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93 文化祭ライブ5
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ライブ後半はバラードが続く。
元気いっぱいであざと可愛い楽曲が流された前半とは違い、しっとりと。
口パクユウトも手の振りぐらいでまたも脳がドヒマになる。
当然、考えてしまうのは二人の事、自分の気持ち‥‥
自慰行為のオカズにされた事に対する激しい嫌悪感。
少し前なら乾いた笑いでスルーしたはず。
それが出来なかったのはユウト自身が変わったからだ。
僕は、
恋をしている―――
前半の時と同じ位置で二人が警備してくれている。
ナイトと目が合う。
ユウトはほんのり頬を染めてナイトを見つめる。
ナイトは真っ赤になり、それでも視線を逸らさず見つめ返してくれる。
――嬉しい――
見つめ合うだけで、こんなにも嬉しい。
フィカスと目が合う。
強い光を帯びた美しい碧い瞳に射貫かれる。
ユウトは怯みながらも微笑みで強い視線を受け止める。
フィカスは僅かに目を見開いた後、口角を上げる。
――そんな風に微笑うんだね――
もっと色んな表情を見たいと願う。
ふわふわして
切なくて
胸が弾んだと思えば
キュッとなる――
心地好い目眩の様な
(こんなの初めてだ)
今までだって恋はして来た。
片想いばかりだけど。
きっと今回も片想い。
まず、同性というハードルが立ちはだかってる。
ああ、
そっか
そうだった
きっと僕は砕け散る
切ないね―――
ワァァァァァ…‥
鳴りやまない拍手。
涙ぐむ生徒たち。
ステージ上のユウトの切なさが伝播したかの様なしっとりした雰囲気に包まれて。
ライブは順調に進んでいく。
前半ラストの狂乱など嘘のように。
―――と?
フィカスは舞台から生徒達に向かって左側端に立っている。
そのフィカスに、中腰でこっそり近付いて来る男が居る。
しきりにフィカスに合図する男は―――
『組織』の人間、
『管理者』の一人だ。
(『管理者』がこのライブに紛れ込んでいたのか!)
音響スタッフの作業着を着ているから、誰も怪しまない。
フィカスに『話を聞いて欲しい』としきりにジェスチャーで伝えて来る。
(――罠か?
だが、対応しない訳にはいかない)
フィカスが反対側の端に居るナイトに目配せすると、ナイトも僅かに頷く。
そっと体育館の外へ出て行く二人。
体育館から見えない様に少し離れた大木の影に隠れると、男は口を開いた。
「困った事になった!
ドロセラ様がバンダ王――南都樫の処刑を決定した!
処刑するならただ処刑すればいいのに、フィカス、君も巻き添えになる形での処刑を望んで――バンダ王を覚醒させる事にしたんだ!
フィカス、君、アレだろう?
ドロセラ様の恨みを買っただろう?」
「ドロ――アイツか。
子供の頃何度か関係を迫られ断った。
権力と腕力を振りかざして来たから一週間ほど動けない様にしてやった。
それぐらいしか思い当たらないが…」
「えぇっ!?
ドロセラ様がそんな事を!?
同性‥小児性愛者!?
エッ‥‥初耳‥‥
いや、だからすぐに南都樫と美少年の関係に気付いたのか」
「美少年…
ユウトの事か!?」
「ああ、八桐ユウト。
ドロセラ様は南都樫を覚醒させる為に八桐ユウトを利用するつもりなんだ!」
「利用だと!?」
「ああ、八‥ギャッ」
突如男の体が緑色の光に包まれ――
死んだ。
「――ッ!」
「‥やぁ、久しぶり、フィカス」
ドロセラである。
怒っている様な笑っている様な不気味な表情をしていて、手には小さなリモコンの様なものを持っている。
「仲間を――
何という事を!
その銃は地球では使用禁止のはずだ」
「挨拶も出来ないか…
『半罪人』では仕方ないか――フン、そいつは私を裏切りお前に助けを求めようとしていた――当然の罰だ!
もちろん、上には南都樫の仕業と報告する――いや、狂って職務を忘れたお前の仕業とするのも良い‥‥『半罪人』を保護するべきと意見する者達に『半罪人』の危険性を納得させられよう」
「ユウトに手を出すな!」
「おやおや?
自分の役割を忘れたか?
自分が『組織』側の存在だという事を?
