86 / 104
86 方針
しおりを挟む
山の中腹にあるこじんまりとした別荘風の建物。
ここの地下室で、普通に日本人の40代会社員に見える4人の男たちが会議中である。
4人の内3人は『管理者』。
日本に居る『監視対象者』――つまりナイトを見張るのが仕事だ。
もう一人は彼等の上司
――地球に居る『管理者』たちを統括している『お偉いさん』である。
彼等は今、『管理者』が隠し撮りした映像を見て分析している。
「――フィカスはいい年して高校生の制服なんか着て何をやっているのだ…」
「ですがすごく似合ってますよね…カッコイイです」
「イケメンでスラっとしてますからね、何を着てもそりゃカッコイイですよ」
「『留学生』として南都樫と共に高校へ通っている様です」
「南都樫が中学の時には無かった行動だな…何かあったか…何も報告は上がって来ていないが――
ところで彼等は食品を手に取り何をしているのだ?」
「「「!!」」」
「スーパーで買い物ですよ、
○☆スーパーで…統括――ドロセラ様はスーパーをご存じ無いのですか?
世界中、少し栄えた場所なら必ずと言っていい程ありますが‥‥」
「‥ムッ‥も、勿論知っているに決まっている!
狭い店舗で主に食品を扱っている店だろう。
同じ様なのがあちこちにある!」
(コソッ)「コンビニと間違えているのでは?」
(コソッ)「うん…多分な…だが、指摘するな…彼はプライド高いから」
「ところでこのスゴイ美少年は何なんだろう?
どの映像にも写り込んで来ている」
「友人の様です。
駅前のマンションで一緒に暮らしている様です」
「一緒に暮らして――
そ、それは、アレ、じゃないか?」
ドロセラはカッと頬を染める。
が、『管理者』たちは『アレって何ですか』という顔をしている。
「アレったらアレだよ!
男性同士の、ラブ…」
「まさか、それは無いでしょう。
南都樫はフィカスとずっと一緒に居るんですよ。
なのにラブになどなっていません。
あれだけの美形同士でずっと一緒に居て何も無いのです。
いくら天使の様な美少年でもラブになるはず‥」
「ま、待て。
言われてみれば、南都樫の美少年を見る眼差しがラブかもしれないッ!」
「無表情じゃないか」
「一見そうだ。
だが、ずっと美少年を見ているんだ。
ホラ」
「‥本当だ!
ずっと美少年を目で追い掛けている!
たまに美少年を巡ってフィカスと小競り合いまでしている…!」
「さすがドロセラ様!
素晴らしい観察眼です!」
「クヒッ、まぁ、落ち着け。
これぐらいの観察眼で騒ぎ立てるな。
別に大した事ではない。
統括ともなればこれぐらいは朝飯前だ。
そう、私クラスになればこのぐらいチャチャッとな、クヒヒ…」
(((長い‥)))
「それより、方針は決まったな」
「「「え?」」」
「南都樫を『覚醒』させるためにこの美少年を使う。
犯すか殺すか――
南都樫を怒らせれば何でもいい。
怒りのエネルギーは『覚醒』を引き起こす。
そうすればフィカスと共にあの世行きだ!
ざま見ろ!
クヒッ、クヒヒヒッ」
なんて事を、と『管理者』たちは思う。
美少年は保護対象である『正規地球人』。
しかも何の罪も犯していない。
無実の保護対象者を残酷な方法で利用するなど――!
だが、そもそも――
南都樫だって何も罪など犯していない。
ドロセラ様は『危険』だと言うだけで処刑の理由を明示していない。
ちゃんとした理由が無いから、上層部に隠れて卑怯な方法で――
『管理者』たちは青褪める。
だが、ドロセラ様は上司。
上下関係は絶対で、反対意見など言えるはずもなく――
その後の調べで、三人の通う高校で文化祭が予定されており、美少年はアイドルとしてライブをする事が分かった。
「丁度いい!
そのライブが南都樫『覚醒』の舞台だ!
