー志向で、食べる時間も規則正しく、よく噛んで、腹8分目で ―― って。 ね、叔父さん!」
「あぁ、俺もユニにメチャメチャ教わった! ―― ていうか、改善させられた。 へへ、俺、濃い味付けが好きだったからなぁ。 ピコに変なモン食わすなって、食材選びから・・・あっ」
3人同時に気付いた。 全部、ピコさんの為だ。 元々食に興味無かったのに、病弱なピコさんが元気になれる様に、健康を考え抜いた食事を徹底した。 そう言えば、ピコさん達の料理は俺が使ってる健康食サービスとよく似ている。 ”食べる時間も規則正しく、よく噛んで、腹8分目で ”って所まで同じだ。 ユニも相当勉強したんだろう。 自分自身は、食べる事に無頓着なくせに、愛、強し、だな。
「・・えへへ。 お父さんは過保護で・・・」
そう言いながら俯くピコさん、嬉しそうだね・・・
グダグダ言い出した村人達を振り切って、エーカーさんの荷馬車に乗り込み、公園を目指す。 ・・・公園? こんな自然いっぱいの場所に公園・・・
なるほど、公園というより花園・・・かなり広い花だけのスペースが広がっており、その先は柔らかな芝生のなだらかな丘になっていて、遊具や噴水やベンチは無いが、みな芝生の上に敷物を敷いて、思い思いに好きな場所で弁当を食べたり、ボール遊びに興じたりして楽しんでいる。
広大な人工の自然の中に遊具コーナー、動物ふれあいコーナー、散歩コースには随所にカフェが配され、美術館やコンサート・ホールが点在するシティの公園とは随分と趣が違うが、のんびりしていていい感じである。
ペットの犬や馬達もリードを外され自由に遊んでいるので、俺も犬のハーネスを外してやるが、駆け出していく事も無くピッタリ寄り添ったまま大人しくしている。
フットさんも安心したのか随分慣れたようで、楽しそうに犬の世話をしてくれる。
「おぉ、美味いか? へへ、よしよし、よく食ってくれるな、この犬。 あ、大丈夫だよ、犬に悪い食材は使ってねえから。 俺、昔ホテルの調理場で働いてた時叩き込まれたから、よく知ってるからな。 ホテルの客は犬連れが多いからよ。」
俺達も丘の上の大木の下にフットさんが用意してくれた敷物を広げ、フットさんやピコさんが作ってくれた弁当を楽しんでいる。
「美味しいですよ、フットさんもピコさんも料理が上手ですね。 俺は自分で作った事が無いので、すごいと思います。」 と言うと、
「「 えぇっ!? 料理をした事が無い!? 」」
と、またも息ピッタリに声を揃えて驚かれてしまった。
え・・・珍しいのかな・・いや、ユニだって・・・
「ユニも料理しないでしょう? 俺が覚えてるユニは、食事に無頓着で、何か気になっている事があると平気で丸一日何も食べなかったり、でしたけど。」と言うと、
「え!? いいえ! お父さんはいつもすごくご飯にこだわってました! 私、料理もお父さんに教わったんです! バランス良くするコツとか、薄味でも美味しく作るコツとか、とにかくヘルシー志向で、食べる時間も規則正しく、よく噛んで、腹8分目で ―― って。 ね、叔父さん!」
「あぁ、俺もユニにメチャメチャ教わった! ―― ていうか、改善させられた。 へへ、俺、濃い味付けが好きだったからなぁ。 ピコに変なモン食わすなって、食材選びから・・・あっ」
3人同時に気付いた。 全部、ピコさんの為だ。 元々食に興味無かったのに、病弱なピコさんが元気になれる様に、健康を考え抜いた食事を徹底した。 そう言えば、ピコさん達の料理は俺が使ってる健康食サービスとよく似ている。 ”食べる時間も規則正しく、よく噛んで、腹8分目で ”って所まで同じだ。 ユニも相当勉強したんだろう。 自分自身は、食べる事に無頓着なくせに、愛、強し、だな。
「・・えへへ。 お父さんは過保護で・・・」
そう言いながら俯くピコさん、嬉しそうだね・・・
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