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89 文化祭ライブ1
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ウオオオオオオオオッ
(ヒィッ‥)
「可愛い!可愛過ぎ」
「マジ天使~~~!」
「アニメ美少女かよ」
「足!白!細!長!」
「結婚してくれ!!」
生徒達の想像以上の熱量に足が竦むユウト。
ちなみにゆーとりんとしての本日の出で立ちは――
フィット&フレア・ラインの膝上丈のカクテルドレスといった感じ?
首元で水平にカットされたスラッシュド・ネックで、ゆったりしたレースのケープ・スリーブ(袖)に、やはりレースのオペラ・グラブ(手袋)。
スカート部分は薄い生地を何枚も重ねてフワフワキュートに仕上げている。
足元はかかとの低いショートのレース・アップ・ブーツ。
総仕上げにスカート丈と同じ長さのレースのショート・マントを羽織っている。
レースで軽いので、フワリと舞い上がりやすく、黒アゲハ蝶の様である。
そう、色はオール・ブラック!
黒一色である。
スパンコールをつけてキラキラさせたキラキラ・ブラック!
そして、ユウトの元々の髪色、アンバーローズ色のストレートロングヘアのカツラを装着している。
黒のレースのカチューシャには、両耳の後ろにリボン飾りが付けてある。
小悪魔か魔法少女か
――といった感じ。
肌露出度はそれ程多くないのに何故かやたらセクシーに感じるのは、色素の薄いユウトを際立たせる様な黒衣装のせいなのか――
とにかく生徒達は狂った様に興奮しまくりで、既に全員立ち上がってジャンプしたり両手を突き上げたり、多分、本人達もワケが分からなくなっている。
MC役の桧木も圧倒され、しばらくポカンとしてしまったが、気を引き締め直して声を張る。
「お、落ち着けッ!
ライブはこれからだ!
ライブ前に倒れるな!
落ち着…よし、
落ち着いて来たな…
あー、コホン!
みんな、声援有難う!
ゆーとりんは皆の応援のお陰で今日、ライブを開催する事が出来ます!
では、早速1曲目を!
この曲、タイトルは『デュエット』!
みんな、ゆーとりんとデュエットしてくれるかな?」
ウオオオオオオオオッ
♪・♪・♪・♪~~~
♪♪♪♪!
ノリが悪い人
《イヤン・イヤン!》
甘い誘惑に乗ってみて
《ハイッ!》
つれない素振りは
《ダメン・ダメン!》
夢の中で迄意地っ張り
《残念!》
‥‥‥‥‥‥
ハッキリ言って、この曲、ユウトはほぼやる事が無い。
歌は口パクするだけ
この曲は振り付けも簡単(マイクを自分に向けたり生徒達に向けたりするだけ)
ヒマである。
なので、ボカロの声と生徒たちの見事な掛け合いを聞きながら、ユウトはこの何とも奇妙な状況をよぉく観察している。
そして結論に達する。
(アイドルなんて、誰でもいいんだな…
みんな、騒げればいいんだ。
騒ぐための理由は本当は何だっていい…
学校側は生徒たちの余分なエネルギーのはけ口としてアイドルを提示して、生徒たちは便利だと乗っかってるだけ――ナルホドね。
桧木先輩は僕が辞めたらアイドルシステムが崩壊する的な事言ってたけど、全然!…気にせず辞めて大丈夫だね…)
下にジャージを着ているとは言えスカートを…しかも膝上丈のスカートを着せられて見世物宜しく舞台で動いている――こんなの、早く終わりにしたい!
