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95 文化祭ライブ7
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(‥ウッ‥!?)
――危険――
野生の勘がそう言っている‥‥
音響係の男とフィカスさんが体育館を出て行った
直ぐ後を音響係がもう一人?
あの音響係――変だ…
ッッ‥
僕の意識は体育館を離れて――
危ない!
理事長?
フィカスさん!!
≪ブワチィィィッッ≫
何とか間に合った!
‥ハッ!?
ウオォォォォォォォッ
フィカスのもとへ意識が飛んでいたユウト。
意識が体育館に戻って――信じられない事態に固まる!
ほんの少し――意識が飛ぶ前まで、体育館内は平穏そのものだった。
みなバラードをしっとりと静かに聴いていた。
なのに、生徒たちは前半最後の曲の時の様に、真っ赤な顔で興奮し、舞台上に上がろうと舞台に詰め掛けて来ている!
ソレを扇動する声が体育館内に響いている!
ユウト…ゆーとりんの声として!
『みんな~~~ッ!
早く来てぇ!
ゆーとりん、待ちきれないよぉ?
一番早く舞台に上がって来た人には、僕をあげる!
ぜ~~~んぶあげちゃう!
だから早く早くぅ!
ここへ来て、僕をメチャメチャにしてぇ~~!』
ウオォォォォォォォッ
俺だッ!俺が貰うッ!
いいや俺のものだッ!
違う俺のだっ退けッ!
狂った様に舞台へ上がろうと争う生徒達!
血走った目はもう正気ではない!
『早く早くぅ!
僕は準備出来てるよ!
早く僕を抱いてぇ!』
――この声は一体!?
いち早く御花畑すももの声だと気付いた桧木。
音響係の所へ駆けつけた桧木は喋り続けるすももが短髪黒髪なのに一瞬驚いた。
が、すぐに怒りに任せてすももからマイクを奪うと、『これはフェイクだ!ゆーとりんを陥れる罠だ!みんな戻れ!ゆーとりんを傷つけるなッ!』と叫ぶが――
「もうマイクは入ってない…誰も君の声を聞いてないよ」
「聞こえたとして誰も止まらないだろう…ああなってはもう人間じゃない、ケダモノそのものだからね」
普通に日本人の40代会社員に見える二人の男が桧木の背後に現れ、振り向いた桧木に向かってシュッと何かを噴射した――
「ゆーとり‥」
≪ガツッ≫「ギャッ」
「俺、俺と‥」
≪ガツッ≫「ギャン」
「‥クッ、
キリがない!」
突如音楽が止み、ゆーとりんを装った声が流れ生徒達を煽り始めた時、ナイトはすぐに舞台に上がり、ユウトの前に立ちはだかった。
普段なら『魔王』を恐れて静かになる生徒達だが、前半最後の曲の時に見てしまったユウトの足が頭から離れないでいた。
くすぶっていた欲望に火が点いてしまった彼等は、集団である事もあって気が大きくなり狂った様に舞台を――ゆーとりんを目指す!
舞台は高く簡単には上がって来れないが、詰めかけた前の奴らを踏み台にして上がって来る奴らもいる。
そんな生徒達を舞台下に殴り飛ばしながら、ナイトは決意する。
このままでは、奴らがユウトに襲い掛かるのは時間の問題だ。
俺が『力』を使ったとしても数人を吹き飛ばすぐらいしか出来ない。
その場面を目撃したとしても、興奮した生徒達は止まらないところまで来ている。
狂った男達の集団はユウトに何をするか分からない。
我も我もと死ぬまで凌辱の限りを尽くすかもしれない――
俺は――
誰もユウトに触れさせない!
ほんの少しの傷も付けさせない!
カッッッ!!
光――
体育館全体が一瞬、赤い光に包まれた!
(ッハッ!?
今の――あぁッ!?)
ナイト―――
ナイトが赤い光に包まれている――いや、放っている?
ユウトは目の前の、さっきほどではないがそれでも赤い光を放ち続けているナイトの姿に愕然とする。
舞台に上がって来る生徒達を舞台下に殴り飛ばしていたナイトが、ユウトの前に立ち、『覚醒』しない様に抑えて来た『力』を解き放ったのだ――
「‥ナイト様ッ!」
フィカスが舞台上に上がって来る!
「‥フィカス‥
すまない‥」
苦しそうに赤い光を放ちながらナイトは目だけフィカスに向け、そう言う。
始まってしまった『覚醒』に、体中に粉砕される様な痛みを感じながら。
「――いいえ。
コレしか無かったのだと理解します。
私でも同じ様に判断します」
フィカスは柔らかく微笑みながらそう言うと――
カッッッ!!
体育館全体が一瞬、青銀の光に包まれて――
フィカスもまた、ナイト同様『覚醒』を抑えて来た『力』を解き放った。
ユウトを助ける為には、これしかない――
「バ…バカッ!
二人とも…
バカ…何でッ…」
ユウトは命を捧げられたのだ。
恋い慕う二人に。
『覚醒』は始まってしまえば止める事が出来ない。
脆弱な体は『覚醒』に耐えられず死しかないのだ。
ガクガクと震え、涙が止まらないユウト。
ナイトとフィカスはそんなユウトを振り返り、最期の言葉を伝える。
「「‥愛してる‥」」
――危険――
野生の勘がそう言っている‥‥
音響係の男とフィカスさんが体育館を出て行った
直ぐ後を音響係がもう一人?