忘れたんなら、思い出させてやろうか?」
ドロセラは楽しそうに銃をフィカスに向け――
元気いっぱいであざと可愛い楽曲が流された前半とは違い、しっとりと。
口パクユウトも手の振りぐらいでまたも脳がドヒマになる。
当然、考えてしまうのは二人の事、自分の気持ち‥‥
自慰行為のオカズにされた事に対する激しい嫌悪感。
少し前なら乾いた笑いでスルーしたはず。
それが出来なかったのはユウト自身が変わったからだ。
僕は、
恋をしている―――
前半の時と同じ位置で二人が警備してくれている。
ナイトと目が合う。
ユウトはほんのり頬を染めてナイトを見つめる。
ナイトは真っ赤になり、それでも視線を逸らさず見つめ返してくれる。
――嬉しい――
見つめ合うだけで、こんなにも嬉しい。
フィカスと目が合う。
強い光を帯びた美しい碧い瞳に射貫かれる。
ユウトは怯みながらも微笑みで強い視線を受け止める。
フィカスは僅かに目を見開いた後、口角を上げる。
――そんな風に微笑うんだね――
もっと色んな表情を見たいと願う。
ふわふわして
切なくて
胸が弾んだと思えば
キュッとなる――
心地好い目眩の様な
(こんなの初めてだ)
今までだって恋はして来た。
片想いばかりだけど。
きっと今回も片想い。
まず、同性というハードルが立ちはだかってる。
ああ、
そっか
そうだった
きっと僕は砕け散る
切ないね―――
ワァァァァァ…‥
鳴りやまない拍手。
涙ぐむ生徒たち。
ステージ上のユウトの切なさが伝播したかの様なしっとりした雰囲気に包まれて。
ライブは順調に進んでいく。
前半ラストの狂乱など嘘のように。
―――と?
フィカスは舞台から生徒達に向かって左側端に立っている。
そのフィカスに、中腰でこっそり近付いて来る男が居る。
しきりにフィカスに合図する男は―――
『組織』の人間、
『管理者』の一人だ。
(『管理者』がこのライブに紛れ込んでいたのか!)
音響スタッフの作業着を着ているから、誰も怪しまない。
フィカスに『話を聞いて欲しい』としきりにジェスチャーで伝えて来る。
(――罠か?
だが、対応しない訳にはいかない)
フィカスが反対側の端に居るナイトに目配せすると、ナイトも僅かに頷く。
そっと体育館の外へ出て行く二人。
体育館から見えない様に少し離れた大木の影に隠れると、男は口を開いた。
「困った事になった!
ドロセラ様がバンダ王――南都樫の処刑を決定した!
処刑するならただ処刑すればいいのに、フィカス、君も巻き添えになる形での処刑を望んで――バンダ王を覚醒させる事にしたんだ!
フィカス、君、アレだろう?
ドロセラ様の恨みを買っただろう?」
「ドロ――アイツか。
子供の頃何度か関係を迫られ断った。
権力と腕力を振りかざして来たから一週間ほど動けない様にしてやった。
それぐらいしか思い当たらないが…」
「えぇっ!?
ドロセラ様がそんな事を!?
同性‥小児性愛者!?
エッ‥‥初耳‥‥
いや、だからすぐに南都樫と美少年の関係に気付いたのか」
「美少年…
ユウトの事か!?」
「ああ、八桐ユウト。
ドロセラ様は南都樫を覚醒させる為に八桐ユウトを利用するつもりなんだ!」
「利用だと!?」
「ああ、八‥ギャッ」
突如男の体が緑色の光に包まれ――
死んだ。
「――ッ!」
「‥やぁ、久しぶり、フィカス」
ドロセラである。
怒っている様な笑っている様な不気味な表情をしていて、手には小さなリモコンの様なものを持っている。
「仲間を――
何という事を!
その銃は地球では使用禁止のはずだ」
「挨拶も出来ないか…
『半罪人』では仕方ないか――フン、そいつは私を裏切りお前に助けを求めようとしていた――当然の罰だ!
もちろん、上には南都樫の仕業と報告する――いや、狂って職務を忘れたお前の仕業とするのも良い‥‥『半罪人』を保護するべきと意見する者達に『半罪人』の危険性を納得させられよう」
「ユウトに手を出すな!」
「おやおや?
自分の役割を忘れたか?
自分が『組織』側の存在だという事を?
忘れたんなら、思い出させてやろうか?」
ドロセラは楽しそうに銃をフィカスに向け――
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