『男子高校生として、女子高校生とお付き合いする――幼稚園の頃から抱いている大切な夢――』的な事を言って来たけど、ソレってハッキリ言って父さんの夢、なんだよね。
僕、幼稚園行ってないし!――少しは行ったのかな?…覚えてない。
何にしろ、酔っぱらうと出る、父さんの口癖。
父さんは中学を出た後、すぐに日本を出て高校に行ってないから。
フツーに高校行って、フツーに女子高生と付き合ったりしたかったなぁ、すればよかったなぁ、そうすれば、こんな事には――ってさ。
『こんな事』っていうのはママと僕の事なんだろうけど、ね…
何だかんだ言って僕は父さんに影響されて長年そんな夢を抱いて、
で、今こんな事に‥‥
何てバカなんだ‥‥
楽曲に合わせて口パクして徹底的に練習して体が覚えているダンスをこなすだけ――ヒマ状態に陥った脳は取り留めも無くアレやコレや思考してしまう。
思考に心を揺らしながらユウトの視線は舞台のすぐ下の両端を行き来する。
そこに二人がいるから。
体育館にはもともと全校集会の為に舞台が設えてある。
舞台は床から結構高く、舞台のすぐ下の両端に居る二人――警備の為に目を光らせて立っているナイトとフィカスの姿はあまり見えない。
二人とも生徒たちの方を向いているんだけど、時折ユウトの方をチラッと見る。
そしてユウトと目が合うと、ナイトの場合ちょっとビクッとしてすぐ生徒たちの方を見てしまう。
フィカスの方は微笑したりウィンクしたり――
はぅ、
ツンなナイトとデレなフィカスにユウトはドキドキである。
ライブは前半と後半の二部構成。
主役がライブに対して『無』の状態ながらもライブは順調に進んでいき、生徒たちは大盛り上がりの大満足な様子。
ユウトも二人にドキドキしながら前半の最後の曲に入ったところで――
何故か生徒たちが騒めき出した!?
明らかにさっきまでと目の色が違う生徒たち。
真っ赤な顔で目を血走らせて――
そこここで鼻血を噴き上げる生徒が続出している!?
な、何故!?
さっきまでと何が違うのか分からないが、生徒たちの様子が尋常ではない!
―――エッ!?
何かゴソゴソやり出してる生徒がアッチコッチに…
まさか、違うよね?
自慰行為に至ってないよね!?
――ハッ!?
曲に合わせて踊りながらも動揺するユウト目掛けて、ナイトとフィカスが突進して来る!?
怖い顔で!?
なッッ
何で~~~~~!?
(ヒィッ‥)
「可愛い!可愛過ぎ」
「マジ天使~~~!」
「アニメ美少女かよ」
「足!白!細!長!」
「結婚してくれ!!」
生徒達の想像以上の熱量に足が竦むユウト。
ちなみにゆーとりんとしての本日の出で立ちは――
フィット&フレア・ラインの膝上丈のカクテルドレスといった感じ?
首元で水平にカットされたスラッシュド・ネックで、ゆったりしたレースのケープ・スリーブ(袖)に、やはりレースのオペラ・グラブ(手袋)。
スカート部分は薄い生地を何枚も重ねてフワフワキュートに仕上げている。
足元はかかとの低いショートのレース・アップ・ブーツ。
総仕上げにスカート丈と同じ長さのレースのショート・マントを羽織っている。
レースで軽いので、フワリと舞い上がりやすく、黒アゲハ蝶の様である。
そう、色はオール・ブラック!
黒一色である。
スパンコールをつけてキラキラさせたキラキラ・ブラック!
そして、ユウトの元々の髪色、アンバーローズ色のストレートロングヘアのカツラを装着している。
黒のレースのカチューシャには、両耳の後ろにリボン飾りが付けてある。
小悪魔か魔法少女か
――といった感じ。
肌露出度はそれ程多くないのに何故かやたらセクシーに感じるのは、色素の薄いユウトを際立たせる様な黒衣装のせいなのか――
とにかく生徒達は狂った様に興奮しまくりで、既に全員立ち上がってジャンプしたり両手を突き上げたり、多分、本人達もワケが分からなくなっている。
MC役の桧木も圧倒され、しばらくポカンとしてしまったが、気を引き締め直して声を張る。
「お、落ち着けッ!
ライブはこれからだ!
ライブ前に倒れるな!
落ち着…よし、
落ち着いて来たな…
あー、コホン!
みんな、声援有難う!
ゆーとりんは皆の応援のお陰で今日、ライブを開催する事が出来ます!