クヒッ、クヒッヒヒ」
ドロセラの醜い笑い声に空気が重く沈んでいく――
ここの地下室で、普通に日本人の40代会社員に見える4人の男たちが会議中である。
4人の内3人は『管理者』。
日本に居る『監視対象者』――つまりナイトを見張るのが仕事だ。
もう一人は彼等の上司
――地球に居る『管理者』たちを統括している『お偉いさん』である。
彼等は今、『管理者』が隠し撮りした映像を見て分析している。
「――フィカスはいい年して高校生の制服なんか着て何をやっているのだ…」
「ですがすごく似合ってますよね…カッコイイです」
「イケメンでスラっとしてますからね、何を着てもそりゃカッコイイですよ」
「『留学生』として南都樫と共に高校へ通っている様です」
「南都樫が中学の時には無かった行動だな…何かあったか…何も報告は上がって来ていないが――
ところで彼等は食品を手に取り何をしているのだ?」
「「「!!」」」
「スーパーで買い物ですよ、
○☆スーパーで…統括――ドロセラ様はスーパーをご存じ無いのですか?
世界中、少し栄えた場所なら必ずと言っていい程ありますが‥‥」
「‥ムッ‥も、勿論知っているに決まっている!
狭い店舗で主に食品を扱っている店だろう。
同じ様なのがあちこちにある!」
(コソッ)「コンビニと間違えているのでは?」
(コソッ)「うん…多分な…だが、指摘するな…彼はプライド高いから」
「ところでこのスゴイ美少年は何なんだろう?
どの映像にも写り込んで来ている」
「友人の様です。
駅前のマンションで一緒に暮らしている様です」
「一緒に暮らして――
そ、それは、アレ、じゃないか?」
ドロセラはカッと頬を染める。
が、『管理者』たちは『アレって何ですか』という顔をしている。
「アレったらアレだよ!
男性同士の、ラブ…」
「まさか、それは無いでしょう。
南都樫はフィカスとずっと一緒に居るんですよ。
なのにラブになどなっていません。
あれだけの美形同士でずっと一緒に居て何も無いのです。
いくら天使の様な美少年でもラブになるはず‥」
「ま、待て。
言われてみれば、南都樫の美少年を見る眼差しがラブかもしれないッ!」
「無表情じゃないか」
「一見そうだ。
だが、ずっと美少年を見ているんだ。
ホラ」
「‥本当だ!
ずっと美少年を目で追い掛けている!
たまに美少年を巡ってフィカスと小競り合いまでしている…!」
「さすがドロセラ様!
素晴らしい観察眼です!」
「クヒッ、まぁ、落ち着け。
これぐらいの観察眼で騒ぎ立てるな。
別に大した事ではない。
統括ともなればこれぐらいは朝飯前だ。
そう、私クラスになればこのぐらいチャチャッとな、クヒヒ…」
(((長い‥)))
「それより、方針は決まったな」
「「「え?」」」
「南都樫を『覚醒』させるためにこの美少年を使う。
犯すか殺すか――
南都樫を怒らせれば何でもいい。
怒りのエネルギーは『覚醒』を引き起こす。
そうすればフィカスと共にあの世行きだ!
ざま見ろ!
クヒッ、クヒヒヒッ」
なんて事を、と『管理者』たちは思う。
美少年は保護対象である『正規地球人』。
しかも何の罪も犯していない。
無実の保護対象者を残酷な方法で利用するなど――!
だが、そもそも――
南都樫だって何も罪など犯していない。
ドロセラ様は『危険』だと言うだけで処刑の理由を明示していない。
ちゃんとした理由が無いから、上層部に隠れて卑怯な方法で――
『管理者』たちは青褪める。
だが、ドロセラ様は上司。
上下関係は絶対で、反対意見など言えるはずもなく――
その後の調べで、三人の通う高校で文化祭が予定されており、美少年はアイドルとしてライブをする事が分かった。
「丁度いい!
そのライブが南都樫『覚醒』の舞台だ!
クヒッ、クヒッヒヒ」
ドロセラの醜い笑い声に空気が重く沈んでいく――
0
お気に入りに追加
12
あなたにおすすめの小説
【完結】運命さんこんにちは、さようなら
ハリネズミ
BL
Ωである神楽 咲(かぐら さき)は『運命』と出会ったが、知らない間に番になっていたのは別の人物、影山 燐(かげやま りん)だった。
とある誤解から思うように優しくできない燐と、番=家族だと考え、家族が欲しかったことから簡単に受け入れてしまったマイペースな咲とのちぐはぐでピュアなラブストーリー。
==========
完結しました。ありがとうございました。

俺の推し♂が路頭に迷っていたので
木野 章
BL
️アフターストーリーは中途半端ですが、本編は完結しております(何処かでまた書き直すつもりです)
どこにでも居る冴えない男
左江内 巨輝(さえない おおき)は
地下アイドルグループ『wedge stone』のメンバーである琥珀の熱烈なファンであった。
しかしある日、グループのメンバー数人が大炎上してしまい、その流れで解散となってしまった…
推しを失ってしまった左江内は抜け殻のように日々を過ごしていたのだが…???