あの音響係――変だ…
ッッ‥
僕の意識は体育館を離れて――
危ない!
理事長?
フィカスさん!!
≪ブワチィィィッッ≫
何とか間に合った!
‥ハッ!?
ウオォォォォォォォッ
フィカスのもとへ意識が飛んでいたユウト。
意識が体育館に戻って――信じられない事態に固まる!
ほんの少し――意識が飛ぶ前まで、体育館内は平穏そのものだった。
みなバラードをしっとりと静かに聴いていた。
なのに、生徒たちは前半最後の曲の時の様に、真っ赤な顔で興奮し、舞台上に上がろうと舞台に詰め掛けて来ている!
ソレを扇動する声が体育館内に響いている!
ユウト…ゆーとりんの声として!
『みんな~~~ッ!
早く来てぇ!
ゆーとりん、待ちきれないよぉ?
一番早く舞台に上がって来た人には、僕をあげる!
ぜ~~~んぶあげちゃう!
だから早く早くぅ!
ここへ来て、僕をメチャメチャにしてぇ~~!』
ウオォォォォォォォッ
俺だッ!俺が貰うッ!
いいや俺のものだッ!
違う俺のだっ退けッ!
狂った様に舞台へ上がろうと争う生徒達!
血走った目はもう正気ではない!
『早く早くぅ!
僕は準備出来てるよ!
早く僕を抱いてぇ!』
――この声は一体!?
いち早く御花畑すももの声だと気付いた桧木。
音響係の所へ駆けつけた桧木は喋り続けるすももが短髪黒髪なのに一瞬驚いた。
が、すぐに怒りに任せてすももからマイクを奪うと、『これはフェイクだ!ゆーとりんを陥れる罠だ!みんな戻れ!ゆーとりんを傷つけるなッ!』と叫ぶが――
「もうマイクは入ってない…誰も君の声を聞いてないよ」
「聞こえたとして誰も止まらないだろう…ああなってはもう人間じゃない、ケダモノそのものだからね」
普通に日本人の40代会社員に見える二人の男が桧木の背後に現れ、振り向いた桧木に向かってシュッと何かを噴射した――
「ゆーとり‥」
≪ガツッ≫「ギャッ」
「俺、俺と‥」
≪ガツッ≫「ギャン」
「‥クッ、
キリがない!」
突如音楽が止み、ゆーとりんを装った声が流れ生徒達を煽り始めた時、ナイトはすぐに舞台に上がり、ユウトの前に立ちはだかった。
普段なら『魔王』を恐れて静かになる生徒達だが、前半最後の曲の時に見てしまったユウトの足が頭から離れないでいた。
くすぶっていた欲望に火が点いてしまった彼等は、集団である事もあって気が大きくなり狂った様に舞台を――ゆーとりんを目指す!
舞台は高く簡単には上がって来れないが、詰めかけた前の奴らを踏み台にして上がって来る奴らもいる。
そんな生徒達を舞台下に殴り飛ばしながら、ナイトは決意する。
このままでは、奴らがユウトに襲い掛かるのは時間の問題だ。
俺が『力』を使ったとしても数人を吹き飛ばすぐらいしか出来ない。
その場面を目撃したとしても、興奮した生徒達は止まらないところまで来ている。
狂った男達の集団はユウトに何をするか分からない。
我も我もと死ぬまで凌辱の限りを尽くすかもしれない――
俺は――
誰もユウトに触れさせない!
ほんの少しの傷も付けさせない!
カッッッ!!
光――
体育館全体が一瞬、赤い光に包まれた!
(ッハッ!?
今の――あぁッ!?)
ナイト―――
ナイトが赤い光に包まれている――いや、放っている?
ユウトは目の前の、さっきほどではないがそれでも赤い光を放ち続けているナイトの姿に愕然とする。
舞台に上がって来る生徒達を舞台下に殴り飛ばしていたナイトが、ユウトの前に立ち、『覚醒』しない様に抑えて来た『力』を解き放ったのだ――
「‥ナイト様ッ!」
フィカスが舞台上に上がって来る!
「‥フィカス‥
すまない‥」
苦しそうに赤い光を放ちながらナイトは目だけフィカスに向け、そう言う。
始まってしまった『覚醒』に、体中に粉砕される様な痛みを感じながら。
「――いいえ。
コレしか無かったのだと理解します。
私でも同じ様に判断します」
フィカスは柔らかく微笑みながらそう言うと――
カッッッ!!
体育館全体が一瞬、青銀の光に包まれて――
フィカスもまた、ナイト同様『覚醒』を抑えて来た『力』を解き放った。
ユウトを助ける為には、これしかない――
「バ…バカッ!
二人とも…
バカ…何でッ…」
ユウトは命を捧げられたのだ。
恋い慕う二人に。
『覚醒』は始まってしまえば止める事が出来ない。
脆弱な体は『覚醒』に耐えられず死しかないのだ。
ガクガクと震え、涙が止まらないユウト。
ナイトとフィカスはそんなユウトを振り返り、最期の言葉を伝える。
「「‥愛してる‥」」
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