では、早速1曲目を!
この曲、タイトルは『デュエット』!
みんな、ゆーとりんとデュエットしてくれるかな?」
ウオオオオオオオオッ
♪・♪・♪・♪~~~
♪♪♪♪!
ノリが悪い人
《イヤン・イヤン!》
甘い誘惑に乗ってみて
《ハイッ!》
つれない素振りは
《ダメン・ダメン!》
夢の中で迄意地っ張り
《残念!》
‥‥‥‥‥‥
ハッキリ言って、この曲、ユウトはほぼやる事が無い。
歌は口パクするだけ
この曲は振り付けも簡単(マイクを自分に向けたり生徒達に向けたりするだけ)
ヒマである。
なので、ボカロの声と生徒たちの見事な掛け合いを聞きながら、ユウトはこの何とも奇妙な状況をよぉく観察している。
そして結論に達する。
(アイドルなんて、誰でもいいんだな…
みんな、騒げればいいんだ。
騒ぐための理由は本当は何だっていい…
学校側は生徒たちの余分なエネルギーのはけ口としてアイドルを提示して、生徒たちは便利だと乗っかってるだけ――ナルホドね。
桧木先輩は僕が辞めたらアイドルシステムが崩壊する的な事言ってたけど、全然!…気にせず辞めて大丈夫だね…)
下にジャージを着ているとは言えスカートを…しかも膝上丈のスカートを着せられて見世物宜しく舞台で動いている――こんなの、早く終わりにしたい!
『男子高校生として、女子高校生とお付き合いする――幼稚園の頃から抱いている大切な夢――』的な事を言って来たけど、ソレってハッキリ言って父さんの夢、なんだよね。
僕、幼稚園行ってないし!――少しは行ったのかな?…覚えてない。
何にしろ、酔っぱらうと出る、父さんの口癖。
父さんは中学を出た後、すぐに日本を出て高校に行ってないから。
フツーに高校行って、フツーに女子高生と付き合ったりしたかったなぁ、すればよかったなぁ、そうすれば、こんな事には――ってさ。
『こんな事』っていうのはママと僕の事なんだろうけど、ね…
何だかんだ言って僕は父さんに影響されて長年そんな夢を抱いて、
で、今こんな事に‥‥
何てバカなんだ‥‥
楽曲に合わせて口パクして徹底的に練習して体が覚えているダンスをこなすだけ――ヒマ状態に陥った脳は取り留めも無くアレやコレや思考してしまう。
思考に心を揺らしながらユウトの視線は舞台のすぐ下の両端を行き来する。
そこに二人がいるから。
体育館にはもともと全校集会の為に舞台が設えてある。
舞台は床から結構高く、舞台のすぐ下の両端に居る二人――警備の為に目を光らせて立っているナイトとフィカスの姿はあまり見えない。
二人とも生徒たちの方を向いているんだけど、時折ユウトの方をチラッと見る。
そしてユウトと目が合うと、ナイトの場合ちょっとビクッとしてすぐ生徒たちの方を見てしまう。
フィカスの方は微笑したりウィンクしたり――
はぅ、
ツンなナイトとデレなフィカスにユウトはドキドキである。
ライブは前半と後半の二部構成。
主役がライブに対して『無』の状態ながらもライブは順調に進んでいき、生徒たちは大盛り上がりの大満足な様子。
ユウトも二人にドキドキしながら前半の最後の曲に入ったところで――
何故か生徒たちが騒めき出した!?
明らかにさっきまでと目の色が違う生徒たち。
真っ赤な顔で目を血走らせて――
そこここで鼻血を噴き上げる生徒が続出している!?
な、何故!?
さっきまでと何が違うのか分からないが、生徒たちの様子が尋常ではない!
―――エッ!?
何かゴソゴソやり出してる生徒がアッチコッチに…
まさか、違うよね?
自慰行為に至ってないよね!?
――ハッ!?
曲に合わせて踊りながらも動揺するユウト目掛けて、ナイトとフィカスが突進して来る!?
怖い顔で!?
なッッ
何で~~~~~!?
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