真面目系委員長の同室は王道転校生⁉~王道受けの横で適度に巻き込まれて行きます~
シキ
BL
全寮制学園モノBL。
倉科誠は真面目で平凡な目立たない学級委員長だった。そう、だった。季節外れの王道転入生が来るまでは……。
倉科の通う私立藤咲学園は山奥に位置する全寮制男子高校だ。外界と隔絶されたそこでは美形生徒が信奉され、親衛隊が作られ、生徒会には俺様会長やクール系副会長が在籍する王道学園と呼ぶに相応しいであろう場所。そんな学園に一人の転入生がやってくる。破天荒な美少年の彼を中心に巻き起こる騒動に同室・同クラスな委員長も巻き込まれていき……?
真面目で平凡()な学級委員長が王道転入生くんに巻き込まれ何だかんだ総受けする青春系ラブストーリー。
一部固定CP(副会長×王道転入生)もいつつ、基本は主人公総受けです。
こちらは個人サイトで数年前に連載していて、途中だったお話です。
今度こそ完走させてあげたいと思いたってこちらで加筆修正して再連載させていただいています。
当時の企画で書いた番外編なども掲載させていただきますが、生暖かく見守ってください。
【完結】Doctor Master
邦幸恵紀
BL
【なんちゃってSF/ロボット工学の教授と元教授(元同僚同士)/両片思い】
〝両思いなのに片思い〟していたロボット工学の教授と元教授(元同僚同士)の話。
※なんちゃってSF。全3話。番外編あり。

なんか金髪超絶美形の御曹司を抱くことになったんだが
なずとず
BL
タイトル通りの軽いノリの話です
酔った勢いで知らないハーフと将来を約束してしまった勇気君視点のお話になります
攻
井之上 勇気
まだまだ若手のサラリーマン
元ヤンの過去を隠しているが、酒が入ると本性が出てしまうらしい
でも翌朝には完全に記憶がない
受
牧野・ハロルド・エリス
天才・イケメン・天然ボケなカタコトハーフの御曹司
金髪ロング、勇気より背が高い
勇気にベタ惚れの仔犬ちゃん
ユウキにオヨメサンにしてもらいたい
同作者作品の「一夜の関係」の登場人物も絡んできます

王様のナミダ
白雨あめ
BL
全寮制男子高校、箱夢学園。 そこで風紀副委員長を努める桜庭篠は、ある夜久しぶりの夢をみた。
端正に整った顔を歪め、大粒の涙を流す綺麗な男。俺様生徒会長が泣いていたのだ。
驚くまもなく、学園に転入してくる王道転校生。彼のはた迷惑な行動から、俺様会長と風紀副委員長の距離は近づいていく。
※会長受けです。
駄文でも大丈夫と言ってくれる方、楽しんでいただけたら嬉しいです。
推し変なんて絶対しない!
toki
BL
ごくごく平凡な男子高校生、相沢時雨には“推し”がいる。
それは、超人気男性アイドルユニット『CiEL(シエル)』の「太陽くん」である。
太陽くん単推しガチ恋勢の時雨に、しつこく「俺を推せ!」と言ってつきまとい続けるのは、幼馴染で太陽くんの相方でもある美月(みづき)だった。
➤➤➤
読み切り短編、アイドルものです! 地味に高校生BLを初めて書きました。
推しへの愛情と恋愛感情の境界線がまだちょっとあやふやな発展途上の17歳。そんな感じのお話。
もしよろしければ感想などいただけましたら大変励みになります✿
感想(匿名)➡ https://odaibako.net/u/toki_doki_
Twitter➡ https://twitter.com/toki_doki109
素敵な表紙お借りしました!(https://www.pixiv.net/artworks/97035517)
いとしの生徒会長さま
もりひろ
BL
大好きな親友と楽しい高校生活を送るため、急きょアメリカから帰国した俺だけど、編入した学園は、とんでもなく変わっていた……!
しかも、生徒会長になれとか言われるし。冗談じゃねえっつの!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる