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102 僕に任せて
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半月ほど前。
文化祭ライブからようやく駅前のマンションに帰れたのは夜7時過ぎだった。
三人共さぞやお疲れだろうと思いきや、逆に元気なくらいだ。
『晩御飯はどうしようか』とユウトが冷蔵庫を開けたところで、フィカスに連絡が入った。
『組織』からだ。
「今日の事の報告が聞きたいと呼び出しがあったから行って来る」
と言うフィカスにユウトとナイトは真逆の反応をする。
「フィカス!
奴等にユウトの存在を気取られるな!
もし奴等に――人より力の有る上位の存在である奴等にユウトが見つかってしまったら――攫われてしまう!
それだけは回避しなければッ!」
「フィカスさん、僕も一緒に行くよ!
彼等には聞きたい事も言いたい事もある!
間違いを正さなければならないんだ!」
フィカスはナイトと同意見だ。
「ユウト、君を連れては行けない。
奴等は君を知れば君を欲しがるだろう。
その美しい容姿と、あの素晴らしい声を――
奴等――『組織』のトップの7人は俺達が太刀打ち出来る相手じゃない!
人間より上位の存在である彼等‥」
「そう思う根拠は?」
「「‥え?」」
「『組織』がやってる事は許される事じゃない――僕はそう思う。
二人がそう思わず素直に従うのは『洗脳』されているからだよ」
「「『洗脳』!?」」
思いもよらなかった指摘にナイトとフィカスは目を見開く。
そんなバカな…
覚えが無い…
「知らない内に――
すもも先輩がグリーンに光る目で一瞬で傀儡にされてしまった様にね」
(*御花畑すももはユウトの声で見事回復出来た)
「‥その話――『組織』にも『力』を発現している者がいるのか?」
ナイトはすももの証言を聞いて持った違和感を口にする。
『グリーンに光る目』
それは『力』では?
「いるはずない。
『力』を持つ=罪人の子孫‥」
「そう思う根拠は?」
「「‥!」」
それは常識で――
「いつ、誰から聞いたのかすら分からない…
が、疑うべくもない事実だから――」
「捏造された事実だ。
そう断言する。
『力』を持つ者の祖先は罪人ではない!」
「「‥!!」」
力強く断言したユウト。
ナイトとフィカスの足元が揺らぐ。
自分達は
犯罪者の子孫で半分犯罪者だから『組織』に従わなければならない
『組織』に許され生かされているのだから従順でなければならない
『組織』に感謝し決して逆わず己の役割を果たさなければならない
自分よりも、自分の祖先よりも『組織』を優先する
この考えは何だ?
いつ、誰が植え付けた!?
「テクノロジーだね。
『組織』は地球では考えられない高度なテクノロジーを使って『力』を持つ種族の子孫を洗脳し支配している――洗脳できなければ殺す…家族を殺されたでしょう?」
「「‥!!」」
「家族を殺した『組織』の言いなりになっている自分に疑問を持たない?」
「‥ッ‥私の両親は‥
私の目の前で殺された――優しい、正しい人達だったのに――何故私は彼等を『犯罪者なのだから殺されても仕方なかった』などと思っているのだ!?
私は――!?」
「フィカスさん、僕も一緒に行く。
彼等には聞きたい事も言いたい事もある。
間違いを正さなければならないんだ」
動揺するフィカスにユウトは自分も同行する事をもう一度主張する。
そしてナイトに視線を移し、優しく命令する。
「ナイトも一緒に。
いいね?」
ふわり‥‥
ユウトの瞳が美しい金色に変化する。
「「‥ッ‥」」
その尊さにナイトとフィカスは絶句する。
ユウトは二人を見つめ、微笑む。
【僕に任せて】
文化祭ライブからようやく駅前のマンションに帰れたのは夜7時過ぎだった。
三人共さぞやお疲れだろうと思いきや、逆に元気なくらいだ。
『晩御飯はどうしようか』とユウトが冷蔵庫を開けたところで、フィカスに連絡が入った。
『組織』からだ。
「今日の事の報告が聞きたいと呼び出しがあったから行って来る」
と言うフィカスにユウトとナイトは真逆の反応をする。
「フィカス!
奴等にユウトの存在を気取られるな!
もし奴等に――人より力の有る上位の存在である奴等にユウトが見つかってしまったら――攫われてしまう!
それだけは回避しなければッ!」
「フィカスさん、僕も一緒に行くよ!
彼等には聞きたい事も言いたい事もある!
間違いを正さなければならないんだ!」
フィカスはナイトと同意見だ。
「ユウト、君を連れては行けない。
奴等は君を知れば君を欲しがるだろう。
その美しい容姿と、あの素晴らしい声を――
奴等――『組織』のトップの7人は俺達が太刀打ち出来る相手じゃない!
人間より上位の存在である彼等‥」
「そう思う根拠は?」
「「‥え?」」
「『組織』がやってる事は許される事じゃない――僕はそう思う。
二人がそう思わず素直に従うのは『洗脳』されているからだよ」
「「『洗脳』!?」」
思いもよらなかった指摘にナイトとフィカスは目を見開く。
そんなバカな…
覚えが無い…
「知らない内に――
すもも先輩がグリーンに光る目で一瞬で傀儡にされてしまった様にね」
(*御花畑すももはユウトの声で見事回復出来た)
「‥その話――『組織』にも『力』を発現している者がいるのか?」
ナイトはすももの証言を聞いて持った違和感を口にする。
『グリーンに光る目』
それは『力』では?
「いるはずない。
『力』を持つ=罪人の子孫‥」
「そう思う根拠は?」
「「‥!」」
それは常識で――
「いつ、誰から聞いたのかすら分からない…
が、疑うべくもない事実だから――」
「捏造された事実だ。
そう断言する。
『力』を持つ者の祖先は罪人ではない!」
「「‥!!」」
力強く断言したユウト。
ナイトとフィカスの足元が揺らぐ。
自分達は
犯罪者の子孫で半分犯罪者だから『組織』に従わなければならない
『組織』に許され生かされているのだから従順でなければならない
『組織』に感謝し決して逆わず己の役割を果たさなければならない
自分よりも、自分の祖先よりも『組織』を優先する
この考えは何だ?
いつ、誰が植え付けた!?
「テクノロジーだね。
『組織』は地球では考えられない高度なテクノロジーを使って『力』を持つ種族の子孫を洗脳し支配している――洗脳できなければ殺す…家族を殺されたでしょう?」
「「‥!!」」
「家族を殺した『組織』の言いなりになっている自分に疑問を持たない?」
「‥ッ‥私の両親は‥
私の目の前で殺された――優しい、正しい人達だったのに――何故私は彼等を『犯罪者なのだから殺されても仕方なかった』などと思っているのだ!?
私は――!?」
「フィカスさん、僕も一緒に行く。
彼等には聞きたい事も言いたい事もある。
間違いを正さなければならないんだ」
動揺するフィカスにユウトは自分も同行する事をもう一度主張する。
そしてナイトに視線を移し、優しく命令する。
「ナイトも一緒に。
いいね?」
ふわり‥‥
ユウトの瞳が美しい金色に変化する。
「「‥ッ‥」」
その尊さにナイトとフィカスは絶句する。
ユウトは二人を見つめ、微笑む。
【僕に任せて】
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